代表的な小児がん「神経芽腫」の新たな原因遺伝子を発見したと、東京大の小川誠司特任准教授(腫瘍遺伝学)らの研究チームが16日付の英科学誌ネイチャーに発表した。治療薬の開発につながる可能性がある成果。
チームは、患者239人から採取した神経芽腫の細胞で遺伝子を解析。うち21人(9%)にALKという、酵素をつくる遺伝子に異常があることを突き止めた。
次に、患者と同様の遺伝子異常を再現したALKの酵素をマウスに注入する実験をしたところ、全例でがんができた。酵素が過剰に働くことが細胞のがん化につながっているとみられるため、遺伝子の働きを抑える物質を発見できれば、有力な治療薬になるという。
神経芽腫は、神経のもとになる細胞ががん化する病気で、国内で年間約1000人の子どもが発症。約30%が難治性で、骨髄移植など強力な治療をしても、助かるのは40%に満たない。今回の遺伝子異常は、大半が難治性の患者で見つかった。
神経芽腫の原因遺伝子は別に一つ見つかっているが、その遺伝子の働きを抑える薬はできていない。
小川准教授は「ALKは肺がんの原因遺伝子でもあり、研究は進んでいる。遠くない将来に治療薬ができるかもしれない」と話している。
小児のがんで一番多いのは白血病です。二番目に多いのが、神経芽細胞腫、別名、「神経芽腫」です。
神経提細胞が癌になるため、副腎髄質や交感神経節が癌に侵されます。おなかにできるものなので、おなかにしこりを触れたり、またはその腫瘍によって神経が圧迫されて症状が出たりします。
全身症状としては、不定の発熱、貧血、食欲不振、嘔吐、腹痛、下痢、やせ、高血圧などが見られ、転移巣による症状としては、眼球突出、眼窩周囲鬱血、骨・関節部の疼痛(四肢痛)、跛行、肝腫大、皮下結節などがあります。
今のところ取れそうならば腫瘍摘出術を行いますが、転移を伴い、予後不良因子を持つような症例ではどうしても・・・だそうです。この発見から、助かる子供が増えれば、これ以上ないほどの喜びですね。
参考:日本小児外科学会
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