シンガポール国立大の伊藤嘉明教授らの研究グループが、RUNX3と呼ばれるがん抑制遺伝子の欠如が、大腸がんの発症や増殖に深く関与していることを解明した。この遺伝子は胃がんの抑制遺伝子として知られているが、大腸がんでも早期診断や治療への応用が期待される。
米科学誌キャンサーセルの9月号に掲載。同大学などが9日、発表した。
発表によると、グループは動物実験やがん患者の細胞の分析を通じ、大腸がんの増殖を引き起こすタンパク複合体を抑制するRUNX3が、がんの極めて早期に不活性化することを突き止めた。
伊藤教授は「乳がんやぼうこうがん、大腸がん、肺がん患者の治療に臨床応用が期待できる」と話している。
伊藤教授は東北大で医学博士号を取得、京大ウイルス研究所所長などを経て、2002年にシンガポール国立大教授(がん研究所所長)に就任した。
がん抑制遺伝子とは、文字通り、がんの発生を抑制するタンパク質を作り出す遺伝子です。
一番有名ながん抑制遺伝子は「p53」ですかね。このRUNX3も同様にがんを抑制する遺伝子なのですが、この遺伝子が何らかの理由で欠如している人には大腸癌が発症しやすい、ということで、今後早期発見などで有用となるかもしれません。
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