コンシェルジュやエスコートスタッフを配置する病院が増えている。病院ごとに呼び名や役割は異なるが、「患者の満足度向上」「医師、看護師などの業務負担軽減」という狙いは同じ。患者からの評判も上々で、医師、病院にもメリットがあることが分かり、今後も広がっていきそうだ。
大病院の外来でありがちな「3時間待ちの3分診療」をなくし、患者、医師、病院の三者それぞれにメリットのあるシステムをつくろうと、日本医療コンシェルジュ研究所は、「MA(メディカルアシスタント)」と「MC(メディカルコンシェルジュ)」の2つの民間資格と研修プログラムを創設した。今年4月までに、全国37病院の看護師、保健師、臨床検査技師、診療放射線技師、事務員ら約350人が資格を取得している。
MAの研修プログラムは、今年4月の診療報酬改定で報酬の対象となった「医師事務作業補助者」の育成を目的としている。一方、MCは患者の不安や不満を解消し、満足度を向上させるコンシェルジュを育てるのが狙いだ。
同研究所の深津博理事(名大医学部附属病院放射線部准教授)は「裏方だが、司令塔やプロデューサーのようなイメージで、病院、医師、患者間をつないでほしい。医師、患者双方の負担を軽減し、患者の待ち時間を減らしていくことで、病院経営の効率化にもつながる」と話す。
深津理事は2005年6月、同病院放射線部で司令塔役として1人のコンシェルジュを試験的に配置。紹介状を持った初診患者と受診・検査予約などの調整を任せたところ、予想通り患者から好評を得た。その後、コンシェルジュをもう1人増やし、全診療科で調整して、効果の統計を取ったところ、平均の初診受付待ち時間は約26.8分から約7.9分に、外来での待ち時間は約67.1分から約7.2分に大幅に短縮されたことが分かった。一方、実診療時間は約82.5分から約101.8分と長くなったことから、患者満足度が大幅に上がった。現在、同病院では4人のコンシェルジュが司令塔として活躍している。
コンシェルジュが間に入って調整することで、患者側が受けるメリットとしては、待ち時間と診察の終わりの時間が予測しやすくなり、ストレスが減る▽受診日に検査を受けられるため、通院回数が減る▽セカンドオピニオンや高度先端医療の適否などが相談できる−などがある。
医師にも、▽紹介状を書いた医師と紹介を受けた医師の両方に対する患者の信頼度がアップする▽医師は「治療」という本来の業務に専念しやすくなる−などのメリットがあり、病院側は経営が効率化されることで、全体の収益が上がる。
全国から患者が来院する亀田総合病院などを運営する医療法人鉄蕉会(千葉県鴨川市)は、1995年からサービスカウンターを設置して、患者の満足度向上のための取り組みを始めた。2005年から「コンシェルジュ」という呼び名を使うようになり、現在は「生活コンシェルジュ」と「メディカルコンシェルジュ」に役割を分担し、計25人のスタッフを配置している。
「生活コンシェルジュ」は同年に設置したカスタマーリレーション部の所属で、▽遠方からの入院患者や単身入院患者の入院生活全般のサポート▽院内見学の案内▽買い物代行サービス▽問い合わせやクレーム対応−などを担当。一方、「メディカルコンシェルジュ」は診療部事務室の所属で、受診や検査などの事務手続きをサポートし、「日帰りで手術を受けたい」など、さまざまなリクエストを受けて調整する業務を行っている。
大病院は、外来で時間単位の予約をとります。でもその時間どおりに行くことはほとんどありません。医師が真剣に診療しているからこそ、です。1日にこなさなければいけない人数を50人とすると、予約の段階で1時間に8人〜9人ほどいるとします。すると1人あたりにかけられる時間が数分になってしまいます。が、実際には何十分もかけるわけです。加えて新規の患者さんや緊急の患者さんも診ていると、あれよあれよという間に時間は過ぎ去っていきます。
患者さんを3時間近く待たせてしまうのは本当に申し訳ないとは思います。そこでコンシュルジュの出番だそうですけれど、具体的に何をするんでしょうね。思いつく限りでいうと、まず必要と思われる検査を全部終えておくとか、あとは呼ばれる直前になったら電話で呼び出すサービスとか。でもこれってどこの病院でもやってるっちゃやってますよね。ただ看護師や医療スタッフの仕事みたいになってますけど。
医師の外来状況を事細かに把握できるシステムが出来れば、それに合わせて携帯か何かで呼び出すサービス、というのが一番合理的かな。これだと近くの本屋とかで暇を潰せるし。病状が悪い人には結局厳しいままではありますが…。
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