中枢神経の一部が炎症を起こし、視覚や運動などさまざまな障害が出る難病「多発性硬化症」は、特定の遺伝子の働きが高まることで炎症を起こす物質が放出されて発症するという仕組みを国立精神・神経センター神経研究所の山村隆部長らが解明、9日付の米科学アカデミー紀要(電子版)に発表した。
この遺伝子を標的にすれば、病気の進行を抑える薬の開発につながるという。
多発性硬化症は免疫機能の異常で、脳や脊髄の神経細胞を結ぶ細長い軸索を取り巻く「さや」の部分に炎症が起きて発症。リンパ球の一種、T細胞が中枢神経に入り、さやを攻撃することが原因とされるが、詳しい仕組みは不明だった。
山村部長らは、多発性硬化症の患者で働きが活発になっている「NR4A2」という遺伝子に注目。マウス実験などで、この遺伝子がつくるタンパク質が、炎症を引き起こすサイトカインという物質の分泌に関与していることを突き止めた。
この遺伝子の働きを弱めるとサイトカインの分泌が減り、病気のモデルマウスの症状が軽くなった。
最近、人の「病気」に特異的な遺伝子などが色々と見つかっていますね。
しかもその遺伝子を抑制すれば症状が軽減するという・・・。神経の疾患って、最も患者の生活力というか、自立力を奪うものだと思うので、こういった研究は是非とも臨床に体現していただきたいものです。吉報を。
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