東京都は、急患の「たらい回し」をなくすため、病院間で受け入れ先を探す新たな救急医療体制「東京ルール」を来年度から始める。
都内の24病院を「地域救急センター」に指定し、患者を受け入れられる病院を見つける。急患の受け入れで、病院同士で連絡を取り合って決める試みは全国初。都は「地域救急の新たなモデルになる」と期待している。
急患は東京消防庁の救急隊が病院に照会し、搬送先を決めている。
都救急災害医療課によると、東京ルールは、都内を12地域に分け、手術や入院が必要な重症患者を扱う2次救急病院の中から、1地域で2か所をセンターに指定。救急隊の受け入れ先探しが難航した場合、センターが救急隊に代わって患者を受け入れる病院を探したり、受け入れたりする。
地域のほかの2次病院は、センターに空きベッド、当直医の専門や人数などの情報を提供する。
それでも受け入れ先が見つからないケースでは、東京消防庁指令室の救急救命士が務めるコーディネーターが、ほかの地域のセンターと調整する。
都救急災害医療課は、「たらい回しを防ぐには、地域の病院が責任を持って救急を支えるしかない」と話している。
急患の搬送を巡っては、病院が「ベッドは満床」「当直医が専門外」「処置中」などと受け入れを拒否するケースが後を絶たず、10月に出産間近の妊婦が8病院に断られて、出産後に死亡する問題も起きている。
都内では10年前と比べ、救急医療機関数は2割減少し、335か所(2008年)。一方、救急搬送患者数は3割増え、62万人余(07年)となっている。「夜間・休日になると、当直医が1人しかおらず、休業状態になる2次病院も多い」(公立病院医師)といい、より高度な医療を行う3次救急病院にしわ寄せが行っている。
全国でみると、2次病院の当直体制(07年)は、1人が4割、2人以下が7割に上り、手薄な状況にある。
救急医療体制の「東京ルール」で、急患受け入れに、地域の病院が責任を持つことになる。地域救急センターが、2次救急病院の当直医の専門や空き状況を把握することで、効率性も増し、「たらい回し」対策につながるとされる。
地域と病院の違いはあるが、東京ルールは、すべての患者を救急医が受け入れて診療科の医師へとつなぐ北米型ER(救急治療室)の地域版に一歩近づけようという試みとして、成否が注目される。
しかし、たらい回しの原因である医師不足が改善されるわけではない。医師を急患受け入れの基幹となる病院に集約するのでもない。センター病院の負担ばかりが増え、新ルールが絵に描いた餅になる恐れもある。
救急医療を再度円滑に進めるようにするためには、医師の増加と労働条件の改善が絶対的に必要です。
いわば東京ルールはそれまでの間の代替案のようなものです。医師らのギリギリのスキマをも埋めてしまうという感じですかね、悪い言い方をすれば。
うまく使えば助けられる患者さんは増えると思うので、今後に期待していきたいと思います。ただ、いつまで持つのか、という気はしますが・・・。これによって更に医師一人あたりの負担が広がらないようにうまく利用していけば・・・。
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神奈川県・千葉県・埼玉県も国道16号線の内側は都民の生活圏ですから。
東京都練馬区では隣接する埼玉県の病院へ搬送されるケースが増えたと聞いたことがあります。
たま〜に、高速道路を経由して患者さんを運ぶ姿も・・・。