6. この病気ではどのような症状がおきますか
症状は罹患臓器によって異なります。症状の出現頻度からみますと眼、皮膚、肺の順で多く、眼では霧視(霧がかかったようにぼんやり見える)、羞明(まぶしい)、飛蚊症(ちらちら視野に小さいものが移動する)などが出現します。皮膚では各種の皮疹が出ますが、結節型(円形〜楕円形の隆起した紅色〜暗紅色の鱗屑を伴う硬い皮疹)、局面型(円形〜楕円形の辺縁の隆起性で内面は萎縮性の柔らかいの皮疹)などが多いようです。肺病変の自覚症状は咳、呼吸苦などがあります。また心病変の自覚症状は不整脈が最も多く認められます。しかし約40%の患者さんは自覚症状に乏しく健康診断で発見されています。
7. この病気にはどのような治療法がありますか
この病気は約70%は症状の有無に係わらず経過観察されています。治療の適応は難しい問題ですが、治療は症状の出現が毎日の快適な生活を障害するか、放置すると生命の危険が推測される時に行われます。一般には許されるかぎり3〜6カ月は細心の注意を払い経過観察し治療適応を決めます。しかしこの決定は熟練を要しますので専門医に相談されることが大切です。治療の第一選択薬はステロイドホルモンです。治療法は臓器の種類と重症度によって投与方法、量、期間、中止の目安などが異なります。また再発症例、難治化症例などでは免疫抑制剤なども使用されます。また心病変(特に完全房室ブロック)に対してはステロイド治療と共にペースメーカー装着が必要な症例もあります。
症状
心サルコイドーシスによる不整脈は致死的となることがある。
肺の両側肺門リンパ節腫脹 (bilateral hilar lymphadenopathy;BHL) は、特徴的とされる。咳症状を訴える。
眼症状としてブドウ膜炎を合併することがある。目のかすみ症状を訴え、視力低下・眼圧上昇を来すことがある。
皮膚症状として結節性紅斑などを認めることがある。
検査
CT、胸部X線検査
肺門部のリンパ節腫脹が見られる。
健康診断で胸部X線を行った結果、偶然見つかることも多い。
血液検査
アンギオテンシン変換酵素 (ACE) が高率で上昇する。肉芽腫の類上皮細胞(マクロファージに由来)が産生するとされる。
経気管支的肺生検 (TBLB)
気管支肺胞洗浄 (BAL)
1. 全身性エリテマトーデスとは
この病気は、英語でsystemic lupus eryhtematosusといい、その頭文字をとってSLEと略して呼ばれます。systemicとは、全身のという意味で、この病気が全身のさまざまな場所に、多彩な症状を引き起こすということを指しています。lupus erythematosusとは、皮膚に出来る発疹が、狼に噛まれた痕のような赤い紅斑であることから、こう名付けられました(lupus、ループス:ラテン語で狼の意味)。発熱、全身倦怠感などの炎症を思わせる症状と、関節、皮膚、内臓などのさまざまな症状が一度に、あるいは次々に起こってきます。その原因は、今のところわかっていませんが、免疫の異常が病気の成り立ちに重要な役割を果たしています。
病態
自分自身の体に対する免疫は、血液中の抗体を調べることによって、判断できます。この病気の患者さんの95%以上が、血液中に、抗核抗体という抗体をもっています。自分自身の細胞のなかにある核と反応してしまう抗体です。この抗体が、自分の細胞の核と反応し、免疫複合体という物質を作って、全身の皮膚、関節、血管、腎臓などにたまって病気が引き起こされると考えられています。このほか、免疫を司るリンパ球も直接、自分の細胞、組織を攻撃すると考えられています。
病態
自分自身の体に対する免疫は、血液中の抗体を調べることによって、判断できます。この病気の患者さんの95%以上が、血液中に、抗核抗体という抗体をもっています。自分自身の細胞のなかにある核と反応してしまう抗体です。この抗体が、自分の細胞の核と反応し、免疫複合体という物質を作って、全身の皮膚、関節、血管、腎臓などにたまって病気が引き起こされると考えられています。このほか、免疫を司るリンパ球も直接、自分の細胞、組織を攻撃すると考えられています。
中枢神経症状
