鹿児島大学と米ハーバード大の研究チームが、ブタの腎臓を移植したヒヒを83日間生存させることに成功した。
種類の異なる動物間の腎臓移植では最長記録という。来月大阪で開かれる日本移植学会で発表する。
異種間の移植は、同種間の移植より拒絶反応が激しい。ブタからヒヒへの移植では、移植直後、ヒヒの体内にない抗原が原因で起こる「超急性拒絶反応」と、免疫細胞の一種T細胞が移植臓器を攻撃する通常の拒絶反応の克服が課題となっていた。
鹿児島大学の山田和彦教授(異種移植外科)らは、遺伝子操作で超急性拒絶反応の原因となる抗原を持たないブタを作り、このブタの腎臓と胸腺をヒヒ6頭に移植した。6頭の生存期間は28〜83日、平均で56日生きた。
従来の最長記録は16日だった。
移植した胸腺の中で増殖したヒヒのT細胞が、ブタの腎臓を異物と認識しないように変わり、通常の拒絶反応も起こしにくくなったとみられる。
臓器の大きさや機能が人間に近いブタを用いた異種移植は、臓器不足解消の手段として期待がある一方、未知のウイルスなどの感染が懸念され、人間への応用はまだ難しいと考えられている。
昔からブタの臓器を移植する話はありますね。15年くらい前の映画「地獄の救急車」だか何だかいうB級ホラーでも、ブタの膵臓を移植して糖尿病を治す話だったように記憶しています。
通常の拒絶反応も起こりにくくなるほど、T細胞に変化がみられたということですが、もう少し研究を重ねれば、このT細胞の変化によって、拒絶反応が起こらないブタの腎臓をつくることも可能、ということでしょうね。そうなればもう、夢のような時代なんですが。
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