2012年12月01日

糖尿病治療薬メトホルミンが癌細胞を再発しない細胞に変える

糖尿病治療薬:「がん抑制」実証 細胞変化、仕組み解明−−山形大チーム

 糖尿病治療薬メトホルミンが、悪性脳腫瘍の再発原因とされる「がん幹細胞」を「再発しないがん細胞」に変えるメカニズムを山形大医学部と国立がん研究センターの共同研究チーム(代表・北中千史山形大教授)が初めて実証した。乳がんや肺がんの治療にも応用できる可能性があるという。論文は15日、米科学誌ステム・セルズ・トランスレーショナル・メディシン(電子版)に掲載された。

 研究チームによると、がん幹細胞の維持に糖代謝が関わっていることを発見。マウス実験を重ね、メトホルミンの一時的な投与で代謝調節遺伝子を活性化させると、がん幹細胞内の特定の分子が活性化し、ただのがん細胞に変化する仕組みが解明されたという。メトホルミンについては従来、がんの増殖を抑制する効果が経験的に示されていただけで、がん幹細胞への効果は知られていなかった

 手術でがん細胞を取り除いても、がん幹細胞が残っていれば再発するケースが多いうえ、がん幹細胞は放射線や抗がん剤が効きづらく、治療が困難とされてきた。このため研究チームは「再発しないがん細胞」に変化させることを目標に研究を続けた。



 これって癌治療の根幹に関わってくるんじゃないでしょうかね。癌幹細胞をまずどうにかして、癌細胞を叩けば、再発率とか転移率とか減るんじゃないでしょうか。既存薬による治療、進むといいんですが。


posted by さじ at 16:00 | Comment(0) | がん

10年以内にiPS細胞で臓器作成を。文科省が本気。

iPSで10年以内に臓器作成 文科省、行程表改定

 文部科学省は、人工多能性幹細胞(iPS細胞)の研究に関する今後10年程度の目標を示した行程表をまとめた。2日午後の幹細胞・再生医学戦略作業部会に示す。10年以内に肺や腎臓などの臓器を作る技術の確立を目指すとしている。2009年に作成した現行の行程表を、その後の研究の進展状況に合わせて改定した。

 目の網膜や脳の下垂体など、理化学研究所で先進的に行われている組織を作る技術の拡大方針も新たに盛られた。移植医療には、ばらばらの細胞よりも体の中の状態に近い立体的な組織や臓器を作り出して使う方が適しているとして、膵島や肝臓などの作製に広げる考え。



 わずか10年で。でもこの医学進歩のスピードからしたらありえない話ではないですね。そのためには潤沢な資金をですね、山中教授にぶちこんでもらいたい。技術が世界トップクラスのまま続くなら、日本の経済もそれで助かるかもしれませんぜ。
posted by さじ at 15:00 | Comment(0) | 再生

日本人を60年以上調査したところ喫煙で寿命が10年縮まっていた。

喫煙で寿命10年縮まる 日英、日本人を60年以上調査

 たばこを吸うと寿命が8〜10年縮まることが、放射線影響研究所(広島市)や英オックスフォード大による調査でわかった。日本人約6万8千人を分析した。未成年でたばこを吸い始め、吸う本数が多い人ほど死亡リスクは高かった。25日付の英医学誌電子版に発表した。

 研究チームは、被爆者の健康影響を調べるために放影研が60年以上続けている「寿命調査」の対象者のうち、喫煙の有無が判明している人を分析した。被爆していない人も含まれる。

 未成年でたばこを吸い始めた男性(1920〜45年生まれ)の72%は70歳まで生きた。一方、同じ年代でたばこを吸わない男性の72%は78歳まで生きた。たばこで寿命が8年縮まったことになる。女性は、寿命が10年縮まっていた。



 昔の喫煙データと、最近のデータを比較すると結構面白いかもしれないですね。しかしタバコを吸わない健康志向の人のほうが寿命が長いというのはそりゃ当然ですが、まさか8年も違うとはねー。人生の10分の1じゃないですか。タバコ、この機会にやめましょ。
posted by さじ at 14:00 | Comment(0) | 呼吸

皮膚外毛根鞘がんの原因遺伝子MOB1を九大が特定する

九大、タンパク質MOB1が皮膚外毛根鞘がんの原因遺伝子であることを特定

 九州大学(九大)は、これまで不明となっていた皮膚外毛根鞘がんの原因遺伝子がMOB1であることを特定したと発表した。また、併せてMOB1が同がん以外のがんの発症にも重要である可能性も示した。