CNSループスと呼ばれ、うつ病を起こしたり、痙攣を起こしたり、髄膜炎をおこしたり、そのほかの精神神経症状、脳血管障害による症状などありとあらゆる中枢神経症状がこの疾患そのものによって起きうる。視神経が傷害され急に失明することもある。初期症状は不眠や集中力低下とも言われるが多彩で一言で言い切れるものではない。急性の経過、慢性の経過、ありとあらゆることが起きうる。ループス頭痛(lupus headacheと英語で呼ぶことが多い)と呼ばれる頭痛も起こす。
うつ症状は自殺の原因となりうるので重要であるが、治療薬であるステロイドの副作用としてもおきうる。さらには慢性の疾患である本症にかかっているという事実そのものが、人体の正常な反応としてうつ症状をおこすことも多い。
痙攣は、細菌性髄膜炎などによる可能性がある(本症では免疫能が低下していて感染症にかかりやすい)ほか、抗リン脂質抗体症候群による脳梗塞後遺症としても起きうる。
腎炎
ループス腎炎と呼ばれ、腎不全の原因となりえるため治療法が存在しなかった時代には最大の死因であった。症状としてはタンパク尿や浮腫(むくみ)が多く、血尿からはじまることはまれである。まるでさまざまな他の腎疾患(膜性増殖性糸球体腎炎、膜性腎症など)をまねたかのような多彩な病像を呈する上、その疾患経過は予測不能である。分類法として世界的にWHO分類が用いられている。現在では透析療法によって、死亡の原因となることはない。
血液症状
血小板・赤血球・白血球のいずれの値も低下する汎血球減少を呈する。全身に出血斑が生じたり、貧血の原因となったり、重篤な感染症の原因となったりする。凝固能異常は通常抗リン脂質抗体症候群または血小板減少(この症状のみが先行する時は、特発性血小板減少性紫斑病Idiopathic thrombocytopenic purpra: ITPと診断される事がある)が原因で、血液がかたまりやすくなる(そのため肺血栓塞栓症、脳梗塞などの原因となる)ほか、抗リン脂質抗体症候群は習慣性流産の原因となる。赤血球減少(貧血)は溶血性貧血であり、自己免疫性溶血性貧血(Autoimmune hemolytic anemia: AIHA)と呼ばれる。ITPとAIHAの合併する状態をエヴァンズ症候群と呼ぶが、実は本疾患の先行症状である事が多い。
検査
血液検査
血沈(ESR)増加...炎症を反映
血清補体価...炎症に伴い低下。
抗核抗体, 抗ds-DNA抗体, 抗Sm抗体,LE細胞
ループスアンチコアグラント
小児の痙攣は、熱性痙攣が最多である。特に乳幼児では、発熱に引き続く熱性痙攣がしばしば見られる。熱性痙攣は6ヶ月〜5歳頃に多く、短時間の発作である場合がほとんどである。
成人では60歳ごろまでは、特発性てんかんが最多。それ以降は脳血管障害による痙攣が多く、脳腫瘍の頻度も増える。
痙攣(convulsion)とは全身または一部の筋肉の不随意かつ発作的収縮を示す症候名である。てんかん(epilepsy)とは病名である。てんかんの本体は脳波の異常であり、必ずしも痙攣を伴わない。事実欠神発作は非痙攣性であるが脳波異常がありてんかんの一種である。また脳腫瘍はてんかんではないが痙攣をおこす。また紛らわしいことにけいれん発作(seizure)という言葉もある。これも症候名であり、てんかんや精神疾患の臨床症状で、てんかんを思わせる一回のけいれん発作という意味である。
症候的に鑑別が必要なのは失神や意識障害である。特に失神との区別が大切である。筋肉の収縮があるのか(失神の主体は筋脱力である)、代謝性アシドーシス(筋肉の収縮が激しく嫌気性呼吸がおこり代謝性アシドーシスが生じる)が存在するのか、失禁や失便があるのか、回復後に意識障害があるのか、舌を噛んでいたりしないのか、これらは失神よりも痙攣を強く疑うエピソードである。こういったエピソード聴取するために本人や目撃者の話をしっかりきくことが重要である。失神と痙攣の区別を行う意義としては原因疾患が大きく異なるからである。失神は循環器疾患が多いのに対して痙攣は当たり前だが中枢神経に病変が考えられることが多い。失神か痙攣か区別できない場合は意識消失発作とし、失神と痙攣の両方の原因検索を行う。また外傷の検索も失神の場合と同じように行うことを忘れてはいけない。大抵は意識消失を伴う痙攣であり、失神同様倒れるからである。
