医療訴訟などの増加を受け、福岡大学医学部(福岡市)は来年度から、弁護士を研究職の教員として採用する方針を決めた。
この教員は、トラブルが起きれば、病院、患者双方から意見を聞き、病院側の過失も指摘しながら法的問題を説明して訴訟などを防ぐ。中立性の確保が課題となるが、裁判以外の解決を探る取り組みとして注目を集めそうだ。文部科学省は「医学部が弁護士を教員に採用するのは初めてではないか」としている。
福岡大病院では、訴訟まで発展しないものの、入院費の支払いや手術の結果を巡ってのトラブルが増加している。患者による看護師らへの暴力事件も、昨年は4件、今年は11件(10月末現在)発生した。最高裁によると、昨年の医療訴訟の提訴件数は944件で、この10年間で約1・6倍に増加。医療訴訟は、医療行為と事故の因果関係の立証が難しいことなどで、平均審理時間は約2年と長い。膨大な時間と費用が必要なため、患者の負担が大きく、病院側にとっても医師が訴訟の多い産科や外科を敬遠し、医師不足につながっている。
同大医学部によると、採用する弁護士は、トラブル発生の際、第三者的な立場で病院と患者から意見を聞き、手術経過などを分析して法的問題を指摘する。
弁護士は原則、利害が対立する複数の代理人になれないため、病院の顧問弁護士であれば、患者の利益を図ることはできない。しかし、教員なら、病院側の利益にとらわれる必要はなく、患者に病院の過失を指摘できるという。
採用するのは、昨年度の司法試験に合格し12月に弁護士資格を取得予定の女性で、消化器外科の助教に迎える。薬剤師として約11年の勤務経験もあり、医療現場にも通じているという。
これはいい案ですね。
別に病院側が裁判で勝つために弁護士を採用しているわけではなくて、問題を解決するために中立な立場として据え置くという形。
今後はこういった形の役職も増えるんでしょうねぇ。特に外科医にとっては、こういう法律訴訟は医療に支障を来たしかねないほどですから、少しでも負担が減れば幸いか。
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