減塩食は、塩分を多く摂取するよりも心臓に悪いという驚くべき結果が新しい研究で示され、医学誌「Journal of General Internal Medicine」オンライン版に5月9日掲載された。この報告を行った米アルバート・アインシュタイン医科大学(ニューヨーク)疫学准教授のHillel W. Cohen博士は、「減塩食は『無害である』と一概にはいえないことが示された」と述べている。
Cohen氏らは、1988〜1994年に米国人8,700人を対象に実施された米国民健康栄養調査(NHANES)に着目。被験者はいずれも30歳以上で、特別な減塩食を実行している人はいなかった。2000年までに被験者に生じた事象について調べた結果、喫煙や糖尿病などの影響を考慮して統計結果を調整した後も、塩分の摂取が最も少ない25%に属する被験者は、摂取が最も多かった25%に比べて心疾患による死亡リスクが80%高かった。
Cohen氏は、一部の人にとって塩分が有害であることを無視するつもりはないとしている。心疾患予防のためには減塩食をと言われてきているのは、塩分を多く摂取することと高血圧に関連があるからである。しかしながら、多くの研究から、塩分摂取による血圧の変化が極めて軽度(modest)であることが示されている点をCohen氏は指摘し、血圧が正常で健康な人に減塩を勧めることへの疑問を投げかけている。今回の研究では、塩分摂取が何らかの別の因子を反映している可能性もあるが、研究グループはその可能性もできる限り考慮したという。
米ブリガム・アンド・ウィメンズ病院(BWH、ボストン)のHoward Sesso氏は、既存の疾患が隠れた因子となっている可能性を指摘する。被験者は、心疾患や高血圧、糖尿病であったために塩分摂取を控えたのかもしれないが、そういったことが考慮されていない可能性があるという。塩分の害に関する研究では、さまざまな結果が示されており、「血圧の正常な人は塩分の摂取を続けてもよいが、適度(moderation)を心がけ、最も大切なのは食生活全体であることを心に留めておく必要がある」と同氏は述べている。
まぁ確かに本来生き物である以上、塩分は必要なもの。
しかしながら現代においてはどうしても「過剰摂取」してしまいがちです。特に日本では味噌醤油といったものを頻繁に使うため、塩分過多になりやすい。
記事で述べられている注意点としては、「血圧が正常ならば塩分は適度にとるべし」というもの。確かにその通りです。
減塩食が必要なのは、高血圧の人だけ。高血圧の人はまず、薬での治療も必要ですが、同時に減塩食も心がけないといけません。ある程度の人は、薬を飲まなくても、減塩食を行うだけで血圧が下がりますしね。それだけ日常的に、塩分を取っているということにもつながりますし。
要するに誰しもが減塩食にすればいいっていうわけではなくて、血圧の高い人は減塩食にしましょうよ、ってことだと思います。なんかこう書くと当たり前のことのようですが…。
関連
医学処:キムチを食べ過ぎると肥満、高血圧、高脂血症など慢性疾患にかかる
医学処:脳血管疾患は北日本が高く、肝癌は西日本が高い。