2008年11月17日

法医学者が1人しかいない佐賀県の惨状。

県内解剖医不在解消へ佐賀大法医学教室に准教授

 佐賀大医学部法医学教室の教授が県外の大学に移り、今年1月から県内で司法解剖ができない状態が続いていた問題で、名古屋市立大医学部講師を務めていた小山宏義さん(50)が後任として准教授に採用され、解剖医の不在が解消される見通しとなった。

 ただ、准教授をサポートする助教も今春、県外の大学に移り、不在のまま。県外の解剖医は「通常、法医学教室は教授や助教など3〜4人体制だが、佐賀大は長く2人のままだった1人で解剖して鑑定書を書き、講義や実習もするのは大変だろう」と推測する。

 同大は「法医学教室の体制を整えたい」としており、新たに助教などを採用するか検討する。

 県警は1月から10月末までに856体の変死体を扱い、うち61体(うち7体は承諾解剖)の解剖を福岡、長崎両県の大学に依頼した。



 法医学という学問も、人手不足の深刻さは他と一緒か。

 本来なら遺体をみるだけでなく、大学病院の異状死や、生きている人の手術痕などをも分析するのが、法医学です。突き詰めれば非常に面白い医学だと思うんですが、いかんせん特殊すぎて人が集まらないか。

 もし法医学者が足りないとどういうことが起こるのか?

 例えば遺体に不信な点があっても見逃すかもしれません。また、例えばレイプ事件とか、傷害事件などのように加害者を特定すべきような事件に割く人員がいないため、事件解決の糸口を見つけられないかもしれません。病院での不信な死や障害を見過ごして、患者さんに不利益を蒙らせたままになるかもしれないのです。

 医学的にみれば、妊婦や小児を助ける産婦人科や小児科が不足しているのは大問題です。ですが、社会的にみた場合、事件を究明できる法医学者というスペシャリストが不足していることもまた、早急に解決すべき問題だと思います。

 例えば監察官の中から、国がお金を出して医学部に6年間(4年くらいでいいですかね)通わせるコースをつくるとか。

何故医学生は法医学を志さないのか。

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posted by さじ at 23:33 | Comment(0) | TrackBack(0) | 大学
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