赤ちゃんの人形を抱くことで豊かな感情をよみがえらせる療法「ドールセラピー」を認知症高齢者に実施したところ、落ち着いたり、会話が増えたりする効果が表れることが兵庫医療大(神戸市)講師の平木尚美さん(41)らの調査で分かった。育児体験を想起するなどし、感情が刺激されるとみられる。二十一日午後二-三時、同市中央区の神戸国際会議場で開かれる「日本看護研究学会学術集会」内で発表する。
平木さんのほか、太成学院大(大阪府堺市)の助手、板東正己さん(51)ら五人が昨年七-九月、グループホームなど三カ所で認知症高齢者十一人に調査した。人形を渡したときの様子をビデオカメラで撮影。「人形に話しかける」など六百五十八件の反応を分析した。
最も多かったのは「人形を見つめる」(九十五件)行動。ほかに「服や靴下を着せる、脱がせる」(五十九件)という人形を擬人化した行動のほか「スタッフに話しかける」(五十五件)など他者との交流が促された例も目立った。「人形から視線をそらす」「抱こうとしない」などもあったが、割合は少なかった。
三年前からドールセラピーを取り入れている大阪府守口市のグループホーム「はるか」では、徘徊していた人が落ち着いたり、寝付きが悪かった人が寝やすくなったりしたという。おむつを替えようとするなど人形を擬人化している場合は「世話をする役割ができ、生き生きする」という。
「人形を本物の赤ちゃんだと思いこんでいる人、人形だと分かって接している人、その中間などさまざまだが、過去の記憶や『かわいい』『いとおしい』という感情が刺激されることは間違いない」と平木さんは話す。
さらに「高齢化がますます進む中、職員とお年寄りのコミュニケーションを増やすツールとしても有効」と指摘し、普及を呼び掛ける。
へぇぇ。育児の記憶でしょうか。育児ってそれほど大きいウエイトを占めているんですねぇ。
高性能な人形与えたらどうなるんでしょう?それともこういう単純なほうが効果的?
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