今年4月から国が定める医療費の仕組みが変わり、患者が自分で受け取る薬を値段の安い後発医薬品(ジェネリック医薬品)に変更できるようになった。7月には新たに使える後発医薬品が増え、患者の選択肢が広がっている。
後発医薬品は、先発薬の特許(20〜25年)が切れた後、ほかのメーカーが作る同じ有効成分の薬だ。米英独では、薬の量の約6割を後発医薬品が占めるが、日本では2006年度で17%しかない。後発医薬品の利用を促すため、国は今年4月から制度を変更し、医療機関からもらった院外処方せんを薬局に出す時に、患者が自由に後発医薬品に切り替えられるようにした。ただし、院外処方せんに「後発医薬品への変更不可」と書かれたものは変更できない。
では、実際にどのくらい安くなるのだろうか?
市民団体「納得して医療を選ぶ会」の薬剤師、松本洋美さんによく処方される薬の例を挙げてもらった。
まず、高血圧治療でよく使われる「カルシウム拮抗薬」。最も推定売上高の多い「ノルバスク」の後発医薬品が今年7月から使えるようになった。1錠5ミリ・グラムの場合、先発薬の値段は75・6円だが、後発薬にすると52・9円だ。
コレステロールを下げる代表的な薬「メバロチン10」では、先発薬の薬価は1錠124・4円だが、安い後発薬に替えると1錠27・8円になる。
後発薬を処方すると薬局に調剤料などが加算される。それを合わせても、この二つの薬を同時に飲んでいると、健康保険で3割負担の場合、年間で約1万3000円自己負担分が減る計算だ。
リウマチ治療薬「リウマトレックス」の場合、1週間に6ミリ・グラム服用するとして、後発薬に切り替えると、1年間に3割負担で約6700円、花粉症治療薬の「アレジオン20」を1か月飲むと、3割負担で約1100円支払うお金が安くなるという。
調剤薬局の薬剤師として働く松本さんは「どの程度、自己負担が軽くなるかは、飲んでいる薬によって違う。薬局で相談すると個別に計算してくれるので、積極的に尋ねてほしい」と話す。
「後発医薬品を希望する方はご相談ください」などと張り紙を出す薬局も増えている。在庫になくても取り寄せてくれることも多い。ただし、処方された薬に後発薬がない場合もあり注意が必要だ。
◆7月から新たに後発医薬品が増えた主な薬
(名前は先発薬の商品名)
高血圧治療薬 ノルバスク、アムロジン、タナトリル
アレルギー治療薬 エバステル
抗うつ薬 トレドミン
消化器病治療薬 ガナトン、ガストローム、プロマック、ペンタサ
消炎鎮痛薬 モービック
緑内障治療薬 ミロル点眼液
眼科用抗アレルギー薬 リボスチン点眼液
案外良い速度で広がっていますね。負担が減るのは良いことです。
あとは新薬を作る製薬会社との折り合い、ですかね。難しいところです。莫大なお金をかけてつくったものなのに旨味が減ってしまっては。
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