多くの欧米諸国ではこの時期、夏時間(サマータイム)が終了し、時計の針を1時間戻して冬時間(標準時間)に移行する。この制度が健康に与える影響を調べたスウェーデンの研究チームによると、冬時間への移行直後は心臓発作の発生件数が減少し、夏時間に切り替えた後は逆に件数が増えることが明らかになった。
チームのメンバーが夏時間への移行後に眠気やだるさを感じた経験から、研究を思い立ったという。考えられるさまざまな影響のうち、特に心疾患に注目。同国では心臓発作の発生状況が詳細に記録されており、チームでは1987年から2006年までのデータを分析した。
夏時間と冬時間の切り替えは、日曜日に実施される。研究チームはまず、各年の移行日から7日間の発生件数を調べ、それぞれについて2週間前、2週間後の同じ曜日の数字と比較した。それによると、冬時間から夏時間への移行日に続く週は、発作が平均5%増加していたことが分かった。月、水曜日は前後の同じ曜日と比べて6%、火曜日は10%も多かった。一方、夏時間から冬時間に移行した翌日の月曜日は、発作が5%減少していたという。
夏時間が始まる日曜日には時計を1時間進めるため、翌日の月曜日はそれまでより1時間早く起きることになり、睡眠時間が短縮する。逆に冬時間になった直後の月曜日は、いつもよりゆっくり眠っていられることになる。わずか1時間とはいえ、これが体調に大きく影響するというのが、研究者らの見方だ。睡眠時間の増減は血圧や血糖値、血中コレステロール値、血管の状態など、循環器系にさまざまな変化を引き起こすことが知られている。
この研究を受け、米ミシガン大睡眠障害センターのロナルド・チャービン所長は「現代人は普段から睡眠不足に陥りがちだが、夏時間に移る時は数日前から毎日15分ずつ早く起きるなどして調整すると、体への負担が抑えられる。冬時間への移行日には、1時間長くなる睡眠時間を体調管理にうまくいかすよう心がけて」とアドバイスしている。
わずか1時間の睡眠短縮でそれほどまでに心臓に負担がかかっていたとはねぇ。
サッカーの大きな大会があると、心臓疾患のリスクが上がるというのは示されているみたいですけれど、サマータイム導入直後のわずかな睡眠不足だけで有意なリスクになるとは。
1時間ズレでも、しっかり調節して睡眠時間は日々コンスタントに確保するようにしましょう。
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