 同成果は同大生体防御医学研究所の鈴木聡 教授ならびに西尾美希 助教、大阪大学大学院医学系研究科の板見智 教授らによるもので、米国科学雑誌「Journal of Clinical Investigation」オンライン版に掲載された。

 皮膚の毛包の中でも外毛根鞘から発症すると考えられている皮膚外毛根鞘がんは、皮膚がんの0.05%とまれな腫瘍で、発症は高齢者に多く、頭部や顔面、四肢に好発することが知られている。発症者の多くが、腫瘍の直径が1〜3cmまでの初期段階で来診することから、転移も少なく広範囲な摘出が施行されているが、それでも3〜20%程度のリンパ節転移があり、予後不良となってしまっていた。

 しかし、その原因遺伝子についてはこれまでまったくわかっていなかった。今回特定されたMOB1は、LATSキナーゼを調節するアダプタータンパク質で、MOB1がLATSキナーゼと結合することによってLATSキナーゼの活性を増強すること、LATSキナーゼは卵巣腫瘍、下垂体腫瘍、線維肉腫などのがん抑制遺伝子として作用することなどが報告されており、がん抑制遺伝子として作用する可能性が類推されていた。

 今回研究グループでは、MOB1を欠損させたマウスを作製し、研究を進めたところ、MOB1完全欠損マウスは着床早期に致死となったことから、MOB1が発生に必須な分子であることが確認されたという。

 また、MOB1を部分欠損させたマウスでは、その100%に皮膚外毛根鞘がんが認められたほか、骨肉種が24%、線維肉腫が22%、肝がんが19%、乳がんが16%、肺がんが5%、唾液線がんが5%、それぞれ発症していることも確認された。これを受けて、ヒト皮膚外毛根鞘がんにおけるMOB1の発現を見たところ、約半数でMOB1の発現が顕著に低下していることが確認されたという。

 研究グループでは今回の成果から、MOB1を標的とする化学治療法が主要に奏功する可能性が高いことが示されたとしており、現在、MOB1を標的とする抗がん剤の開発を試みているとのことで、これが転移のある皮膚外毛根鞘がんやその他の骨肉種、線維肉腫、肝がんなどにも奏功する可能性も期待できるとしている。



 皮膚科の本領発揮です。意外と皮膚癌というのは高齢者にも多く、一見すると病院に行った方がいいかワカランぐらいなのでなかなか難しいのですが、実際プロの皮膚科医は観て、ある程度判断できるようです。凄いですよね、あれは凄い技です。
posted by さじ at 12:00 | Comment(0) | 皮膚

マサチューセッツ工科大学、耳の生体電位を電源に利用することに成功する

耳の中の生体電位を医療用デバイス電源に利用 ・・・ MITとハーバード大が実証

 マサチューセッツ工科大学(MIT)とハーバード大学の研究チームが、内耳における蝸牛の生体電位を電源として利用するインプラント型医療用デバイスを開発したとのこと。モルモットの内耳にデバイスを埋め込み、無線による計測データの読み出し実験に成功した。聴力や平衡感覚の計測などに応用できるとする。2012年11月8日付の Nature Biotechnology に論文が掲載されている。

 耳の内部では、鼓膜の振動が電気信号に変換され、脳に送られる。蝸牛は、この電気信号を流すための電圧を作る働きを持っている。蝸牛内には膜で仕切られた空間が存在し、細胞の一部がイオンポンプとして機能している。イオンポンプによって膜の両側におけるカリウムイオンとナトリウムイオンの濃度が不均衡となり、膜の内外に電位差(膜電位)が生じる。

 蝸牛内の電圧は生体の中では最も高いものだが、それでもなお非常に低い。その上、聴力を損なわないようにする必要から、デバイスの電源として利用できる電力はごく一部に限られる。今回MITのマイクロシステム技術研究所(MTL)が開発したチップは、こうした条件で動作可能な超低電力電波送信器であるという。

 実験では、このチップに接続した電極をモルモットの蝸牛内の膜に埋め込んだ。蝸牛内電位から最小で1.12nWの電力を5時間にわたって回収し、蝸牛内電位の測定値を2.4GHz無線によって40〜360秒間隔で転送することができた。チップ自体はモルモットの体外に置いたが、チップサイズは内耳の空間内にも十分設置できる小ささであるという。



 未来技術過ぎる…。マトリックス的な感じになってきました。これを使った技術も出来るようになるのかもしれませんね。軍隊の無線が確かに一番有用そうかな。
posted by さじ at 12:00 | Comment(0) | 耳鼻

