石川県立高松病院(かほく市)は、うつ病と酷似して見分けが付きにくい別の疾患「双極性うつ病」を判定する診察方法を考案し、十月に米専門誌で発表する。長期間落ち込むうつ病に対し、双極性はうつながらも時に気分が高まるそう状態が表れる特徴があり、診断例から編み出した質問リストなどで違いを見分ける。双極性の患者に誤った治療を続ければ死に至る危険もあり、石川から適切な判定法を広める。
双極性の研究に取り組んでいるのは、武島稔診療部長(43)らの医療チームで、二〇〇〇年から七年間、他の医療機関で「うつ病」と診断された入院患者百三十九人の症例から判定方法を探ってきた。
判定方法は「うつなのに散財して後悔することが時にある」「睡眠時間が短くても疲れず力がみなぎることがある」など、通常のうつにない双極性の兆候を、十数項目の質問表や面談で見抜く。
武島部長によると、誤ってうつ病と判定された双極性の患者に、うつ用の薬剤投与を続けると、重度のそう、うつ状態が交互に訪れる不安定な精神状態に陥り、最悪の場合、自殺する恐れもある。
同病院は、うつと診断されて運ばれた患者に判定方法を試した結果、全体のほぼ半数、高齢者で約四割が双極性と判断された。治療では、薬剤を炭酸リチウムなどに切り替えると改善することも確認できた。
双極性については、医師の間でも十分に知られず、研究機関も少数であるのが現状だ。ただ、潜在化している患者は少なくとも人口の2%との報告もあり、武島部長は「糖尿病などと同様に、生活に身近な病である可能性があり、周知することで偏見なく治療できる社会にしたい」と話している。
研究の成果は、精神科の分野で世界的権威のある専門誌「ジャーナル・オブ・アフェクティブ・ディスオーダー」に掲載される。
DSMWにも双極性障害については記されていますけれど、見分けるのはなかなか難しいでしょうね。患者の話を聞いて、判断するという精神科の特殊性でしょう。
関連:30代で多く発症する双極II型障害とはどんな症状か。