立正佼成会付属佼成病院(東京都中野区)の小児科に勤務していた中原利郎医師(当時44歳)が自殺したのは、過労によるうつ病が原因だとして、遺族が病院側に計約1億2000万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁の鈴木健太裁判長は22日、請求を棄却した1審・東京地裁判決を支持し、遺族の控訴を棄却した。「業務は過重ではなかった」とした1審判決に対し、2審は「うつ病になったのは過重な業務が原因」と認めたが、「病院側が病気を予見することはできなかった」と病院の過失を否定した。
中原医師の自殺を巡っては、遺族が労災認定を求めた行政訴訟で、同地裁の別の裁判長が昨年3月、労災と認定し、確定している。
判決によると、中原医師は1999年1月、同病院の小児科部長代行に就任したが、同科の医師2人の退職に伴い、多い月には自ら8回の当直をこなした。その後、うつ病を発症し、同年8月、同病院の屋上から飛び降り自殺した。判決は、中原医師が業務を問題なく処理していたことから、「病院側がうつ病の発症に気付かなかったのも、やむを得ない」と判断した。
「過重な業務だと認めながら、病院に責任はないという判決は、私には理解できない」。中原医師の妻、のり子さん(52)は判決後、東京・霞が関の司法記者クラブで記者会見した。
中原医師は、深刻な医師不足など小児医療の抱える問題を記した遺書を残した。その後、各地の病院で小児科や小児救急の休止が相次ぎ、自殺は「死をもって警鐘を鳴らした」と受け止められた。控訴審で原告側は、小児科医の過酷な勤務実態を明らかにするため、独自の調査を実施。「いつ急患が運ばれるか分からず、空き時間も休めない」といった現場の切実な訴えが寄せられ、約140件の声を証拠として提出した。
厳しい判決ですね。しかし筋は通っているように思います。要するに、うつ病の徴候が業務では出ていなかった、と。確かにそれならば病院側は分からないでしょうし、そもそもうつ病と診断されて診断書を提出するなどのアクションがあれば、病院側も何らかの対策を行ったかもしれません。というか、社会人なのですから、そういう事をしないで自殺したとしても、病院の責任となるのはさすがに酷ですよね。。業務が過重であることと、うつ病が判明できるかどうかは、別のことですし。
ただ、そのー、よく学校で何か起こると、どんな理不尽なことでも学校側の責任になるじゃないですか。それと同じように病院側が負けるんだろうなぁと思っていたから、あれっと思った次第です。
誰の責任かというと、国や国民の責任ではないかと思います。どこの病院でも過酷な労働を強いられているという点においては、この病院の責任ではない、と思うのです。
お金がないという理由だけでただでさえ不足している医者を馬車馬のように働かせる日本、しかも自己中心的な罵倒を浴びせる患者の家族。つらいですね。
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