2008年11月04日

ピロリ菌は食道腺癌を予防する作用をもっていた。

ピロリ菌が食道癌(がん)を予防する

 ヒトの胃によくみられるヘリコバクター・ピロリ菌(H. pylori)に、一部の食道癌を防ぐ作用のあることが新しい研究で示された。ピロリ菌のCag A遺伝子陽性株を有する人は、食道腺癌になる比率が約半分であるという。

 研究著者の一人で米国立癌研究所(NCI)研究員のFarin Kamangar博士によると、ピロリ菌CagA陽性株は、胃酸の産生を低下させることによって食道への酸逆流を抑え、腺癌リスクを軽減させる。さらに、胃から分泌され食欲を刺激するホルモンであるグレリンの産生を低下させることによっても効果を発揮するという。グレリンの値が低下すると、腺癌の重要な危険因子(リスクファクター)である肥満が軽減されるためである。この知見は、医学誌「Cancer Prevention Research(癌予防研究)」10月号に掲載された。

 ピロリ菌は世界人口の約半数がもっているといわれ、胃癌や胃潰瘍の原因として知られている。公衆衛生や抗生物質の普及により以前ほど多くはみられなくなり、胃癌や胃潰瘍も減少している。ピロリ菌CagA陽性株も同時に減少する一方で食道腺癌が増大しており、この2つのファクト(事実)は関連しているという。食道腺癌はかつてはまれな癌であったのが、今では米国や英国などの西洋諸国で食道癌全体の約半数を腺癌が占めている。

 潜在的な致死能力をもちながらピロリ菌が長い間ヒトと共存してきた事実から、「下痢性疾患や喘息の減少への寄与など、何らかの有益な効果があるのだろう」とKamangar氏は述べている。



 ほぉー。ただ害悪だったわけではない、と。

 いや、どうかな?よくある「寄生虫がいなくなったからアレルギーが増えた」説とはニュアンスが違うような気もします。ピロリ菌が胃潰瘍や胃癌のリスクになることは確かで、それを除菌していたら、逆に胃酸の産生が増えて食道腺癌になってしまったという感じで・・・。

 ただ長年人類とともに歩んできたということは、ピロリ菌も何らかの良い影響を与えて「共存」していかなければならなかったわけで、それが食道腺癌の予防に繋がった、と。難しいところですねー。今後はCagA遺伝子陽性株をもつ人には食道腺癌の精査をしていくしかないでしょうかね。

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posted by さじ at 01:04 | Comment(0) | TrackBack(0) | 消化
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