2008年09月14日

妊婦は原則としてシートベルトを着用すべきである。

妊婦もベルト着用を=指導を開始へ−警察庁

 警察庁は11日、妊婦にもシートベルトを着用するよう警察官が指導する取り組みを始めると発表した。

 現行法令で、妊婦は場合によってベルト着用が免除されているため、着用を控える人が多かったが、専門家の見解を踏まえ、広報啓発や安全教育に乗り出す。取り締まりではなく、原則として指導にとどめる。

 今月中にも、交通ルールやマナーを解説した交通教則を改正し、都道府県警に通達を出す。



 免許取得時によくある問題でシートベルトはいかなる場合でも着用せねばならない、マルかバツか、というのがありましたね。答えはバツなんですけど。

 ただ時代は移り変わりまして、医学的にも、妊婦はシートベルトをしたほうがいいらしいです。

 「おなかを圧迫すると思った」。宇都宮市で昨年7月、妊娠21週を迎えた主婦、上田淳子さん(23)は夫峻也さん(20)運転の乗用車でスーパーに買い物に出かけた。おなか回りは約80センチ。知人から「必要ない」と聞いていたため、シートベルトをせず助手席に乗った。

 交差点を右折中、対向車線を直進してきたワンボックス車と衝突。上田さんはダッシュボードの下でおなかを抱えうずくまったまま気を失った。左気胸など重傷を負ったが、胎児は無事だった。済生会宇都宮病院の飯田俊彦産婦人科医長は「胎児、子宮に影響がなかった。奇跡です」と驚く。

 同12月、3105グラムの男の子を無事出産。上田さんは「よく生きていたと思う。妊婦には着用を呼びかけたい」と話す。


 シートベルトをすると腹部を圧迫するわけですから良くないような気もしますけれど、事故にあったときに助からない可能性が高いという致命的なリスクを負うわけです。これは厳しい。

 医学的に研究された方がいるようですのでご紹介。案外知られていないことですが、こういう分野でも法医学は大活躍します。遺体ばかり診ているだけではなく、事故や怪我の程度を把握することも法医学では重要なのです。

 妊婦の安全とシートベルトの関係を研究してきた独協医大の一杉正仁准教授(法医学)は「正しく着用すれば胎児への影響を軽減できる」と断言する。昨年、妊婦のダミー人形のおなかに3リットルの水を入れ、妊娠30週の妊婦が運転中に時速30キロで追突された場合に受ける衝撃を測定した。シートベルトを着用していれば、おなかへの衝撃を未着用時の3分の1に軽減できることが判明した。

 また妊娠30週の妊婦20人に運転席に座ってもらい、おなかとハンドルの間隔を測ると平均14・5センチだった。妊娠していない人と比べ約10センチハンドルに近いが、人形を利用した追突実験で、シートベルトを着用していれば衝突時にハンドルとおなかの間にすき間ができることが確認された。

 着用が義務づけられている米国では、妊婦の着用率は8割以上で、英国でも7割超。一方、別の研究者が94年に実施した調査では日本での着用率は32%と低い。多くの妊婦が「法的義務がないから」と回答したという。

 妊婦がシートベルトを嫌う理由の一つはおなかへの圧迫感だ。一杉准教授によると、ベルトを肩と腰に固定し、腰回りのベルトを大きくなったおなかの下に通せば解消される。日本産科婦人科学会と産婦人科医会も、近く「産科医療に関するガイドライン」で同様の着用方法を呼びかける。


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posted by さじ at 02:21 | Comment(0) | TrackBack(0) | 救急
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