脳が活動するとき、よく働いている部分の血流が増えることは知られているが、これまでは、測定している血管を画像で直接確認し血流を測ることはできなかった。自然科学研究機構・生理学研究所の畑中伸彦助教らの研究グループは、東京都医学研究機構東京都神経科学総合研究所、科学技術振興機構と共同で、病院で心臓の血流検査などに用いられる超音波断層法や超音波ドプラー血流測定法を組み合わせることで、脳が働いているときの血流の変化を微小な動脈ごとに直接測定することに成功した。
同研究グループは、大脳表面の大脳皮質内の微小動脈を、超音波脳断層図とカラードプラーイメージ法を組み合わせて見つけ出し、その後、その微小動脈の血流の速さの変化を断続的に測定可能なパルス・ドプラーモード法で測定することにより、見つけ出した血管の血流をリアルタイムで測定することができた。
畑中助教によると「脳内に挿入した電極等の位置を確認するために超音波診断装置を用いていたところ、脳表層の小動脈の血流速が測定可能であることに気付いた。そこで二次元的に高周波の超音波が発信・計測できるプローブを用いて微細な脳部位の血流速を測定すれば、リアルタイムに脳局所の機能を調べることが出来ると考えた。実際、サルの大脳皮質を測定した結果、神経活動のリアルタイム測定が可能であり、また皮質運動野の新たな機能についてもわかった。さらに、低コストでの脳機能イメージングが可能,専用の設備を必要としない、などの利点もあった」という。
また、この方法でサルの大脳皮質運動野(運動の司令を出す部分)の血流を測定し、運動を学ぶ際の脳活動について、脳の部分ごとに血流の変化が異なることを見いだした。今回開発した方法を『経脳硬膜超音波ドプラー法』と名付けた。
今後、この方法を応用すれば、運動や刺激による反応などで起こる脳の血流変化を直接測定できるため、脳外科手術の際の脳部位の把握や臨床診断などにも用いられると期待される。
CTやMRIで脳の血液が多い部位少ない部位というのは分かりますが、この方法はもっとリアルタイムで微細な血流の変化を見れるらしいです。
この手法でデータが多く揃えば、神経内科や脳外科の領域で更に精度の高い診断や治療が出来るようになるかもしれません。
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