2008年10月03日

2008年度イグ・ノーベル賞発表。2年連続で日本人が受賞する。

「コカ・コーラの避妊効果」研究にイグ・ノーベル化学賞

 ノーベル賞の発表を控えた時期に恒例となった、イグ・ノーベル賞の第18回授賞式が2日夜、米ハーバード大学のサンダース・シアターで催され、「コカ・コーラの避妊効果」について研究し、真反対の結果を導き出した2つの研究グループに、化学賞が贈られた。片方は「避妊効果がある」との結論で、もう片方は「効果がない」としている。

 「コカ・コーラに避妊効果がある」との研究は、米ボストン大学医学部のデボラ・アンダーソン教授が1985年に、米医学誌の権威ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシンに発表したもの。コカ・コーラの中でも、特にダイエット・コークの避妊効果が最も高かったという。

 同様の研究は台湾の研究グループも行っており、同時受賞となった。しかし、台湾のグループは、コカ・コーラならびに他のソフトドリンクには「避妊効果がない」ことを確認している。

 一方、清涼飲料水大手コカ・コーラは、イグ・ノーベル化学賞についての問い合わせに、回答を拒否している。

 また、高価な偽薬(プラセボ)ほど、安い偽薬よりも効果が高いことを確認した米デューク大学のダン・アリエリー行動経済学教授が、医学賞を受賞した。

 同教授は体の70%以上をやけどして入院した3年間に、病院内の患者の行動を観察。やけどの痛みで夜に飛び起きる患者が、看護師から鎮痛剤を受けてすぐ眠る様子を何度となく見かけたが、看護師から注射は単なる生理食塩水だと聞かされ、偽薬とその効果に注目。

 「何かを期待すれば、人間の脳はそれを実現させるよう働く」と述べ、価格が安い後発医薬品「ジェネリック医薬品」も、名前と値段を変えれば高い効果が上がると主張している。

 このほか、脳を持たない真正粘菌が迷路の最短経路を見つけることを発見した、中垣俊之・北海道大准教授ら6人の研究が、認知科学賞を受賞。日本人の受賞は、昨年「牛糞からバニラ香料成分の抽出」研究で受賞した山本麻由さんに続き、2年連続となった。

 同賞は、「笑えるとしか言いようがなく、しかも記憶に残り、人々を考えさせる業績」に贈られる。授賞式には歴代のノーベル賞受賞者が出席し、化学賞受賞者に敬意を表して、壇上でコカ・コーラを飲んで祝福するなど、会場を盛り上げた。

今年の受賞一覧は以下の通り。

○栄養学賞:「同じ食べ物でも、名前の聞こえが良い方がおいしく感じる」ことを示したイタリア・トレント大学のマッシミリアーノ・ザンピーニ氏と英オックスフォード大学のチャールズ・スペンス氏に授与。

○平和賞:「植物にも人間と同様に尊厳がある」ことを法的に定めた、スイスの人間以外の生物工学に関する連邦倫理委員会とスイス国民に授与。

○考古学賞:考古学の発掘現場付近に生息するアルマジロが、発掘品をより深く埋めたり持ち去ったりすることで、発掘現場がメチャクチャになるだけではなく、歴史が変わってしまう可能性があることを示した、ブラジル・サンパウロ大学のアストルフォ・ゴメス・デ・メロ・アラウージョ氏とジョゼ・カルロス・マルセリーノ氏に授与。

○生物学賞:「イヌに寄生するノミは、ネコに寄生する個体よりも、より高く飛ぶことができる」ことを発見した、フランス国立トゥールーズ獣医大学のマリークリスティーヌ・カディエルジュ、クリステル・ジョベール、ミシェル・フランの3氏に授与。

○医学賞:「高価な偽薬(プラセボ)は安価な偽薬よりも効果が高い」ことを確認した米デューク大学のダン・アリエリー行動経済学教授に授与。

○認知科学賞:脳を持たない単細胞生物の真正粘菌が、迷路の最短経路を見つけることを発見した、中垣俊之・北海道大准教授、小林亮・広島大教授、石黒章夫・東北大教授、ハンガリー・セゲド大学のアゴタ・トス氏ら6人に授与。

○経済学賞:プロのストリッパーの排卵周期が、チップ収入に影響を与えることを発見した米ニューメキシコ大学のジェフリー・ミラー、ジョシュア・タイバー、ブレント・ジョーダンの3氏に授与。3氏らによると、ストリッパーが最も稼ぐのは、生殖能力が最も高い時期であるという。

○物理学賞:大量の糸や髪の毛は、外部要因がなくとも必ず絡まることを数学的に証明した、スクリップス海洋研究所のドリアン・ライマー氏と、米カリフォルニア大学サンディエゴ校のダグラス・スミス氏に授与。

○化学賞:「コカ・コーラの避妊効果」についての研究で、ボストン大学医学部のデボラ・アンダーソン教授、ならびに台湾の台北医科大学の研究グループに授与。アンダーソン教授らの研究は「避妊効果がある」で、台北医科大学の研究は「効果がない」と、全く正反対の結果となっている。

