富山大医学部第一内科は、同大付属病院で、患者の遺伝子を調べた上で糖尿病の治療法を考える「オーダーメード医療」の導入を検討している。戸辺一之同科教授(50)の調査で、糖尿病の原因遺伝子を多く保有する人が発症しやすいことが分かっており、成果を治療に生かす。戸辺教授は「遺伝子情報を基に、効果的な薬の種類や量を患者ごとにきめ細かく判断できる。来年にもスタートしたい」と話している。
糖尿病は過食や運動不足のほか、遺伝子を原因とするインスリン分泌不足により発症し、腎不全や脳卒中、心筋梗塞を引き起こす。国際的な研究の成果で、インスリンの分泌を阻害し、糖尿病を引き起こす恐れのある約十種類の遺伝子が昨年までに特定されている。
戸辺教授と岩田実助教(42)、院生の加村裕さん(44)は昨秋から、富山大付属病院の入院患者約百七十人の血液を採取し、糖尿病の原因遺伝子の有無を調査。70パーセントの患者が四種類以上の原因遺伝子を保有していることや、六種類以上を持つ患者の発症年齢が、五種類以下の人より五歳早いことが分かった。
研究成果を患者に還元しようと、富山大医学部第一内科は来春にも、同学部倫理委員会にオーダーメード治療の是非を諮り、来夏以降の導入を目指す。今後は済生会高岡病院、社会保険高岡病院などと連携して患者の情報を集め、糖尿病と原因遺伝子の関連性をさらに調べる。
厚生労働省の人口動態統計(十七年)では、富山の糖尿病を原因とする死亡者は人口十万人当たり十四・四人で、徳島、大分に次いで多い。
遺伝子情報の活用には、個人情報保護などの観点から賛否もあるが、戸辺教授は「患者から同意を得る方法や、遺伝子情報が外部に漏れないような態勢作りを進めたい」と話している。
いよいよ細かいレベルでの個人別医療の提供が可能になるかもしれません。
まさしく、遺伝子も個人情報の時代、ですからね。まだまだ情報漏えいの可能性があるので、確実なシステム構築を目指してほしいと思います。
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