遠い昔、新石器時代に11人の男が狩猟に行った。 右側の茂みの中からイノシシが突然飛び出し、猟師たちに向かって突進してきた。 みんな驚いて慌てている間、猟師の中の一番左側にいた男が右側に向かって槍を投げた。 槍は命中してイノシシは倒れた。 彼は11人の猟師の中で唯一の左利きだった。
サッカーチームでも猟師の集団でも左利きが一人いればはるかに強くなる。 実際、左利きの割合は東西古今を問わず、全体人口の約8−12%を維持している。 狩猟時代のこうした利点が、左利きの比率を一定に維持するよう遺伝子が作用した、ということだ(Leonard Shlain著『自然の選択−Gyna Sapiens』)。
一対一の戦いで有利になるために左利きの比率が一定に維持されるという仮説もある。剣での戦いやボクシングなどのスポーツで、右利きの人は右利きの相手に対応して準備しているため、左利きの攻撃には弱いということだ。 英語で左側を意味する「sinistral」には「欺まん的な」という意味が込められているのも、こうした理由と考えられる。
文化的な偏見のため、左利きを無理に右利きに変えようとする社会も多かった。 利き手を変えるのも9歳までは70%程度の成功率に達するが、9歳以降は20%へと急激に落ちる。
左利きに関する秘密は現代科学でも完全には解けていない。 左利きは遺伝することはするが、メンデルの遺伝法則には従わない。父母ともに左利きの場合でも、子どもが左利きになる比率は多くて50%だ。 父母ともに右利きの場合にも、子どもの2−10%は左利きとなる(マーティン・バイマン著『手が支配する世界』)。
左利きが右利きに比べて賢いかどうかも解けていない疑問だ。 左手の動きは右脳が支配するため、左利きは右脳が担当する視空間的な機能が発達している、という主張もある。 レオネルド・ダヴィンチやミケランジェロのように建築家や芸術家に左利きの割合が相対的に多いのもこのためだ、という説明だ。 半面、右利きは左脳が発達し、言語領域が優れているという。
今年11月に行われる米国大統領選挙に候補として出る共和党のジョン・マケイン上院議員と民主党のバラック・オバマ上院議員はともに左利きだ。 歴代米国大統領のうち16%が左利きと知らされている。 少数の左利きが経験する問題を克服してきたことが、高い成就度をもたらす原因という。
最近はコンピューターゲームや戦闘機の操縦のように速い情報処理が必要な作業には左利きがよい、という研究結果もある。 脳の右側と左側の連結が速いためだという。 こうした点を考えると、21世紀にはあえて左利きを右利きに変える必要はなさそうだ。
やはり生まれてきた時に左利きだった場合は、直さないほうがいいかもしれませんね。日本では偏見はそんなにないでしょうけれど、左利きだと不便な点というのは物凄くあると思うので、そこは社会が左利きにあわせるべきだと思いますが。(駅の改札が一番不便そう)
右脳が優れている人と左脳が優れている人、どの職場に行っても、お互いに協力しあえば良い結果が生まれると思います。医者は左利きの割合が結構いると聞きますが、実際どうなんでしょうね。空間把握能力が優れていれば何かと便利そうです。
そういえば卓球の水谷隼選手は、両親が戦略的なことを考えて右利きから左利きに矯正したとか。幸いにも若くして日本の頂点に上りつめたので、両親の目論みは成功したわけです。
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