悪性リンパ腫の発症に関わる蛋白APOBEC3を京大が特定する。

京大、発がんタンパク質特定 予防や治療に期待

 血液のがんの一種「悪性リンパ腫」の発症の促進に関わるタンパク質を京都大大学院の高折晃史教授のチームが突き止め、13日付の英科学誌サイエンティフィック・リポーツ電子版に発表した。

 タンパク質はヒトの体の細胞内にある「APOBEC3」という酵素。がん遺伝子はがんを起きやすくするが、このタンパク質はがん遺伝子を変異させ、さらにがんを起きやすくする。

 チームは乳がんなど他のがんの発症にも関与しているとみており「このタンパク質の働きを抑えれば、がんの予防や、進行を阻止する方法の開発に役立つ」としている。



 蛋白をターゲットにした治療薬などできれば、治療に難しい疾患も改善することができるかもしれません。今年だけで一体どれだけのたんぱく質がみつかったんでしょう。数年後が非常に楽しみです。
posted by さじ at 11:00 | Comment(0) | がん

見た目より老けて見える人は心臓病を患う可能性が高い。

「老け顔」は心臓病の予兆?米学会報告

 みた目が実年齢より老けている人は、心臓病を発症するリスクが高いというデンマークの研究結果が、米ロサンゼルスで5日開かれた米アメリカ心臓協会(American Heart Association、AHA)の年次総会で発表された。抜け毛や目の周りに脂肪がつくなど複数の加齢の兆候がはっきり現れている人は、若く見える同年齢の人に比べて心臓病を患う可能性が高いという。

 コペンハーゲン大学のアネ・トゥベアハンセン教授らの研究チームは、40歳以上の約1万1000人を35年間にわたって追跡調査した。このうち心臓病を発症したのは3401人で、心臓発作を起こしたのは1708人だった。

 対象者は性別にかかわらず、加齢の兆候が1つ増えるごとに心臓発作や心臓病のリスクが高まっていたが、中でも3〜4つの兆候があった人は全くない人に比べて発作を起こすリスクが57%、心臓病になる可能性は39%高かったという。

 心臓発作と心臓病の両方を最も強く予見した加齢の兆候は、目の周りの脂肪の蓄積だったこめかみ部分の生え際後退、頭頂部の抜け毛、耳たぶのしわなども加齢の兆候として挙げられている。

 トゥベアハンセン教授は、声明で「目に見える加齢の兆候は生理学的または生物学的な年齢を示し、実年齢とは独立している」「医師は診察の際、こうした兆候を必ず確認するべきだ」と忠告している。



 見た目って大事なんですねぇ。目のまわりは、脂肪がたまっていると高脂血症の可能性も高いですし、心臓疾患のリスクは高いと思われます。そういう特徴をパッとみて医師が判断できれば、増悪する前に予防できるかもしれません。
posted by さじ at 10:00 | Comment(0) | 循環

アルツハイマー病をより早期に発見できるかもしれない。

アルツハイマー病の兆候、もっと早期に発見できる可能性も

 アルツハイマー病の早期発見と予防の方法が模索される中、これまでで最も早期の兆候を発見したとする研究が、6日の英医学専門誌ランセット(The Lancet)に掲載された。

 認知症の症例の3分の2を占めるアルツハイマー病。発症率は200人に1人で、高齢化に伴い世界的に患者数が増えている。治療面で大きな問題となっているのが、病気が進行して回復不可能なまでに脳が変化してしまった後でないと症状が現れない点だ。

 米アリゾナ(Arizona)州にあるバナー・アルツハイマー病研究所(Banner Alzheimer's Institute)のエリック・レイマン(Eric Reiman)氏率いる米国とコロンビアの共同研究チームは、親戚関係にありアルツハイマー病の遺伝的素因を持つ18〜26歳のコロンビア人44人の脳を調べた。

 この親族に伝わる遺伝子変異は、老年期になってアルツハイマー病を発症させる通常タイプと異なり、40代で発症させる珍しい変異で、44人中20人に確認された。検査当時の認知能力には全員、何の問題もみられなかった。
 
 被験者たちの脳をスキャン画像で比較したところ、遺伝子変異のあるグループは、ないグループに比べて脳の特定の部位の灰白質が少なかった。また、アルツハイマー病患者の脳に蓄積してアミロイド斑(プラーク)を形成するとされる「アミロイドβ(ベータ)蛋白」の脳脊髄液中の濃度は、遺伝子変異のあるグループのほうが高かった。

