乳児突然死症候群(SIDS)の原因を知る新たな手掛かりが、脳内のセロトニンレベルが乱れた時に突然死亡する幼若マウスから得られた。
セロトニンは脳および他の器官に広範囲の影響を及ぼす情報伝達化学物質である。しかし過剰または過少なセロトニンが様々な問題を引き起こすことがあるが、死亡がそのひとつであるとは推定されていなかった。
ローマ近郊の欧州分子生物学研究所のCornelius Gross, PhDらは、セロトニンレベルが異常に低いマウスを遺伝子組換えによって作成した。博士らはこれがマウスの死亡につながるだろうとは考えていなかった。結局、セロトニンを全く分泌しない遺伝子組換えマウスは何とか生存することができた。
しかしGross博士のチームは、ヒトの乳児がSIDSになる生後1カ月から1歳までとほぼ等しい幼若期に多くのマウスが実際に死亡したことに驚いた。
「SIDSとの類似点は、幼若期の限られた期間に突然死が発生すること、およびそれがセロトニン系の変化によって引き起こされることである」と、Gross博士はWebMDに語っている。
生後間もない頃、Gross博士のマウスは正常なようであった。その後、心拍数と体温が予測不能に低下する、一連の「クリーゼ」を経験した。半数以上のマウスがこれらのクリーゼの間に死亡した。
クリーゼの誘因は何であったのか?Gross博士にはそれはわからないが、博士はクリーゼは睡眠から覚醒状態に移るときに発生する可能性が高かったと推測している。
「もしかすると、クリーゼが発生する前に、これらのマウスが目覚めたときに反応する方法に、何らかの徴候が見出されるかもしれない」と、Gross博士は述べている。「それは、我々がSIDSのリスクが最も高い乳児を同定し、クリーゼが発生する前に気づくための何らかのモニタリングを両親に提供するのに役立つ可能性がある」。
クリーゼというのは、英語でいうところのクライシス、いわゆる危機的状況なほどヤバイ状態という意味です。
ホルモンが急激に分泌されたり欠乏したりすることで、身体がショック状態になるということは、副腎クリーゼや甲状腺クリーゼで有名です。
それと同じようなことが、セロトニンで起こったということでしょうか?まだまだ謎に包まれております。解明の糸口となってくれればいいんですが。