バイオ技研工業(能美市)と富山県立大工学部生物工学科の五十嵐康弘准教授ら研究グループは二十五日までに、抗がん作用のある新しい化合物を作り出す微生物を生ごみ処理槽の中から発見し、新薬開発を目指して国際特許を出願した。この微生物は生ごみを発酵分解しながら、がんの転移や活性を抑える化合物を生成していた。動物実験で毒性が非常に弱いことも分かり、医薬品としての用途が期待される。
堆肥中の微生物に環境や農業以外の分野から着目した研究は珍しい。
この微生物は放線菌の仲間で、バイオ技研工業が開発し、能美市内で稼働する有機ごみの処理システムで作られた堆肥から見つかった。
微生物が作り出す複数の物質を調べたところ、いずれもがんの転移を抑制する作用と、細胞のがん化や炎症に関係する活性酸素を消去する作用を持つまったく新しい化合物であることが分かった。
微生物に由来する医薬品としては、青カビから発見された「ペニシリン」や筑波山の土壌から見つかった「タクロリムス」などが有名だが、五十嵐准教授によると、堆肥はほとんど研究されてこなかったという。
研究は生ごみ分解微生物の新たな利用法を探っていたバイオ技研工業の宮野内浩治社長が同准教授に依頼して昨年六月に始まった。短期間での成果に五十嵐准教授は「身近な生ごみの中にこんな面白い微生物がいるとは思わなかった」と話し、宮野内社長は「生ごみの発酵処理は環境に優しいだけでなく、有用な物質が眠る『宝の山』を作る技術だ」と自信を深めている。
まさに宝の山。たまにこういうのを引き当てる強運の持ち主もいるんでしょうなぁ。
もしこれから抗がん剤を作って、かなりの効果を得たとしたら、微生物を発見しただけで何千億何兆という価値に。
目の付け所がシャープ、なニュースでした。