遺伝子サンプルを用いた追跡調査によりエイズウィルスの発生起源は1884年から1924年(中心点は1908年)に遡ることができることが1日、米アリゾナ大学の研究者が科学雑誌「ネイチャー」に発表した論文により明らかとなった。
この研究発表を行ったのはアリゾナ大学のマイケル・ウォロビー(Michael Worobey)博士を中心とする研究グループ。
エイズは1980年代に入ってから公式に感染が認められたもので、これまでの研究ではウィルスの起源は1930年代頃と考えられていた。
研究グループはエイズウィルスの遺伝子サンプルの追跡調査に加えて、エイズに似た症状の発症例を文献調査を行う行うことで、エイズは恐らく、1908年頃にアフリカの原住民がチンパンジーを撲殺した際に、飛翔した血液によって人間に感染したのではないかということを突き止めた。
研究グループによると、現在のエイズの症状に近い発症例としては1959年にアフリカのコンゴ民主共和国の首都なるキンシャサ市で死亡例が最初で、その後は同じく1960年にキンシャサ市で死亡例が見つかったとしている。
その上で、研究グループでは最初はチンパンジーだけに認められていたウィルスが、1908年前後に人間に伝播、その後、このウィルスは突然変異を繰り返しながらアフリカの都市部で売春婦などを通して多数の人間に伝わったことが、今日に至る、エイズウィルスの蔓延の原因となったと論じている。
そんなところまで分かっちゃうのかー。やっぱり文献は残しておくべきですな。
しかし情報の氾濫している今の時代を100年後の世界が見たら、何が正しいんだか分からなくなるかもしれませぬ。
ある日、チンパンジーから飛んだ血液が、100年経っても根治法の見つからない、世界中で蔓延するウイルスになろうとはねぇ。
例えばなんかそこらへんの犬や猫から、人間に感染するはずのないウイルスが突然変異していて、人間に誤ってかかってしまったとして、そこからアウトブレイクが始まる危険性もなきにしもあらず、なわけですよね。いくら医学が発達しても終わることのないいたちごっこになるのかもしれません。
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