痙攣の原因検索において最も重要なのてんかんによるものか、その他全身性疾患によるものかの区別である。病歴にてんかんがない痙攣初発の患者の場合はまずは症候性のものを否定するような診断プランを立てる。鉄則としてはまずは低血糖を否定することである。というのも血糖の検査は最初に行わないと忘れてしまう上、ほかの検査で低血糖を示唆する所見というのは殆どないからである。
頭部
特発性てんかん
脳血管障害
脳炎、髄膜炎
脳腫瘍
頭部外傷(外傷後2年を過ぎれば、痙攣の起こる可能性は低くなる)
代謝・内分泌系
興味深いことにカリウムの異常や高カルシウム血症では痙攣は起こらない。
糖代謝の異常
低血糖、糖尿病性ケトアシドーシス、非ケトン性高浸透圧性糖尿病昏睡
電解質の異常
低ナトリウム血症、高ナトリウム血症、低カルシウム血症
副甲状腺機能低下症
アジソン病
急性間欠性ポルフィリン症
血液・免疫系
全身性エリテマトーデス
特発性血小板減少性紫斑病
消化器系
肝性脳症
尿毒症性脳症
ITPは自己の血小板に対する自己抗体(IIb/IIIaなど)で感作された血小板が、脾臓・肝臓などで破壊されて血小板減少症をきたす疾患である。血小板破壊が亢進しているため、骨髄での血小板産生は盛んになっている。 しかしタイプによっては、骨髄中での産生時点で幼弱な形での血小板しか 生産されず、奇形的な血小板の場合がある。 そのような血小板に、抗血小板抗体が乗っている様に画像で確認できる。
急性特発性血小板減少性紫斑病
原因
麻疹、風疹、水痘ウイルス感染による。
慢性特発性血小板減少性紫斑病
ITPが慢性化したもの、あるいは慢性に進行するITPである。
ITPは多くの場合小児に発症し、急性の経過を辿って半年程度で治癒する。しかし、一割程度の割合で、慢性の経過を辿る場合がある。また、成人がITPを発症した場合慢性化することが多い。ITPが6ヶ月以上遷延化した場合、慢性特発性血小板減少性紫斑病の診断が下される(小児にあっては、ウイルス感染が先行し発症が急激ならば、急性ITPと考えて良い)。
急性のITPと異なり、大出血を起こすことは比較的少ないが、若年女性に多いため、月経、妊娠、出産において問題になる。
症状
青あざ(紫斑)、点状出血、粘膜出血など。関節内での出血は少ない。
血小板数が3000/μlをきるような症例では、頭蓋内出血の危険があり早急に治療が必要である。
血液凝固系
プロトロンビン時間(PT)、活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)などの血液凝固系に異常はみられない。既に出血症状が著しいときには、フィブリノーゲンの異常(増加も減少もあり)やFDPの上昇を来すことがある
1. 結節性硬化症(プリングル病)とは
結節性硬化症はプリングル病とも呼ばれます。全身に過誤腫とよばれる良性の腫瘍ができる病気です。皮膚と神経系に異常がみられ皮膚の症状があざの様に斑状に出る(母斑)ことから、神経皮膚症候群あるいは母斑症というグループに入れられています。古くは、頬の赤みを帯びた数ミリの盛り上がったニキビ様のもの(顔面血管線維腫)、てんかん、知的障害の3つの症状(3主徴)がそろうとこの病気と診断してきましたが、診断技術の進歩に伴い、知的障害や、痙攣発作のない軽傷例も多数みつかるようになってきました。それに伴い、全身のいろんな症状で診断されることことも多くなっています。
新生児期に心臓の腫瘍、不整脈をおこすことがあること、乳児期に痙攣発作をおこすことがあること、重度な知的障害を合併する人があること、学童期から目立ってくる顔の線維腫がひどい人があること、10歳前後に脳腫瘍を合併することがあること、成人になって腎臓の腫瘍が大きくなり、出血や圧迫症状が出ることなどが病院を受診するきっかけになります。
(1) 多くのひとにみられる症状
約80%の患者さんにおこり、治療が必要な症状はて痙攣発作です。乳児早期には頭をかくんとたれるタイプのてんかん(点頭てんかん)、乳幼児期には意識がなくなり、手足の一部がけいれんするタイプのてんかん(複雑部分発作)の頻度が多くみられます。乳児期にてんかんで発病し、治療に抵抗する場合は知的障害が重度になる可能性が高くなります。軽症例が見つかるようになって、最近は痙攣発作のない患者さんが増えてきています。
