コーヒーに含まれるポリフェノールの一種が認知能力の低下を防ぎ、糖尿病の発症を抑えるメカニズムを名古屋市立大大学院医学研究科の岡嶋研二教授、原田直明准教授らと飲料メーカー「伊藤園」(東京都渋谷区)の共同研究グループが解明した。
コーヒーを多く飲む人ほど糖尿病になりにくく、高齢者では認知能力の低下が抑えられる傾向があることが分かっていたが、その仕組みは謎だった。
岡嶋教授らは、健康効果で知られるポリフェノールの1つである「クロロゲン酸」が知覚神経を通じて脳に作用し、糖尿病の抑制などの効果があるタンパク質「インスリン様成長因子−1」(IGF−1)の生成を促しているとみて実験を始めた。
クロロゲン酸は、植物が紫外線から身を守る際に働く物質で、特にコーヒー豆に大量に含まれる。独特の香りや渋味をつくる成分とされている。
クロロゲン酸を多く含むコーヒーと普通のコーヒーを14日間、別々のマウス群に飲ませ続けたところ、多く含むコーヒーを摂取したマウス群で、各臓器のIGF−1濃度が最大で2倍になった。
2種類のコーヒーを、21−51歳の男性14人ずつにそれぞれ2週間、毎食後飲んでもらったところ、クロロゲン酸の多いコーヒーを飲んだ14人の空腹時の血糖値が低下するなどの効果があった。
岡嶋教授は「クロロゲン酸は熱に弱く、深いり豆ではこのような効果は期待できない。焙煎し過ぎないアメリカンを適度に飲むのが効果的」と話している。
日本では深焙り豆が多いんでしょうか。あまり詳しくないのですが結構焙煎しているような気がします。
まぁでもコーヒー豆専門店に行って、焙煎具合を尋ねればお目当ての「クロロゲン酸含有量の多いコーヒー」も買えると思いますので、糖尿病や認知症が気になる方は是非どうぞ。嗜好品といえど身体にも優しいコーヒーの情報でした。
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毎日新聞 3月20日(火)2時2分配信
名古屋市立大は19日、老化防止研究などの論文に改ざんや捏造(ねつぞう)があったとして大学院医学研究科の原田直明准教授(44)を懲戒解雇、監督責任者として岡嶋研二教授(58)を停職6カ月の処分にした。名市大の調査専門委員会によると原田准教授は熊本大研究生時代(05年)の1本を含む計8本の論文で過去の実験画像を新しいものとして使ったり、画像に手に加えたという。原田准教授は「論文作成中に、仮に作成したものを誤って使ってしまった」と説明しているが、調査委は信用できないと判断した。
監督の教授停職 岡嶋教授が責任著者を務めた論文19本で画像に手が加えられたり、他の実験画像の流用が判明した。調査委議長の今川正良副学長は「岡嶋教授の不正関与を裏付ける証拠はなかったが、本人が不正に気づいていなかったとは考えられない」と述べた。
処分された2人は育毛や老化防止、認知症予防に役立つ物質を研究。学外から指摘があり、昨年3月から調査委が調べていた。戸苅創(とがり・はじめ)学長は「研究機関としてあるまじきことで大変遺憾。早急に再発防止に努めたい」とのコメントを発表した。【河出伸】