第50回国際脈管学会がこのほど、東京・港区の東京慈恵医大で開かれ、米国やイタリア、カナダなど23か国から約250人の血管の専門家が参加した。
胸部や腹部の大動脈りゅう、頸動脈狭さく症、足の閉塞性動脈硬化症など、老化に伴う動脈硬化に関係する血管の病気が対象だ。患者が多い欧米で先進的に研究が進み、現在は、従来からの胸や腹を開く手術にかわり、ポリエステル製の人工血管に金属の網を折り込んだステントグラフトを利用した治療が広がっている。患者の体への負担が少なく、入院も3〜4日で済む。
日本では、食生活の欧米化や高齢化を背景に近年、患者が増えているが、血管の専門家は多くはないのが実情だ。学会長を務めた同大・血管外科教授の大木隆生さんは、「人は血管とともに老いる。最新の治療法を普及させたい」と話す。
学会では、同大の医師が、今月から保険適用になった胸部大動脈瘤のステントグラフト治療について、過去2年間に行った60件の結果を報告。術後に心筋梗塞で1人死亡した(死亡率1・7%)が、アメリカの開胸手術の死亡率6%よりも低く、安全なことを明らかにした。
一方、米国の医師らは、ペースメーカーに似た装置を首に埋め込み、電気信号を送ることで高血圧を改善した例や、高脂血症の治療薬の一部が血管の老化を予防する効果があることなどを発表した。
ステントグラフト、かなり広まりつつあります。血管系ならばもはや大きな手術をしなくても治ってしまうことがしばしばです。
アメリカの、ペースメーカーを用いて高血圧を予防する、というのがちょっと魅力的ですねぇ。高血圧のせいで様々な疾患が起こり、死亡しているのが現状ですし、日本人は元々しょっぱいものを好んで食べるので、高血圧との関係性が高いといわれていますし。
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