さわやかな秋は空気が乾燥する季節だ。高齢者に多い不眠の原因の一つとして、かゆみが浮上している。最近の介護施設での実験から、皮膚を手入れするだけで、ぐっすり眠れることが分かってきた。
高齢になると、皮脂が減るため皮膚のバリアー機能が低下し、ちょっとした刺激でかゆみを感じるようになる。体の水分も減り皮膚が乾燥するが、乾燥はかゆみを強める。介護が必要になると、おむつを当てた部分がかゆくなる。強く引っかいて傷になる繰り返しで、なかなか治らない。
実験は今年5月下旬から2週間、新横浜介護老人保健施設「カメリア」(横浜市港北区)の入所者で、79〜100歳の認知症の男女3人ずつを対象に実施。古賀良彦・杏林大医学部教授とユースキン製薬が行った。
入所者6人全員に、加齢に伴うかゆみがあった。特に79歳と93歳の男性2人は、他の人よりかゆみの影響がひどかった。腕や肩に内出血やかさぶたが見られ、背中が炎症で赤くなっていて、93歳の男性はかき傷に菌が入って化膿していた。
就寝中は6人全員が2〜3回目を覚まし、ひどい2人は、深夜のおむつ交換で必ず目を覚まして体をかくのが習慣だった。
実験では、2人には1日2回、残り4人には1日1回、かゆみ止めと保湿成分の入ったローションを、かさつきや引っかき傷、炎症部分に塗布。就寝中は、30分間隔で介護士が巡視した。皮膚が化膿していた93歳男性は、副腎皮質ホルモン入りの処方薬を塗っていたが、実験ではローションに切り替えた。
79歳男性は、塗り始めから1週間で皮膚がしっとりしてきた。2週目には発疹がほぼ取れ、体をかかなくなった。実験前は夜間、よく目を開けていたが、2週目には目を閉じるようになり、深夜のおむつ交換も体をかかずに眠ったまま終了した。93歳男性は1週間で化膿が消え、2週目には、おむつ交換時に体をかかなくなった。
夜中に目を覚ます回数は、6人とも実験前の2〜3回から1回に減少。6人ともかゆい部位が減り、消失者も4人になった。
介護の質も上がった。かゆみが強いと入浴やおむつ交換時は、傷をかき壊さないようにバスタオルで体を覆う職員が1人必要で、作業は2人がかりだった。それが1週目ごろから体をあまりかかなくなったため、職員1人で介助できるようになった。介護課の山本寛人主任は「体をかかないように押さえると、顔をしかめたりにらんだりしていた人が、かゆくなくなってからは穏やかな顔つきになった」と話す。
古賀教授は「スキンケアでかゆみがこんなに治るとは驚きだ。お年寄りの皮膚も保湿すれば、目に見えて状態が良くなる。介護する人の負担が減り、喜びにつながる」と語る。
一方で、電気毛布を使った時や、入浴後には血行が良くなってかゆみが強くなりやすい。脳神経疾患研究所(福島県郡山市)の笹沼仁一・理事長室長は「電気毛布の使用をやめただけでかゆみが止まった人もいる。寒さ対策で必要な場合もあるが、つけっ放しでは乾燥するので就寝前に必ず消してほしい。処方薬では効きすぎて、眠気から転倒の恐れもあるので注意が必要だ」と助言する。
寒くなってきましたね。
こう、季節の変わり目では、中高年者はほとんど肌が乾燥するものです。かくいう私も乾燥肌からくる痒みを覚えておりまして・・・そろそろ保湿剤の季節なのだなぁと。もうあと1ヶ月ちょっとで2008年も終わるのだなぁと。。。おっといけない、秋はついついアンニュイになってしまいますね。
乾燥肌を自覚されている方は、ローションなどの保湿剤を定期的に塗るようにしましょう。まずローション。これです。面倒かもしれませんが。
あとは、特に高齢者では、水分が必要です。高齢者はただ「喉の乾きを自覚できない」だけで、実際には身体は水分を失っています。水分がないと皮膚だけでなく腎臓やら心臓やらといった全身循環に影響を与えるので、水分も定期的に摂取するようにしましょう。たとえ喉が渇いてなくても、です。
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