2008年11月16日

突然性格が変貌した人がいたら、脳腫瘍の可能性がある。

【脳を守る】異常行動は脳の前頭葉に腫瘍?

 今まできわめて常識的だった人が突然、異常行動をとることがあります。このような時には脳の中に腫瘍などができているかもしれません。異常行動の原因となる特徴的な場所が脳にはあるのです。

 60歳代のある女性は妻として母として、誰が見ても理想的な人でした。子供の教育にも熱心で、3人の子供は独立し社会人として立派に活躍しています。夫の経営する会社にも協力し、夫婦仲はきわめて良好。典型的なおしどり夫婦でした。

 ところがある日、自分の財布がないと言い出し、夫が隠したに違いないと言い張って家族を困らせる事件がありました。結局、その時は自分で机の引き出しに置いたのを忘れただけと判明しました。

 それから2週間ほどたった日のこと。夫が自宅に帰って来ると、妻はブロック塀の上に立ち、夫に「ここよ、ここよ」と手を振っています。あぜんとした夫は妻を連れて脳神経外科を受診しました。

 脳のMRI(磁気共鳴画像装置)をみて、担当の脳外科医は腫瘍が原因で異常な行動が出ている、と判断しました。前頭葉と呼ばれる場所に大きな腫瘍が見つかったのです。脳の膜から発生した「髄膜腫」と呼ばれるもので早速、手術で取り除きました。この腫瘍は血管が豊富で大量の出血がありましたが、後遺症もなく無事に手術を終了できました。

 穏やかな性格の人が急に怒りっぽくなったり、異常な行動を示したりするときは、脳の前頭葉に腫瘍ができていることがあります。前頭葉には自分の行動が社会的にみて正しいかどうかを判定する働きや、自己を抑制する働きがあり、この場所に異常があると自己抑制がきかず、反社会的な行動をとることがあるのです。

 また、性格の穏やかさも前頭葉の働きで決まってくるようです。人間として生きるために大切な働きをしているのが前頭葉、と言っても過言ではないでしょう。

(和歌山県立医科大学脳神経外科板倉徹)



 髄膜腫は通常は良性で、硬膜(脳を包む膜の1つ)に付着しています。矢状静脈洞周囲や円蓋部、小脳橋角部、脊髄背側に生じることが多く、女性に発生しやすい腫瘍です。発生する時期は中年期に多いとされています。

 部分発作や、緩やかに進行する局所神経症状、頭蓋内圧亢進症状で発見されることがあります。今回の記事のように、前頭葉付近に髄膜腫が出来た場合には、前頭葉が障害されてこのような性格の変化も出現するのでしょう。

 良性の髄膜腫ならば、全摘除で治癒します。もし全部取れないような場合には放射線による照射療法を行います。

 このブログで取り上げたかもしれませんが、若い女性で、性格が変貌して怒りっぽくなって、周りの人も嫌気がさしてその人から離れていった。半年後、実は脳腫瘍であったことが発覚して、その人は亡くなってしまった、ということもありました。

 精神科的疾患もそうですが、このように脳腫瘍によって本人の性格が変貌してしまった場合、自分で「おかしいな」と思って病院を受診することは極めて稀なことです。周囲が気付いたら、病院へ連れていきましょう。

関連:脳腫瘍の増殖を促進する遺伝子、メルク。


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posted by さじ at 15:58 | Comment(0) | TrackBack(0) | 脳神
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