2008年11月04日

悪性中皮腫の発症は2つの受容体によるものだった。

中皮腫「発症」を解明 治療薬向上に期待、愛知県がんセンター

 アスベスト(石綿)が原因とされる悪性中皮腫で、細胞外からの増殖信号による発症のメカニズムを愛知県がんセンターの研究グループが突き止めた。現在進められている治療薬の開発に成果が活用できるという。28日から名古屋市で開幕する日本癌学会で発表する。

 胸膜や腹膜にできる悪性中皮腫は早期発見が困難で、手術が難しい。現在は年間約1000人が死亡。過去のアスベスト使用の影響で、今後20年で死者数が約5倍に増えると見込まれる

 同センターは今回、細胞膜上にあり、外部から増殖の信号を受け取って細胞内に送る「受容体」が2種類以上、同時に異常活性化していることを突き止めた。現在は十数種類の受容体が確認されているが、これらが異常に活性化すると細胞分裂の信号を勝手に出すようになり、がんなどを発症させる。

 それぞれの受容体に働き、副作用がない薬の開発が進んでいるが、1つの受容体の異常活性化を抑制する薬を使用しても、7−8割以上、細胞が生き残った。しかし、2種類に対する薬を同時に投与すると細胞数は3割以下に下がった

 研究グループの同センター研究所分子腫瘍学部の関戸好孝部長は「こうした受容体の異常な活性を個別の腫瘍で見極め、同時に抑制すれば、有効な治療手段になる可能性がある」と話している。



 アスベストが原因と分かって、大問題となった悪性中皮腫の騒動ですが、まだ氷山の一角にすぎません。アスベストが撤廃された今であっても、既に体内に取り込まれたアスベストがいつ悪さをし始めるか、分からないのです。

 今回の研究で分かった2つの受容体を同時に抑制するような薬が出来れば、悪性中皮腫の生存率もかなり上がることが期待されます。

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posted by さじ at 01:36 | Comment(0) | TrackBack(0) | がん
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