大阪府の東大阪市立総合病院の医師のミスでがんの発見が遅れ、人工肛門と人工膀胱をつけた生活を余儀なくされたとして慰謝料1500万円の支払いを求めた同市内の男性(63)に対し、市側が医療ミスを認め、1千万円を支払って和解した。市が26日明らかにした。
同病院によると、男性は腹痛などを訴え、消化器科に99年秋に約1カ月、内科に01年春に約10日間入院。その際、便に血が混じっていたり、がんが疑われたりする検査結果が出たが、担当した30代の女性医師と40代の男性医師は大腸ファイバースコープなどを使った精密検査をせず、それぞれ、すい臓炎、細菌性大腸炎と診断した。
男性はほかの病院で直腸がんと診断され、02年1月に手術で膀胱などを摘出。昨年8月に市に損害賠償を求めた。病院が当時のカルテを調べ、退職していた医師2人に事情を聴いたところ、異常を見落としたことがわかり、今年5月、東大阪簡裁での調停で和解に応じたという。
波多丈院長は「あってはならない医療ミスで、深くおわびする。すべての医師に指導を徹底し、再発防止に努めたい」としている。
まず癌を疑い、それを念頭において診断すべきところですからね。これは医療ミスですな。
画像などの検査法が発達した今では、「見落とし」というイージーミスは、あってはならぬことです。特に総合病院などの大きい病院の場合、「病院の中でも最後に行き着くところ」としての責任がありますからね。
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