脳では、CTやMRIで、普通の脳の固さとは違う部分がほとんどのひとに見つかります。大脳皮質や脳室と言われる部分にでき、結節と呼ばれ、この変化が、結節性硬化症の病名の由来になっています。脳の一部の細胞が、正しく発生しなかったためにおこると考えられていますが、必ずしもこの部分が痙攣発作をおこす原因になっているとは限りません。
生まれた直後から、ほとんどのひとに皮膚に白いあざ(白斑)があります。あかちゃんの時は色が白く、目立ちませんが、日焼けをするとこの部分が日焼けせず、目立つようになります。木の葉状の形をしているのが1つの特徴ですが、いろんな形になることもあります。また髪の毛のところに白斑ができると白髪になる場合もあります。
はやければ、幼稚園のころから、顔面特に頬部に赤い糸くず様のしみが出現することがあります。小学校に上がる頃から、頬や下あごに赤みをおびた数ミリの盛り上がったもの(血管線維腫)が出きてきます。赤みがあまり目立たない正常皮膚色のもの、もう少し大きく扁平なものや、少し黒みを帯びた球形のものができることもあります。これらは少しづつ数が増えていきます。
思春期ごろから、手や足の爪に固い腫瘍がでてくることがあります。手より足の爪に高頻度に認められ、徐徐に増加増大してきます。初期は爪の線状の陥凹として認められることがあります。
思春期頃から腰部にでこぼことした皮膚の盛り上がりがでてきて徐徐に増大してくることがあります。早いひとでは幼児期から皮膚に疣様の固いちいさなできものとして出現してくることもあります。
腎臓では、嚢腫や、血管や筋肉や脂肪成分の多い腫瘍(腎血管筋脂肪腫)が、見つかります。嚢腫は比較的若い時から認められることもありますが、血管筋脂肪腫は思春期以降に出現し、大きくなる場合があります。嚢腫は大きくなると、腎機能障害や高血圧の原因になることがあります。腎血管筋脂肪腫では時にこれが出血をおこし、大量の場合は出血性のショックを起こ場合があります。いずれも成人以上の結節性硬化症の患者についてみれば、小さいものも含めれば、高頻度に認められます。
(2) 一部のひとにみられる症状
新生時期に、心筋肥大や不整脈、心不全など心臓の異常ををおこすことがあります。これは心臓に横紋筋腫ができているためで、心エコーで検査をすると小児の結節性硬化症患者のおよそ60%近くに心腫瘍が認められとの報告があります。これは年齢が大きくなると少しずつ小さくなり、自然に消えますので、心臓の血液の流れを邪魔し、心不全をおこさない限り、手術は必要ありません。
また、10歳前後に、脳に腫瘍ができることがあります。比較的ゆっくり大きくなり、ある大きさ以上にならない時もあります。 大部分が良性の腫瘍ですが急速に大きくなったり、正常組織を障害して何らかの症状がでたり、腫瘍が大きくなって、脳の中の水の流れを悪くしたり、腫瘍による圧迫症状がでたりすると、手術が必要になります。
目の奥の網膜に、普通の網膜の色とは違う結節状の小さい腫瘍ができます。眼科で精密検査を受けるとかなりのひとにみられます。この腫瘍がごく一部のひと(3-5%)で大きくなり、失明する場合もあります。
肺にはMMPHとLAMと呼ばれる病気が出現することがあります。MMPH は肺のCTで肺ガンや粟粒結核等と間違えないように注意を要しますが、特に治療は要しません。一方LAM は、肺に嚢胞ができる疾患で、徐々に進行し呼吸困難を示します。初期はほとんど無症状ですが、しばしばくり返す気胸として発症することがあります。妊娠で増悪します。精密なCT検査や呼吸機能検査では比較的初期から異常が認められることがあります。発症年齢は30歳頃で、ほとんどが女性に認められます。ただ最近は種々の検査や診断法の進歩にともない軽症のLAMの患者がたくさんみつかるようになってきています。
その他、骨、内分泌系 消化管、肝臓、血管などほぼ全身の臓器に種々の病変が認められます。
アダムス・ストークス症候群
アダムス・ストークス症候群は、心臓から脳への血流が急激に減少して起こる発作である。
【原因 Cause】
心臓の洞結節からの刺激の伝道経路に障害が起きるのが原因である。このため、心臓が収縮しなくなる。完全房室ブロック、洞不全症候群等が障害の原因である。
