東京・杉並区で1999年、のどに割りばしが刺さった当時4歳の男の子が病院で受診後に死亡した事故をめぐって、業務上過失致死に問われていた医師に対し、東京高裁は、1審に続き、無罪を言い渡した。
この事故は1999年7月、杉野隼三ちゃん(当時4)が綿あめを口に入れたまま転倒し、割りばしがのどに刺さり、杏林大学付属病院で診察を受けた翌日に死亡した。
診察した医師は、脳の中に残っていたおよそ8cmの割りばしの破片に気づかず、化膿止めを塗っただけで、隼三ちゃんを帰宅させていた。
この事故の責任をめぐって、診察した医師・根本英樹被告(40)は業務上過失致死の罪に問われてた。
2006年3月の1審では、「頭蓋骨の中の傷を想定して、CT検査などをするべきだった」と、医師の過失は認めたものの、「正しく判断できたとしても、命を救うことは困難だった」と無罪判決が言い渡され、検察側が控訴していた。
そして20日、東京高裁は「本件控訴を棄却する」と検察側の控訴を棄却し、あらためて無罪を言い渡した。
また裁判長は、1審が認めた医師の過失についても、「被告人には、頭蓋内損傷を疑って、これを確認すべき注意義務があるとは言えない」として、医師に過失はなかったと結論づけた。
20日の判決に、隼三ちゃんの母・杉野文栄さんは「治療が不十分なものであったことを認めてくださることを祈って、それだけを信じて傍聴を続けてきました。注意義務違反も含めて、今回なくなってしまったことが、本当に残念でなりません。今回も隼三に、裁判の結果について伝えることができない」と語った。
一方、無罪判決を受けた医師側の弁護士は、「本日の判決結果については、業務上の注意義務違反。過失そのもののを否定した裁判所の判断に感謝している」と語った。
「謝罪して欲しい」両親ら痛切 男児割りばし死亡事件
隼三ちゃんの父の杉野正雄さん(57)と母文栄さん(51)は20日、判決後に記者会見し、「過失を認めない内容は受け入れがたい」と批判した。文栄さんは「一言の謝罪を求めての9年間だった。医師と病院に『もう少し丁寧に診ればよかった』と謝罪して欲しい」と改めて訴えた。
同じく高校教師の正雄さんは、隼三ちゃんを亡くした悲しみに加え、「ああいう家族がいるから救急医療の現場が崩壊する」といったネット上の中傷や事実無根の書き込みに心を痛めた。正雄さんは「真実を知りたい、謝罪してほしい、過ちを繰り返さないでほしいと願う被害者が声を上げられなくなる」と危機感を募らせた。
一方、日本救急医学会理事の瀧健治・佐賀大教授は判決を「救急医療の現場を理解してくれた」と評した。事故後、訴訟を嫌う医師が専門外の診療を避ける傾向が強まったと感じる。「事故を戒めとし、重い患者を見落とさない仕組みを作らなければ」とも話した。
うーん。当然の判決。
今回の二審では、過失すらもないことが認められました。根本医師にとっては長く辛い闘いだったと思います。自分の人生を大きく歪めてしまう裁判になったのではないでしょうか。
当然、遺族は納得はできないのでしょうけれど・・・。
遺族にとっては酷かもしれませんけれど、「過失がなかった」、というのが「真実」であり「謝罪する必要」もなければ「過ち」でもないという話です。
それを理解しろというのも酷ですし感情的になってしまう気持ちは分かりますけれど、感情的な意見で医師を傷つけるのはもっといけないことだと思うのであえて言いました。事故は事故で、医師が謝罪する必要はない。そしてそれが現実であって、それを受け入れて子供に報告すべきなのではないか、と思います。
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ですから、医師としては化膿止めを塗るのが精一杯です。明日死ぬかもしれませんがそれは覚悟しておいてください・・・と事前説明をしておけば裁判にはならなかった。
事故は事故、しかし罪は罪。自分の見解では、今回「罪人」根本被告は上記を受け入れた上で監獄行きになるべきだったのにそれを逃れた、そう思えてならないのです。マスコミの報道に動かされたな、と見なしても構いません。私は飽くまで遺族に味方します。そして、私はさじさんの意見を、申し訳ありませんがあえて「罪人擁護」と見なします。さじさんも、根本被告は罪を逃れた罪人であると受け入れて下さい。
以上です。
コメントありがとうございます。
そもそも「罪があるのか?」という点が争点になると思うんですが、何故罪があるとお考えなのでしょうか?
私が根本被告を糾弾するのには、根本被告が術後カルテ改ざんを行ったことにあるのです。
>「園児の急死に動転した根本被告が、落ち度を自覚し、取り繕おうとして書き加えた」(東京新聞より、抜粋リンク先:とっちのブログさんhttp://totti59.exblog.jp/4312096)
としても、今日における医療の倫理から考えて、カルテ改ざんという行為自体が違法である事は免れません。(遺憾ながら、裁判所はそれを上記のような事情と受け取り、それでさえも無罪放免にしてしまいましたが。)
前回の書き込みでは、気が焦ってしまい言えませんでしたが、手術中の事故自体は偶発的事故であり、それを鑑みると、根本被告は手術でベストを尽くそうとしたのは確かかもしれませんが、それでも、彼が、気が動転したとはいえカルテを改竄した事自体は、許されないことであるのは当然です。したがって、私は、この一点−カルテ改竄を行った点において、根本被告に罪がある、と言う意見を表明するもので、本来裁判所は、この点だけでも吟味して、根本被告を刑務所送りにすべきだったのです。
さて、さじさん。
> 遺族にとっては酷かもしれませんけれど、「過失がなかった」、というのが「真実」であり「謝罪する必要」もなければ「過ち」でもないという話です。
それを理解しろというのも酷ですし感情的になってしまう気持ちは分かりますけれど、感情的な意見で医師を傷つけるのはもっといけないことだと思うのであえて言いました。事故は事故で、医師が謝罪する必要はない。そしてそれが現実であって、それを受け入れて子供に報告すべきなのではないか、と思います。
といいましたね?あなたは上記の事を見ても、まだ「罪人」根本被告を擁護できますか?
以上です。