米国の医療機関のサイトやアプリで利用できるサービスの中に、「患者ポータル」というものがある。これは、インターネットを介して、安全な方法で患者個人の健康情報を公開する機能のことで、ユーザー名とパスワードを入力するだけの手間で、自分に関する医療情報に時間を問わずアクセスできるのが特長だ。
とは言え、これらのデータはそれぞれの病院が別々に作成したものであるため、患者が自分の健康状態についての全ての記録を一括管理するのは容易ではない。特に難病を患っており、複数の病院に通っている人にとっては、自分の健康状態がどのような経路を辿ったかを整理・把握するのはかなり大変な作業だそうだ。
今回ご紹介する「PicnicHealth」は、バラバラになっている患者の医療記録を入手して一本化し、利用者が見やすい形に整理してくれるサービスだ。また継続利用すれば、病院に通うごとにリアルタイムで更新作業も行ってくれる。2014年3月にサンフランシスコでロンチ。7月にはY Combinatorより120万ドル(約1億2000万円)の投資獲得に成功している。
実際日本で、色々な科を受診している場合、なにはともあれ必須なのが「お薬手帳」だと思います。よく「朝のむ白い小さい粒で…」と言われ、病状からアタリをつけにいっても「いえ、なんか4mmぐらいで」と言われても、だいたい分からないことが多い。まあ実際、薬の名前なんて分からないことがほとんどだと思う。
そしてただ薬の名前だけでなく、その人の病気・病名が何であって、どのくらい治療して、というのがわかるだけですごく有益だし、あとよくあるのが採血とかレントゲンとか、頭部CT・MRI画像なんてのも共有できれば最高に便利。患者さんも1ヶ月前に呼吸器内科で採血してその次に初診でかかった腎臓内科でまた採血なんてことになったら、不利益極まりないし。CTなんかも、それぞれの病院で「残しておきたい」ものだし。
個人情報云々あるけれども、それは患者側の意見なんだろか。「採血データや画像データぐらい医療機関内で共有してくれて構いませんよ」って人、結構多いんじゃないだろか。そういうサービスは、ベンチャーにとって案外宝物かも。