救急車を病院までのタクシー代わりに利用しようとする119番が、全国各地で相次いでいることが、主要51都市の消防本部を対象にした読売新聞の調査で明らかになった。
急病でないにもかかわらず、「病院での診察の順番を早めたい」という理由で、救急車を呼ぶケースも目立つ。昨年1年間の救急出動件数の5割は軽症者の搬送で、110番に続き119番でも、非常識な要請が広がっている傾向が裏付けられた形だ。
都道府県庁所在地と政令市にある計51の消防本部(東京は東京消防庁)を対象に、最近の119番の内容を尋ねたところ、37消防本部がタクシー代わりの利用など、明らかに緊急性のない要請があると回答。大都市、地方都市とも同じ傾向がみられた。
例えば、「119番でかけつけると、入院用の荷物を持った女性が自ら乗り込んできた」(甲信越地方)ケースや、「119番で『○月○日の○時に来てほしい』と救急車を予約しようとする」(関西地方)事例が多い。症状を偽る人もおり、甲信越地方の60歳代の男性は「具合が悪くて動けない」と救急車を呼びながら、実際は緊急の症状はなく、あらかじめ病院に診察の予約を入れていた。
風邪程度なのに、「救急車で行けば、早く診てもらえる」と思って119番する事例も、28消防本部で確認された。
病院では救急外来の患者の重症度をまず看護師が判断する場合が多い。しかし、山陽地方では、切り傷で搬送された患者と家族が、診察の順番を待つよう告げられ、「救急車で来たのだから、優先的に診察するのが当然だろう」と詰め寄った。
診察待ちをしている人が、病院を抜け出して119番するケースも7消防本部であった。
関東地方では、50歳の男性を病院に搬送すると、先ほどまで待合室にいたことが判明。男性は「順番が来ずにイライラし、救急車で運ばれれば早まると思った」と語った。
51消防本部で昨年1年間に救急車が出動した約232万件のうち、安易な要請も含めた軽症者の搬送は約117万件。厳しい財政事情から救急隊の増員が進まず、重症者への対応が遅れるなど支障も出ている。
何も変わってないのか、この国は…。
メディアでも、救急車の過剰要請が酷すぎると以前から報道されてきているものの、一般人の意識は全く変わってません。単なる便利な乗り物のような認識なのでしょう。
しかしもうそろそろ救急車もお金がかかるようにしないと、本当に破綻してしまうかもしれませんね。その地域ごとに限りのある救急車を出動させている以上、その間に他の重症な疾患が早急に搬送できなくなる可能性もあります。
そういうことを少しでも考慮していれば、安易に救急車を呼ぶなんて出来ませんけれどね。
関連
医学処:重症者が運べなくなるため、悪質な119番に罰則を与える動き
医学処:悪質119番に、罰金を与える条例を制定する。
医学処:暴力団が救急車から救急隊員を引きずり出して暴行する