【症状 Symptoms】
・意識障害
・全身けいれん
・尿失禁
・脈が触れにくくなる、遅くなる
ほとんどは、数分内に意識回復するが、心臓の活動が正常に戻らなければ突然死となることもある。
【治療 Treatment】
体内式ペースメーカーを埋め込む。薬剤投与の場合もある。
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診断
心室細動、心室頻拍、房室ブロック、洞機能不全症候群などの不整脈が起こっている時に心電図をとる。
Wernicke脳症はビタミンB1の欠乏による脳症ですが、眼球運動障害、運動失調、意識障害を主症状とします。眼球運動障害は外転神経麻痺(目を外側に向けにくい)が多く、全外眼筋麻痺に進行することもあります。
また、記憶障害が残った場合にはWernicke-Korsakoff症候群として知られています。
血中ビタミンB1低下、血中ピルビン酸上昇、MRIにて第三脳室および中脳水道周囲にT2高信号域を認めれば診断は容易である。
ウェルニッケ脳症とは、アルコール依存症や術後,妊娠悪阻などで不完全な食事摂取などの原因によりビタミンB1が欠乏して起こる。
病理学的には乳頭体,第三脳室,中脳水道,第四脳室周囲の灰白質の急性期における血管内皮細胞の膨化,出血とその後の血管の増生やグリオーシスを特徴とする。
臨床的には、眼球運動障害,失調性歩行,意識障害が三主徴とされている。
眼球運動障害は、本症に高率に認められる特徴的な症状で、両側外転神経麻痺,両側方注視麻痺,上方注視麻痺,両側内転障害などが認められる。眼振も起こる。
次いで失調性歩行や意識障害が出現してくる。多発神経炎,低体温,コルサコフ症状群を合併することも少なくない。血中の総ビタミンB1値や赤血球中のトランスケトラーゼ活性値の低下,チアミンピロホスフェイト効果が診断の参考となる。
治療としては、ビタミンB1を1日100mg以上投与する。ビタミンB1の早期治療により、臨床症状は2〜3週でかなりの改善を示す
1. 副腎低形成(アジソン病)とは
副腎皮質は3層の構造よりなり、球状層からはミネラルコルチコイドであるアルドステロンが、束状層からグルココルチコイドであるコルチゾールが、網状層から副腎アンドロゲンであるデヒドロエピアンドロステロン(DHEA)とその硫酸塩であるデヒドロエピアンドロステロンサルフェート(DHEA-S)が分泌されている。慢性副腎皮質機能低下症は、これらのステロイドホルモン分泌が生体の必要量以下に慢性的に低下した状態であり、副腎皮質自体の病変による原発性と、下垂体の副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)分泌不全による続発性に大別される。原発性の慢性副腎不全は1855年英国の内科医であるThomas Addisonにより初めて報告された疾患であることから、Addison病とも呼ばれている。その後、この原発性慢性副腎皮質機能低下症の病因として、副腎皮質ステロイド合成酵素欠損症による先天性副腎皮質過形成症、先天性副腎低形成、ACTH不応症などが同定され責任遺伝子も明らかにされてきたことから、アジソン病は後天性の成因による病態を指し示し、先天性のものは独立した疾患単位として扱われるようになった。
3. この病気はどのような人に多いのですか
アジソン病は、主に成人にみられ、一方先天性ものは主に小児期に発症がみられる。アジソン病のうち結核性の原因によるものは40〜60歳に多く、男女比では男性に多い。特発性のものでは発症年齢は広く分布して、性差はない。アジソン病に特発性副甲状腺機能低下症、皮膚カンジダ症を合併するT型(HAM症候群)は、小児期から発症がみられる。先天性副腎低形成症は新生児期〜乳児期にかけて発症が多くみられる。X連鎖性ものは男子に限り発症がみられる。
5. この病気は遺伝するのですか
先天性のものは遺伝する。X連鎖性先天性副腎低形成症は男子のみに発症がみられ母親は保因者となる。ACTH不応症は常染色体劣性遺伝形式をとる。
6. この病気ではどのような症状がおきますか
アジソン病
