独立行政法人理化学研究所(野依良治理事長)は、関節リウマチ(RA)の原因の1つがCD244遺伝子の一塩基多型(SNP: Single Nucleotide Polymorphism)であることを突き止めました。ゲノム医科学研究センター(中村祐輔センター長)疾患関連遺伝子研究グループ、自己免疫疾患研究チームの山本一彦チームリーダー、鈴木亜香里上級研究員、高地雄太研究員、山田亮客員研究員らの研究グループと東京大学大学院医学系研究科アレルギー・リウマチ内科との共同研究による成果です。
関節リウマチは、関節に炎症を起こす病気で、自己免疫疾患と呼ばれる病気の1つです。関節リウマチをはじめとする自己免疫疾患の発病には、遺伝子素因がかかわっていることが知られています。
研究チームは、ゲノムワイド・ケースコントロール相関解析を行い、CD244遺伝子が関節リウマチの原因遺伝子の1つであることを発見しました。また、CD244遺伝子にあるSNPのうち、関節リウマチに関与する2つのSNPが、CD244遺伝子自体の発現量にかかわっていることを突き止めました。さらに、このSNPを2つとも持つ人は、持たない人に比べ、約1.5倍も関節リウマチになりやすいことを明らかにしました。また、別の自己免疫疾患の1つである、全身性エリテマトーデス(SLE:Systemic lupus erythematosus)でも同様の相関があることを発見しました。
CD244遺伝子は、主にNK細胞で発現しており、さまざまな免疫反応において、重要な役割を持つと考えられています。今回の発見をもとに、CD244遺伝子が自己免疫疾患の発症にどのようにかかわっているのか、また、NK細胞におけるCD244遺伝子の機能や、CD244遺伝子による自己免疫疾患への関与を明らかにすることで、自己免疫疾患の新規治療法、画期的な治療薬の開発につながることが期待されます。
本研究成果は、米国の科学雑誌「Nature Genetics」に掲載されるに先立ち、オンライン版(9月14日付け:日本時間9月15日)に掲載されます。
新しいものを発見するプロフェッショナル集団、理化研がまたまた新発見。
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