家畜やペット、ヒトの赤血球に寄生し、重い貧血を起こす「バベシア症」を媒介するマダニが、自らの体内では病原体を増殖させずに、動物などに感染させる仕組みを、鹿児島大と農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構、茨城県つくば市)の共同研究チームが解明した。血液を吸うダニや昆虫が媒介する感染症には、マラリアなど重い症状を伴うものも多く、抑制の仕組みの解明は、治療薬開発にもつながるという。
バベシア症は、マダニの体内に住むバベシア原虫が、マダニが血を吸う際に動物の体内に入り込み、赤血球に寄生。ヘモグロビンを分解し、重い貧血になる。牛や犬などで死亡する例が増えているほか、欧米ではヒトへの感染例も増えており、有効な治療薬がないため、死者も出ている。
鹿児島大の藤崎幸蔵教授らは、マダニの腸で作られ、吸った血液の中の赤血球を消化する過程で使われるたんぱく質分解酵素を発見し、「ロンギパイン」と名付けた。
主原因のマダニ自身から抽出した酵素で、治療薬を作ろう、と。細かいレベルでの操作が可能になりつつあるので、こういったことも可能なんでしょうね。
バベシア症そのものは全くといってほど耳にしない病気ですが、欧米ではヒトへの感染も増えている、ということで、こういう病気は爆発的に増えるまえに治療法を確立しておきたいものです。
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