副腎皮質ホルモンの欠落により、易疲労感、全身倦怠感、脱力感、筋力低下、体重減少、低血圧などがみられる。食欲不振、悪心・嘔吐、下痢などの消化器症状、精神症状(無気力、不安、うつ)など様々な症状を訴える。いずれも非特異的な症状である。色素沈着は皮膚、肘や膝などの関節部、爪床、口腔内にみられる。
Zollinger-Ellison症候群ガストリノーマ gastrinoma
概念 †
ガストリン産生腫瘍
多発傾向があり膵外にも発生する(←胎生期にはガストリンは膵島からも分泌されているがその後は幽門部と十二指腸球部)
悪性腫瘍が半分以上
↑
症状 †
重篤な消化性潰瘍の症状
下痢や脂肪便←過酸症による小腸内pH低下
↑
検査 †
基礎胃酸分泌量/最高胃酸分泌量比: 通常の消化性潰瘍より高値
血中ガストリン高値
セクレチン負荷試験: paradoxical rise
腹部超音波、腹部CT、超音波内視鏡: インスリノーマよりさらに小さいため局在診断は困難
選択的血管造影: hypervascular
選択的動脈内セクレチン注入試験: 栄養血管であればparadoxical rize。局在診断に最も優れる。
↑
合併 †
約25%にMEN1型を合併
MEN1型の部分症状としての膵内分泌腫瘍で最も多い
ツベルクリン反応
判定 †
48時間後に行う
陰性: 4mm以下
偽陽性: 5〜9mm
弱陽性: 10mm以上
中陽性: 硬結あり
強陽性: 硬結と二重発赤
↑
陰転化 †
サルコイドーシス
熱性疾患: 麻疹など
重症結核: 感染初期、粟粒結核。非定型抗酸菌症は陰性。
過敏性肺炎
悪性リンパ腫
免疫低下状態: 免疫抑制薬、ステロイド、高齢など
CD4/CD8比高値 †
膠原病(関節リウマチ、SLE、シェーグレン症候群)
重症筋無力症
サルコイドーシス: 細胞性免疫低下、液性免疫亢進(γ-グロブリン値上昇)
特発性間質性肺炎: Th2サイトカインの優位な病態
多発性硬化症
ベリリウム肺
農夫肺
HCV
↑
CD4/CD8比低値 †
HIV、AIDS
原発性胆汁性肝硬変
伝染性単核球症: 感染B細胞に反応性にCD8陽性細胞増加
夏型過敏性肺炎: サプレッサーT細胞がThを抑制
免疫抑制薬
HBV
多発性硬化症
multiple scletosis; MS
概念 †
中枢神経組織に脱髄病変を多巣性、多相性に生じる。
若年成人、特に女性に多い。
日本には比較的少なく、高緯度地域に多い。
原因不明。
↑
病理 †
髄鞘の破壊
軸索は比較的温存
小静脈周囲に単核細胞やマクロファージの浸潤
病巣が古くなると硬化性病巣を呈する
↑
症状 †
前駆症状: 約10%で頭痛、発熱、悪心・嘔吐など
発症様式: 半分以上は急性または突発性で一週間以内にピークに達する
神経症状
中枢神経障害に基づくどんな症状でも出現しうる
球後視神経炎: 視神経乳頭の耳側蒼白
MLF症候群: 両側性が多いとされるが、一側性もある。
Lhermitte徴候: 頸部を前屈した際の背中を下行する電撃痛
有痛性強直性痙攣: 四肢の一部に異常感覚を伴いテタニー様の強直性痙攣
↑
検査 †
髄液検査
増悪期に軽度のリンパ球主体の細胞増加
IgG index: わが国では30〜60%で0.7以上(欧米では約90%)。
oligoclonal IgG band: わが国では約30%で陽性。亜急性硬化性全脳炎、急性散在性脳脊髄炎、各種の脳炎、髄膜炎などでも陽性となることがある。
MRI: 最も重要性が高い。疑えば大脳と脊髄でスクリーニング。
T1強調画像: 古い脱髄巣では低信号。
T2強調画像: 高信号。新しい脱髄巣の検出に適す。
FLAIR: 新しい脱髄巣の検出に適す。
ガドリニウム造影: 急性期の活動性病巣で造影効果
誘発電位: 病巣の存在の確認、障害の程度、浅在病巣の検出などを目的とする
視神経誘発電位: 85%に異常が指摘される。
聴覚脳幹誘発電位
体性感覚誘発電位
プラダー・ウィリー症候群(ぷらだー・うぃりーしょうこうぐん、Prader-Willi syndrome、PWS)は、筋緊張低下、性腺発育不全、性格異常、肥満を四徴とする症候群。四徴の頭文字をとってHHHO症候群とも。
新生児期は筋緊張低下、哺乳不良を呈する。多くは経管栄養を経験する。筋緊張低下のため運動発達遅滞がある。
