胎児の神経や骨の発達に重要な役目を果たすたんぱく質「ヘッジホッグ」が、成人の骨量を調節する機能も持つことを、東京大の鄭雄一教授(骨・軟骨再生医学)らが突き止めた。ヘッジホッグの活性を変えれば骨量も増減できるため、骨粗鬆症の治療などへの応用が期待できるという。
鄭教授らは01年、胎児の骨形成にヘッジホッグがかかわっていることを発見。その後、成体での機能を調べてきた。マウス実験でヘッジホッグが活性化するよう遺伝子を操作すると、骨の中のミネラル量(骨量)が通常の約2倍に増加した。逆に働きを抑える化合物を1カ月投与すると、骨量は約3割減少した。
千葉大などとの共同研究で、遺伝子操作マウスと同じ部位の遺伝子に変異が生じる病気の患者を調べると、同性同年代の平均に比べ、骨量が多いことを確認した。
鄭教授は「今後、体内でヘッジホッグと同様の働きをする化合物を作り、新たな骨粗鬆症治療法の開発を進めたい」としている。
骨と加齢と女性って、どうしても密接に関連してしまうものですからね。気をつけていればある程度はマシとはいえ、やはり骨粗鬆症の非常に大きなリスクを背負っていることは間違いないです。
今はビスホスホネートという、破骨細胞の働きを抑えることで骨の形成速度と分解速度のバランスを保ってやる薬が結構使われていますが、また別の機序で骨粗鬆症が治療できるようになると、高齢女性などにかなり有用になるでしょう。高齢になって骨粗鬆症になり、ちょっとした転倒で骨折、動けなくなりそのまま筋肉もやせ衰えて全身の機能が低下する、となるルートは避けたいですからね。
関連
医学処:カルシウムサプリメントは骨粗鬆症の予防にはならない
医学処:骨粗鬆症と女性ホルモンの因果関係を初めて解明する。
医学処:骨量と脂肪のバランスを調節する、Wnt5a