治療のために摘出した腎臓を別の腎臓病患者に移植する「病気腎移植」を厚生労働省が原則禁止としたのは患者の生存権侵害にあたるなどとして、愛媛県内などの腎臓病患者らが4日、国を相手取り、損害賠償と病気腎移植の容認などを求める訴訟を松山地裁に起こすと発表した。
病気腎移植を否定した日本移植学会幹部に対する損害賠償請求訴訟も行う予定で、ともに今月中にも提訴する。
愛媛や広島など5県の9人が原告になる予定で、原告のうち、6人は病気腎移植を望んでいた患者で1人当たり1000万円程度、残り3人は移植経験者で1人500万円程度の賠償を求める方針で、総額約7500万円を見込んでいる。
難しい問題ですな。国に責任があるかというとどうかなーという気もします。病気腎は確かに異常な腎なわけで、移植したらよろしくない効果が出てしまうかもしれない、じゃあ国としてはどちらに傾くかとなると、そりゃ病気腎移植廃止の方向でしょう。もしOKして、例えば病気腎から転移とかしたら、そりゃ大事ですし。
ただ、腎臓というのはあまりにも重要な臓器なものですからね。イメージとしてはやはり脳や心臓が命には大事っていう感じはあるかもしれませんけれど、老廃物の除去や体を流れる物質の調整を行っているのは腎臓なので、これが機能していないというのは本当につらい状況なんですね。ですので、病気の腎臓でもいいから移植してほしいという人がいるのも分かりますし、そういった希望を断ってしまうのが酷だというのも分かります。
日本はお国柄なのか、脳死による臓器移植が発達していないので、このように病気の腎臓すらも数に入れなければならなくなっているんですよね。逆に病気腎移植を禁止にしたところで、じゃあ金持ち日本人がフィリピンやインドネシアに行って臓器を買ってくるのは良いのか、と。自己責任なだけ病気腎移植のほうが倫理的に問題ないような気もしないでもないです。
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