嘔吐しない、唾液が少ないなどの特徴がある。前者は胃腸炎の発見が遅れる場合があり、後者は虫歯になりやすいので歯科衛生に気をつける。温痛覚が弱いために、夏に発汗が少なく熱射病になりやすい人がいる。痛みは感じにくいが痒みは強いとされる。
性器の成長不全(特に男児)、知的障害があり、対人関係面の問題や、満腹感を得にくいことによる肥満が4徴とされ、さらに小さな手足などの症状が見られる。
視床下部に於ける食欲中枢の異常が最も多い症例として報告されており、食欲が抑制されないため異常なまでに食べ続けると言う報告例が多い。また、代謝異常も多く、患者のカロリー消費量、特に基礎代謝量は正常な人より低いとされる。
最大の特徴とされる肥満は視床下部の満腹中枢の障害もその原因の一つと考えられている。しかし、もし満腹中枢だけの問題であれば乳児期から全例肥満になるはずであるが、実際には肥満ではさほど困っていない成人もいる。肥満も行動の問題の一つと考える説もある。
この症候群の患者は性別・年齢を問わず、形状認識能力に優れている事が度々報告されている。ジグソーパズルを使った実験では、通常の1/3の所要時間で(すなわち、通常の人の3倍の速さで)パズルを完成させた、という報告例もある。これについてはまだ解明されていない。
1. ビュルガー病(バージャー病)とは
Leo Buergerによって初めて報告されたことから、報告者の名前をつけて バージャー病(英語読み)、あるいはビュルガー病(ドイツ語読み)と名つけられた病気で、閉塞性血栓血管炎(thromboangiitis obliterans,略してT.A.O.)と呼ばれることもあります。四肢の末梢血管に閉塞をきたす疾患で、その結果、四肢や指趾の虚血症状(血液が十分供給されないためにおこる組織の低酸素症状)が起こる病気です。
2. この病気の患者さんはどのくらいいるのですか
最近の全国調査では約1万人と推計されています。
3. この病気はどのような人に多いのですか
男女比は9.7対1と圧倒的に男性が多く、発症年齢も20歳台から40歳台を中心に青・壮年に多く発生します。職業歴や生活環境との関連性ははっきりしません。
4. この病気の原因はわかっているのですか
原因は不明ですが、四肢末梢血管の炎症(血管炎)に起因するものと考えられています。その発症・増悪には喫煙が強く関与していることが知られており、受動喫煙(本人は喫煙しなくても周囲の喫煙者によって間接的に喫煙状態となること)を含めると患者のほとんど全てに喫煙歴があるといわれてい ます。
6. この病気ではどのような症状がおきますか
患者さんの手足の動脈が閉塞して、その結果虚血症状(血液が供給されない ために起こる低酸素状態による症状)が発生します。患者さんの自覚症状としては、指趾の冷感やしびれ感、蒼白化に始まり、間欠性跛行(長い距離を歩くと足が痛くなり歩行困難となり、ひと休みすると再び痛みが収まり歩行できる )、激しい痛み(安静時疼痛)、さらには潰瘍(皮膚が欠損する)を形成して、 ついには壊死に陥ることもあります。これらの症状は順に起こる場合もあり、最初から指先などに潰瘍を形成する場合もあります。また手足の静脈にも炎症を起こし、静脈に沿って発赤や痛みを生じることもあります(遊走性静脈炎)。
7. この病気はどのようにして診断しますか
四肢の動脈が閉塞すると、虚血症状として冷感やしびれ感、間欠性跛行、安静 時疼痛、潰瘍・壊死などの症状が出現します。当然、閉塞した動脈の拍動は触知しなくなります。ドプラー血流計を使った足関節の血圧測定と足関節/上肢血圧比(Ankle Brachial Pressure Index、A.B.I.と略)は虚血の程度の把握に 役立ちます。臨床症状や理学的所見でおおよその診断は可能ですが、確定診断、閉塞部位や閉塞パターンの確認、閉塞性動脈硬化症との鑑別には血管造影が是非とも必要な検査です。血液検査では特徴的な所見がありません。
8. この病気にはどのような治療法がありますか
治療の基本は禁煙です。この病気の発症や増悪と喫煙は密接に関係しており、 喫煙を継続してはどんな治療も無効です。さらに手足の清潔を保ち、保護を 行い、寒いところでは保温に気をつける、靴擦れを予防したり傷をつけないように注意することが大切です。
