2008年07月19日

ハンチントン病の新しい遺伝子治療の研究。

ハンチントン病の新しい遺伝子治療の可能性、研究発表

 スイス・ジュネーブ(Geneva)で12日から5日間の日程で開催されている欧州神経科学連合学会(Federation of European Neuroscience Societies、FENS)主催のフォーラムで15日、フランスの研究チームがまだ動物実験の段階ではあるものの、ハンチントン病の遺伝子治療の有効性を示した。

 ハンチントン病はおよそ1万人に1人の割合で発症する神経系疾患で、主に30-50代で発症する。10-20年かけて症状が進行し、けいれんなどの不随意運動や、人格変化や認知症を引き起こす。死に至る場合もある。

 この病気は 第4染色体にある「IT15」と呼ばれる1つの遺伝子の損傷が原因で、ハンチンチン(huntingtin)と呼ばれるタンパク質に変異を引き起こし、それが過剰に活性化すると大脳基底核の線条体の細胞を殺してしまう

 フランス原子力庁(Atomic Energy Commission、CEA)の生物医学イメージング・分子イメージング研究所(Institute of Biomedical Imaging and Molecular Imaging Research Centre)の研究チームは、改変したウイルスを使って矯正した遺伝子を脳細胞に送り込み、ハンチントンの影響を防ぐ天然のシールドを強化する実験を行った。

 送り込まれた神経保護分子は、毛様体神経栄養因子(ciliary neurotrophic factor、CNTF)と呼ばれる。脳に障害や損傷が起きた場合、CNTF合成が促進されて神経細胞の生存を助けるが、研究チームが線条体に送り込んだウイルスは、このCNTFを作る遺伝子を脳細胞に感染させるものだ。

 研究チームはまずモルモットで、その後霊長類で実験した結果、この手法で線条体の細胞を保護できることが判明。今後は、ヒトでの臨床実験を行っていくという。



 治療法の確立というより、なんでしょうね、予防に近いものでしょうか。遺伝子によって神経細胞の崩壊を防ぐ技術。もし完成すれば、治療できなくても、いわゆる「寛解」の状態までもっていくことも可能かもしれません。

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医学処:ハンチントン舞踏病の治療に有力な、蛋白凝集抑制分子
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posted by さじ at 18:07 | Comment(0) | TrackBack(0) | 脳神
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