肝臓がんの手術中にがん細胞だけを光らせることで残らず切除する手法を大阪府立成人病センター(大阪市)の研究チームが開発した。28日から名古屋市で開かれる日本癌学会で発表する。
微小な肝がんを取り残すと約7割が5年以内に再発するとされ、センターは「手術後の再発防止につながりそうだ」としている。
チームは、肝機能検査で使う試薬「インドシアニングリーン」が肝がん細胞に一定期間とどまるのを発見。光学機器メーカー「浜松ホトニクス」(浜松市)の小型赤外線カメラで患部を観察するとがん細胞だけが光って見え、従来は見つけることができなかった5ミリ以下のがん組織を手術中に見つけるのに成功した。
昨年2月からセンターで肝がん手術を受けた患者39人にこの手法を適用。うち7人で手術前の検査で見つからなかった新たながんを発見、切除したという。
取り残しがないかどうかは、患者さんの予後に密接に関わってきますからねぇ。
インドシアニングリーンというのは、本来は「ICG試験」としてよく用いられる物質です。これは、肝機能や肝予備能を知るための検査として広く行われている色素負荷試験で、一定量のICGを経静脈的に投与して、何分か後に血中のICG濃度を測定し、どのくらい血中に残っているかを測定します。
(ICGは、血中のリポ蛋白に結合して肝臓に輸送され、類洞を通過する間に肝細胞に摂取され、抱合を受けることなく胆汁に排泄されます。要するに、肝臓で処理されればICGは体内から排泄されていくわけです。ですので、肝有効血流量が減少した場合や肝細胞摂取能が低下した場合には、ICGの血中消失速度は遅延します。)
内科的には不顕性肝硬変の診断や肝硬変の「進行度」、予後の推測に有用で、他には心疾患や浮腫などで肝有効血流量が低下している患者では異常値を示すことがあります。
肝臓系ではメジャーな検査です。なんか緑色のよくわからない液体を入れられた方もおられるのでは?そのICGが肝がんの細胞にも留まることを発見したため、今回のような診断法が可能になった、というわけですね。