極端な背の低さは、いじめ被害や引きこもりにつながる場合もある。原因によるが、治療の可能性も広がっていることを親は知っておきたい。
医学的に低身長とは、同年齢の背が低い方から約3%以内をさす。現時点では低くても伸びが良ければ追いつけるが、伸びも悪い場合は治療対象になる可能性がある。
国立小児病院(現国立成育医療センター)で検査入院した低身長児284人を原因別で分けた結果によると、最多が、特に病的な原因がない「特発性低身長」で38%。親も背が低い「家族性低身長」は8%いた。これらは病気ではなく、治療できない。
治療対象の代表的なものは成長ホルモンの分泌不足で18%を占めた。そのほか、女性だけの先天的な病気ターナー症候群などの染色体異常が5・6%あった。これらは明らかな病気であるため、成長ホルモン製剤で治療できる。
同調査で16%を占めたのが「SGA」。SGAは子宮内発育遅延の英語の略で、母体にいた期間を考慮した上で、身長と体重が小さい方から10%以内の場合をさす。その9割は2〜3歳までに身長が正常範囲に入るが、1割は追いつかず、「SGA性低身長症」と呼ばれる。ホルモンは正常なことが多く、病気と扱うべきかで議論があったが、欧米同様、日本でも10月、成長ホルモン製剤「ジェノトロピン」が治療薬として初承認された。
日本小児内分泌学会理事長で旭川医科大教授の藤枝憲二さんは「子供の背が低くてもいいと考える親もいるだろう。ただ、背の低さは病気ではないと最初からあきらめている親も多い。治療の道もあることを知ってほしい」と話す。
治療は早期に行い、思春期前に正常身長に近づけるのが理想的だ。低身長の程度にもよるが、平均5年の治療で患者の5〜6割は正常身長に達する。ただ、糖代謝の異常や骨年齢の老化を早めるなどの副作用の報告もされている。
藤枝さんは「成長ホルモン製剤はあくまで治療用。単に、もっと背を伸ばしたいという美容整形的な目的では使えない」と乱用を戒める。
ホルモンが分泌されてない、もしくは反応しない、または病気のせいでそのような状態になったりします。これらの病気で背が伸びない場合には、治療の対象となります。
逆に言えば単に背が低いだけ、という場合には治療対象とはなりません。治療用以外に、成長ホルモンを投与すれば背が伸びるから使いたい、となってしまうと、副作用などで怖いことになってしまいますから。
ホルモンというのはそれだけ全身に関わってくるものなのです。
関連
医学処:日本人の身長は、もうこれ以上伸びることはない。
医学処:出生児に低身長だった男性は自殺企図が高い。
医学処:子供の身長を伸ばすためのレシピを考案する。