○文学賞:「バカ野郎:物語的手法を用いた、組織内で経験した憤慨についての分析」研究で、英カス・ビジネス・スクールのデイビッド・シムズ氏に授与。



粘菌の賢さ解明し「認知科学賞」=2年連続で日本人−イグ・ノーベル賞

 おかしくかつ意義深い独創的研究に贈られるイグ・ノーベル賞の授賞式が2日、米ボストンのハーバード大で行われ、脳を持たない原生生物である粘菌に迷路を最短ルートで解く能力があることを発見した北海道大の中垣俊之准教授ら6人が「認知科学賞」を受賞した。日本人の受賞は2年連続。

 広島大の小林亮教授、東北大の石黒章夫教授らも連名で同賞を獲得。小林教授は「狙っていても取れない賞。研究が『受けた』のはとてもうれしい」としている。日本人では、ウシのふんからバニラの芳香成分を抽出した山本麻由さんが昨年「化学賞」を受賞し、それ以前にもカラオケの発明者らが「栄誉」に輝いている。



 こういう賞をユーモアとして受け入れるような研究者ほど、将来大成しそうな気もします。

 ちなみに受賞した研究の詳細はこちら。

 理化学研究所(小林俊一理事長)は、アメーバ生物である真正粘菌変形体が迷路を最短ルートで解く能力があることを発見しました。この発見は、当研究所のフロンティア研究システム(FRS)局所時空間機能研究チーム・中垣俊之フロンティア研究員と、北海道大学電子科学研究所の山田裕康講師(FRS制御系理論研究チーム・フロンティア研究員[非常勤])らによって行われました。

 粘菌変形体には脳や神経系はなく、原形質と呼ばれる物質の塊のみからできているため、高度な情報処理能力は無いと思われてきました。ところが原形質の持つ物理化学的な性質(例えばリズムやパターン形成)が巧みに組み合うことによって、迷路を最短ルートで解くという高い情報処理能力を発揮していることが分かりました。

 この成果は、生物の情報処理機能を物質レベルから解明する糸口を与え、かつ新しい機能性材料の設計原理につながることが期待されます。


 ただのおばかな研究ではなく、かなり凄い研究なんです、実は。

 これからも日本人の活躍を期待したいところです。

日本人のイグ・ノーブル賞受賞者

1992年
医学賞:「足の匂いの原因となる化学物質の特定」という研究に対して - 神田不二宏(資生堂研究員)ら

1995年
心理学賞:ハトを訓練してピカソの絵とモネの絵を区別させることに成功したことに対して - 渡辺茂(慶應義塾大学教授)ら

1996年
生物学的多様性賞:岩手県の岩石からミニ恐竜、ミニ馬、ミニドラゴン、ミニ王女など1000種類以上に及ぶ「ミニ種」の化石を発見したことに対して。「ミニ種」はいずれもすでに絶滅しており、体長は0.3mm以下であったという。 - 岡村長之助(岡村化石研究所)

1997年
生物学賞:「人がガムを噛んでいるときに、ガムの味によって脳波はどう変わるのか」という研究に対して - 柳生隆視(関西医科大学講師)ら

経済学賞:「たまごっち」により、数百万人分の労働時間を仮想ペットの飼育に費やさせたことに対して - 横井昭宏(ウィズ)、真板亜紀(バンダイ)

1999年
化学賞:夫のパンツに吹きかけることで浮気を発見できるスプレー「Sチェック」を開発した功績に対して - 牧野武(セーフティ探偵社)

2002年
平和賞:犬語翻訳機「バウリンガル」の開発によって、ヒトとイヌに平和と調和をもたらした業績に対して - 佐藤慶太(タカラ)、鈴木松美(日本音響研究所)、小暮規夫(獣医師)

2003年
化学賞:「ハトに嫌われた銅像の化学的考察」。兼六園内にある日本武尊の銅像にハトが寄り付かないことをヒントに、カラス除けの合金を開発した。 - 廣瀬幸雄(金沢大学教授)

2004年
平和賞:「カラオケを発明し、人々に互いに寛容になる新しい手段を提供した」業績に対して - 井上大佑 (会社経営者、大阪府)

2005年
生物学賞:131種類の蛙がストレスを感じているときに出す特有のにおいを全部嗅ぎ分けてカタログ化した、骨の折れる研究『においを発するカエルの分泌物の機能と系統発生的意義についての調査』に対して - 早坂洋司(オーストラリアワイン研究所)

栄養学賞:34年間、自分の食事を撮影し、食べた物が脳の働きや体調に与える影響を分析したことに対して - 中松義郎(ドクター中松)

2007年
化学賞:ウシの排泄物からバニラの香り成分「バニリン」を抽出した研究 - 山本麻由(国立国際医療センター研究所研究員)

関連
医学処:「モスキート着信音」が2006年のイグ・ノーベル賞を受賞


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posted by さじ at 17:23 | Comment(0) | TrackBack(0) | NEWS
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