結婚は、本当に「人生の墓場」なのか。そんな疑問を抱かせるような研究結果が、1月30日発行の欧州医学誌「European Journal of Preventive Cardiology」(電子版)に発表された。報告したフィンランド・トゥルク大学病院のAino Lammintausta氏らによると、フィンランドに住む35歳以上の男女のデータを検討した結果、未婚者に比べて既婚者では急性冠症候群(急性心筋梗塞、不安定狭心症)の発症リスクが低かったという。特に既婚女性ではより低リスクだったようだ。
Lammintausta氏らは、フィンランドに住む35歳以上の男女を対象に急性冠症候群の発症を追跡したデータベースから、1993〜2002年の登録者23万3,000人を解析。10年間で1万5,330人(男性8,137人、女性7,193人)が同症候群を発症しており、発症から28日以内の死亡は7,703人だった。
その結果、既婚者に比べた急性冠症候群リスクは、未婚の男性で1.58〜1.66倍、未婚の女性では1.60〜1.65倍で、28日以内の死亡はそれぞれ1.60〜2.68倍、1.71〜2.75倍高かった。35〜64歳の男性における28日以内の死亡率は、既婚者が26%、離婚者が42%、未婚者でが51%。同年齢の女性では、既婚者が20%、離婚者が32%、未婚者が43%で、いずれも未婚者で高い死亡率が認められた。これは、65〜74歳と75〜99歳の年齢層でも同じ結果だったという。
では、なぜ既婚者では急性冠症候群にかかる割合が低かったのか。Lammintausta氏らはその理由として、健康状態が良くない単身者を除外し切れなかったこと、家族と同居している場合、発症後すぐに対応できること、再発を予防する薬をきちんと服用していることなどを挙げている。
なんだ、結婚すると愛情パワーでストレスが減るとかそういう話ではなかったのか。考察が現実的すぎて面白い。
まあ結婚したほうがストレスが溜まって心臓病のリスクが上がる、というわけではないことを証明しただけでも価値があるというもの(男にとっては)。