東京大学医科学研究所分子療法分野の東條有伸教授(52)らが、患者から採取した骨髄や血液の使用に関して、実際には受けていない倫理審査委員会の承認や患者の同意を得たと偽った論文を発表していたことが11日、分かった。
医科研の調査によると、今年5月、東條教授ら4人がイタリアの医学誌「ヘマトロジカ」に発表した論文では、白血病の患者から採取した骨髄や血液の使用について、倫理委の承認や文書による患者の同意を得たと記載していたが、実際には倫理委への申請は行われておらず、一部には患者の同意も得ない骨髄や血液が使われていた。
その他にも、倫理委への申請がなく、患者同意書の存在が確認できない論文が2本、倫理委へ申請されているが、患者同意書の一部が確認できない論文が1本あることもわかった。
厚生労働省が2003年に定めた「臨床研究に関する倫理指針」は、人や、その血液、組織などを使った臨床研究を行う場合、研究機関内の倫理委で審査を受け、研究対象者から文書で同意を得ることを求めている。
東條教授は11日朝、読売新聞の取材に対し、「私からは何とも申し上げられない。研究所を通してほしい」と話した。
これは酷い。医学の研究者として最低限行わなければいけないことです。
「同意を得る」という行為が軽んじられれば、医師と患者関係という根底の部分が崩壊してしまいます。特に研究を行う大学病院系列では、あってはならないことです。かなり大問題だと思います。
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