慢性骨髄性白血病の根治につながる治療法を、米ハーバード大医学部の伊藤圭介研究員らが開発した。異常な白血病細胞をつくりだす骨髄中のがん幹細胞をなくし、再発を防ぐことにマウスで成功した。人間の細胞でも同様の効果を確認した。19日付の英科学誌ネイチャーに発表する。
同大はこの治療法の臨床試験の開始を、すでに決めた。イタリア・トリノ大からも臨床試験の依頼を受け、日本でも計画しているという。
現在の抗がん剤治療で使われる薬は、白血病細胞のような増殖能力が高い細胞を標的にしている。このため、白血病細胞は殺せるが、増殖をしていないことが多いがん幹細胞には効きにくかった。
伊藤さんらは、まず「PML」という遺伝子が、がん幹細胞を休止期の状態にしていることを発見。さらに亜ヒ酸を抗がん剤と一緒に投与すると、このPMLの働きが落ちて、がん幹細胞の増殖が盛んになり、抗がん剤の効き目があがることを突き止めた。
慢性骨髄性白血病は、国内では10万人に1〜2人の割合で発症し、成人の白血病の約2割を占めるとされる。
慢性骨髄性白血病。いわゆるCMLです。フィラデルフィア染色体、BCR-ABL遺伝子、そして治療薬のグリベッグ(イマチニブ)。
グリベッグの登場により、かなり効果を挙げて来ましたが、今回のこの発見によって、より助かる人が増える可能性が。血液のがんと言われている白血病でも、根治することができるようになる、かも。
参考:慢性骨髄性白血病
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