症状にもよりますが、まず血液の循環を改善して血栓の進展を予防するために、 抗血小板製剤や血流改善剤、抗凝固剤などの薬剤を投与します。重症の虚血症状(安静時疼痛、潰瘍や壊死)のある場合には、先に述べた基本的な治療や薬物療法に加え、高圧酸素療法を行って局所に高濃度の酸素を供給したり、交感神経節ブロックや交感神経節切除手術などを行って皮膚血流を増加させることも行われます。虚血症状に対して最も効果のある治療は血行再建手術(バイパス手術など)で、保存療法で改善を認めない重症の患者さんに行われることもあります。
しかし、この病気は動脈硬化による血管閉塞と異なって末梢ほど病変が強いために、血行再建手術が可能な症例は全体の20%以下と低値です。
壊死が進行して各種の治療も無効な場合には、指趾や四肢の切断となることもあります。
9. この病気はどういう経過をたどるのですか
古くは特発性脱疽として手足を切断しなければならない患者さんも多かったのですが、最近では禁煙を厳守して様々な治療を行えば、四肢の切断に至る例は少なくなってきています。早期診断と適切な治療、禁煙の厳守が病気の重症化を防ぐことができます。再発や悪化の見られない患者さんでは、発症前の仕事や日常生活に復帰されている方も少なくありません。
■概念
原発性胆汁性肝硬変 (primary biliary cirrhosis:PBC) の名称は、Ahrensらにより初めて記載された(1950)。
PBCは、中等大の小葉間胆管あるいは隔壁胆管の慢性非化膿性破壊性胆管炎 (chronic non-suppurative destructive cholangitis:CNSDC) により慢性肝内胆汁うっ滞をきたし、最終的には肝硬変に至る疾患である。皮膚掻痒感、黄疸、食道静脈瘤、腹水、肝性脳症など肝障害に基づく自他覚症状を有する症候性(symptomatic) PBC(s-PBC) と、これらの症状を欠く無症候性 (asymptomatic)PBC (a-PBC) に分類される。
■疫学
本邦におけるPBCの推定年間発生数は約500人で、特定疾患医療受給者証所持者数から推定される本邦での患者数は約50,000人である。ヨーロッパ諸国の有病率は本邦の3ないし4倍である。本症は中年以降の女性に好発する。男性の割合は全症例の10%前後で、診断時年齢は50歳代が最も多い。
■病因
自己免疫性機序が考えられている。免疫複合体あるいは胆管細胞表面抗原に感作された細胞障害性Tリンパ球による胆管障害が想定されているが明らかではない。
自己免疫の関与を裏付ける根拠としては、血中自己抗体である抗ミトコンドリア抗体(AMA)・抗pyruvate dehydrogenase(PDH)抗体が高頻度に陽性で、高力価を示すこと、他の自己免疫性疾患(シェーグレン症候群・慢性関節リウマチ・慢性甲状腺炎)を合併することなどがあげられる。
■症状
(1)初発症状
a-PBCではPBCの診断基準に合致するにもかかわらず自他覚症状を欠いており、a-PBCのまま数年以上経過する場合がある。
s-PBCにおける初発症状は皮膚掻痒感が最も多く、ついで黄疸である。これら症状が認められず、腹水、食道胃静脈瘤、肝性脳症などの門脈圧亢進症症状が先行する場合がある。
(2)合併症による症状
高脂血症が持続する場合の皮膚黄色腫、脂溶性ビタミン欠乏による骨粗鬆症、合併する他自己免疫疾患に基づく諸症状などがみられる。
(3)末期における症状
腹水・食道胃静脈瘤破裂などによる消化管出血・肝性脳症の出現など肝不全による症状は、他の原因による肝硬変と大きな差異はみられない。これらの症状が前硬変期に出現することがあるため注意を要する。
(4)肝癌の合併
合併率は0.7%(男性1.6%、女性0.6%)、肝癌の診断時年齢は男性で約70歳、女性で64歳と、PBC自体の診断時年齢より10歳以上高齢であった。
2008年08月21日
この記事へのコメント
こんにちは.医学を考えるときはやはり医学の基礎を学ばなければ。僕は今視力が低下しているので。素人ですが体の仕組みと視力の低下の関係を調べています。
Posted by キョン at 2009年03月11日 10:35
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