日本人夫婦が、インド人女性に代理出産を依頼して女児が生まれる前、離婚したため、子供の母親や国籍が不明になっていることが7日わかった。
離婚した元夫は子供を引き取る意向を示しているが、外務省は、出産女性を母とする日本の民法の判例に従い、日本人としての女児の出生届は受理できないという判断を元夫に伝えている。
元夫が、子供を引き取るにはインド、日本国内の養子縁組に関連する法律の手続きを踏む必要があり、子供は現在、インドを出国できない状態だという。
代理出産の是非については、日本学術会議が途上国への「代理出産ツアー」を問題視し、「代理出産は新法で原則禁止とすべき」との報告書を今年4月にまとめたが、その懸念が現実化した形だ。
外電などによると、昨年11月、愛媛県の40代の男性医師と妻だった女性は、インド人女性と代理出産契約を結び、インド人女性は同国西部のクリニックで妊娠、今年7月25日に女児を出産した。夫婦は子供が誕生する前の6月に離婚。元妻と代理母は子供の引き取りを拒否している。
男性医師は子供を引き取る意向を示しているが、現在、ビザが切れて日本に帰国。男性医師の母親が現地で子供の世話をしている。
卵子が元妻のものなのか、インド人女性のものなのかは明らかになっていない。男性医師は読売新聞の取材に子供がインドを出国できない状態にあることは認め、「今はどこまで話していいかわからない。子供を引き取れるよう弁護士に依頼している」と話している。
インドでは代理出産に関する法律はなく、近年、商業的な代理出産が広まっているという。代理母には貧しい女性がなるケースが多く、65万〜162万円の金を手に入れることができるという。
日本人夫婦がインドで代理出産を依頼していたことが発覚した。インドでは貧しさを背景に、商業的な代理出産が水面下で拡大しているとされ、「女性の搾取に日本人が加担していることは悲しむべきこと」と、水野紀子・東北大教授(民法・親子法)は批判する。
国内では、代理出産を規制する法律はない。日本産科婦人科学会が会告(指針)で禁止し、今年4月には日本学術会議が代理出産を原則禁止とする報告書をまとめた。今後、代理出産規制法が検討される中で、今回の事例が大きな影響を与えることは確実だ。
これまで、長野県のクリニックや、タレントの向井亜紀さん夫妻がそれぞれ代理出産を行ったと公表しているほか、100例以上の日本人夫婦が米国で代理出産を行っているとされている。同会議の議論でも、途上国への「代理出産ツアー」が大きな問題となった。
米国での代理出産は近年、保険などの制約で実施が厳しくなっているとされ、希望する夫婦が途上国に流れている可能性がある。今回の事例を踏まえ、国による詳しい実態調査が必要だ。
また、今回のケースでは、夫婦が出生前に離婚したため、子供の親子関係や国籍が宙に浮いた状態となっている。子供の福祉を最優先とした早期解決が求められる。
インド人女性を使うという点がやはりなんというか…。アメリカの代理出産の何分の1かの値段で済んでしまうらしいですね。しかし65万円ほどの代理出産代を得られるということで、貧困層にとっては人気かもしれませんけれど、出産という非常にハイリスクなことをこなさないといけなく、いわゆる商売としてそれをやっていいかというと疑問が残ります。インドの女性産婦人科医は、双方にメリットがあるとしているみたいですけれど、お金がここまで絡んでしまうと、果たして対等なメリットなのか、と。
これと同じか分かりませんけれど、朝日新聞に載っていたケースでは、日本人男性は相手すらいない状態で子供を欲したそうですね。そのためにインド人女性と日本で結婚し、その後離婚。提供卵子も代理母もインド人だそうです。ここまでくると何とも…。子供のことを考えているのなら、普通は法整備のことも考えて然るべきなのでは、という気もしますけどね。(法整備が進まないからあえて実行に移すというやり方も、子供の福祉を考慮すれば躊躇うものです)
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