2008年09月09日

自己愛性人格障害の特徴と診断について

「自分は重要な人間だ」と思い込む 「自己愛性人格障害」とは何か 

 茨城県土浦で8人を連続殺傷した犯人が、人格障害の一種「自己愛性人格障害」と診断された、と各紙が報じている。この障害は「自分は重要な人間だ」「周りは自分を理解できない」と思い込むのが特徴だ。ただ、一方で本当に「自己愛性人格障害」なのかという指摘もある。

「世が世ならば、自分はもっと高い地位にいたはずだ」
「魔法の世界は現実と違い、自分は特別な存在になれる。すべてが自分の思い通りにできる。だから死にたい」

 2008年8月31日「朝日新聞」は金川真大被告がこのように供述していると報じた。茨城県土浦市のJR荒川沖駅で08年3月に8人を殺傷した犯人は、高校を卒業してから進学も就職もせず、コンビニでアルバイトをしていて、家に帰れば部屋にこもってゲーム三昧。一緒に暮らしている家族とはほとんど口をきかなかった。そして次第に、「世が世ならば、自分はもっと高い地位にいたはずだ」と思い込むようになった。逮捕後、捜査関係者にも真顔でそう話し、不満を口にする場面もあったという。そんな「本来」の自分になれる理想世界を死後に求めた。犯行に及んだのは死刑になるためで、「自殺は痛いからいやだ」「派手な事件を起こして死刑になりたかった」として身勝手極まりない理屈を述べているという。

 「自己愛性人格障害」というのは聞きなれない病名だが、この人格障害には、幼少期に過保護に育てられ、「私は特別な人間なんだ」と思い込むタイプがあるという。厚顔無恥、誇大、顕示欲の強さなどが特徴とされる。また、幼い頃から親の愛情を受けなかったために、「自分は本当はもっとすごいんだ」と空想して、傷付いた自尊心を取り戻そうとするタイプもあるという。

 主な特徴としてアメリカ精神医学協会のマニュアルには以下の9つが掲載されている。

(1)自分の重要性は大変大きなものと考えている。
(2)限りない成功、権力や才能といった空想にとらわれている。
(3) 自分が特別な人間であるため、地位の高い人にしか自分は理解されないと思っている。
(4)過剰な賞賛を求める。
(5)自分だけに特権があると思っている。
(6)自分自身の目的を達成する為なら、他人を利用する。
(7)他人に対する共感が欠けている。
(8)他人に嫉妬する。
(9)尊大で傲慢な態度や行動をとる。

 このうち、5つ以上当てはまる場合は障害の可能性が高いと言われている。「自分は特別な存在」と話す金川被告は、(1)や(5)にあてはまる可能性がある。また、現実の世界では特別な存在になれないが、「魔法の世界」ではなれると思い込んでいる、という点では(3)に該当すると思われる。このように、金川被告の言動は「自己愛性人格障害」を疑わせる。

 「この障害の裏には自己嫌悪があり、それを隠すために自分は本来は優れた人間なんだと思い込みます。しかるべき環境だったら、社長になれる、ノーベル賞を取れると言う人もいます。ただ、何も根拠はなく、実現のための努力をしようともしません。うまくいかないと、すべて周りのせいだと思っています。会社内でもそのような態度なので、転職先で次々と首になったという人もいました」

「アメリカに比べて日本では症例が少ないのが現状で、なかには誤診されていることもあると思います。言葉で定めた診断基準で見極めるのは難しい」
とも指摘する。

 確かに、患者の中には診断中に気に障ることがあるとキレて、暴力を振るうこともあるが、

「この手の患者さんは暴力を振るうといっても、大怪我させようとか、ましてや殺そうと思うことはありません。土浦の事件の場合は計画的に事を運んだようですが、自己愛性人格障害では考えにくいです。該当するかどうか・・・」
と疑問も口にする。

 治療はカウンセリングをベースに行う。治療開始は早いほどいいが、患者は自分が病気だと思っていないため、自ら治療を受けにくることはほとんどない。もし、周囲の人が疑わしいと思ったら心療内科に相談して、早期に治療を受けさせる必要がある。



 自己愛性人格障害かなーと思う人は結構いますよね。まぁ社会からみて、特に脳の器質的な異常がないのに人格障害などとレッテルを貼っていいのかという話もありますけれど、人格障害の人の周囲を構成する社会全体がホトホト参るほど疲れてしまうので、まぁ受診して自身に対する歪みを修正できれば、本人にとっても周囲にとっても良いのではないですかね。そういう意味でも、性格の歪みを障害であると言ってしまう意義はあるかと。

 話は脱線しますけれど、最近某所で「愛読書」として挙げられていた下田治美著の「精神科医はいらない」という本を読みましたが、読みながら思った感想は、「これは恐るべき本だな」というもの。こんなのを一般に流通させてもいいのか、というぐらいのトンデモ本だと思います。著者は自分が言いたいことをハッキリ言う行動力のある人だということを自覚しているようですが、だからといって論理の欠片もない医者批判を堂々と行われても。これを読んで精神科医に対する不信感が芽生え、病院に行かなくなる人がいるかと思うと、、、

 好意的にとるならば、駄目な精神科医を批判することで全体のレベルアップに繋がるかもしれません。実際に駄目すぎる精神科医はいます。本書で挙げられているようなこともあると思います。そういう医者は糾弾されるべきです。駄目な精神科医の低レベルっぷりについては何度かお話していると思います。ですがこの、なんというんでしょうかね、根拠のなさ、とでもいいますか、論理的思考力のアレとでもいいますか、説得力がない。

 色んな人が言っていますが、この作者はいささか思い込みが激しいような?自身のウツ病(自称うつ病のプロである作者は、鬱病と鬱状態、抑うつ、抑うつ神経症などの区別をつけず、全てをひっくるめてウツ病と記載しています)の発症原因をヤマギシという団体の洗脳によるものだと主張しています。確かに自分のプライドを傷つけられるだとか、騙されたというショックで鬱状態になることはあるかもしれませんが、鬱病にはならんでしょうな。加えて言うなら、どんな人でも絶対に洗脳されると書かれていますが、まぁそんなことはない。正常な理性、思考力を持っていれば「洗脳」などされんでしょう。されていたら今の日本人の9割がマルチ商法や新興宗教に手を染めてますわ。

 もっとこう、題名のとおり「精神科医はいらない」ことを、論理的にまとめていれば称賛に値する本だったと思うんですけれど、一貫性がなくて非常に読みづらい上に、1つ1つのエピソードにまとまりが欠けるという、何ともいえぬ本でした。この本に挙げられていることを精神科医全体の真実である、と鵜呑みにしてしまう人が出ないことを願います。こちらのブログでトンデモ本として批判されています。本にはまだまだツッコみどころ満載なので、暇すぎて無人島に行かなければならないような人、懲役があと20年近く残っているような人は、手にとって読んでみてもいいかもしれません。

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posted by さじ at 04:03 | Comment(0) | TrackBack(0) | 精神
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