 ロンドン大学ユニバーシティー・カレッジ(University College London、UCL)認知症研究センターのニック・フォックス(Nick Fox)氏はこの発見について、「症状が現れる20年以上前から神経変性が始まっていることを示しており、これまでのMRIによる研究で示唆されていたより幾分早い」とコメント。また、ランセット誌も「より早期の発見と予防治療の臨床試験につながると期待される」との声明を発表している。

 一方、今回の研究はアルツハイマー病の従来の進行モデルに疑問を投げかけるものでもある。フォックス氏は「複数の方面から」従来モデルを疑問視した研究だと述べ、中でも「(脳を損傷させる原因とみられている)プラーク蓄積の兆候よりも先に神経変性が起きているようだ」と指摘。また、今回の研究結果は被験者数が少ないため慎重に扱う必要があり、しかも、より一般的な老年期に発現するアルツハイマー病にはあてはまらない可能性もあると述べている。



 実際、画像でアルツハイマーを診断することが多いのですが、アルツハイマーっぽい症状が出てても、画像ではまだそこまで変異しておらず確定診断が微妙なケースというのも結構多いですからね。こういった早期発見が出来れば、よりアルツハイマー治療薬の早期導入も出来るようになるでしょう。
posted by さじ at 09:00 | Comment(0) | 介護

胃がんの原因となるたんぱく質、細胞を初期化することが判明。

胞「初期化」、胃がん前兆でも=遺伝子レベルで解明−東大

 胃がんの兆候の一つに、胃に腸の細胞が現れる現象(腸上皮化生)があるが、東京大の研究チームは29日までに、この現象の背景に人工多能性幹細胞(iPS細胞)でみられるような「初期化」が自然に起きていることを突き止めた。論文は近く、米科学アカデミー紀要に掲載される。

 東京大大学院医学系研究科の畠山昌則教授(分子腫瘍学)らは、胃がんや胃潰瘍の原因とされるピロリ菌が胃の細胞内に注入する物質が、本来は腸の細胞で現れるCDX1というたんぱく質を生み出していることに着目。培養したヒトの胃の細胞を使い、細胞内でのCDX1の働きを遺伝子レベルで調べた。

 その結果、CDX1は胃の細胞内で、一度分化した細胞を初期化し、どんな細胞にもなれる能力を持たせる遺伝子群を活性化していることが判明。これらの遺伝子の一種はiPS細胞などの「万能細胞」作製にも使われており、同様の初期化が胃の細胞で起きていることが分かった。



 細胞を初期化。圧倒的に原始的なはずなのにこの凄さは一体なんなんだろう。生物の不思議。
posted by さじ at 08:00 | Comment(0) | がん

岡山大、性同一性障害に腹腔鏡手術で性別適合手術を実施する。

腸管使いGID患者の膣形成 岡山大病院が国内初手術へ

 岡山大病院(岡山市北区鹿田町)は16日、性同一性障害(GID)の患者に腹腔鏡を使って腸管から膣を形成する性別適合手術を実施する。これまで先天性の膣欠損患者には行われている手術だが、GID患者へ適用するのは国内初という。

 「体は男性で心が女性(MTF)」の患者への膣形成は陰嚢や陰茎の一部を使っているが、皮膚が縮んで形状が変わりやすいことなどが課題。腸管は腸液を分泌するため本物に近いのが特長で、性交渉がスムーズになり患者のQOL(生活の質)向上につながるという。

 患者は東海地方に住む20代。手術はS状結腸と直腸の一部を12〜14センチ切除し、上部を閉じて血管をつないだまま腹膜に開けた穴に通して、会陰部へ移動させ固定する。

 腹腔鏡手術は長さ1センチほどの穴を3カ所開ける程度で体への負担が少なく、10日ほどで退院できる見込み。腸管を切除することで排便などに支障が生じることはないという。



 腹腔鏡でこんな細かい手術も出来るようになるんですねぇ。腕の良い外科医というのは本当に貴重です。
posted by さじ at 07:00 | Comment(0) | 生殖

肥満だと思われていた女性から28kgの境界悪性腫瘍を摘出

肥満と誤診の女性から28キロの腫瘍摘出

 ドイツ東部ドレスデンの大学病院は26日、60歳の女性から重さ28キログラムもの腫瘍の摘出に成功したと発表した。手術は7時間に及んだが、患者の回復は順調で、既に松葉杖を使って歩けるようになったという。

 病院の発表によると、イルムトラウト・アイクラーさん(60)は別の病院で過度の肥満と診断され、原因は糖尿病と運動不足だとして抗肥満薬を処方されていた。しかし、むくみがひどく立ち上がることもできなくなったため、娘から違う医師のセカンドオピニオンを求めるよう勧められたという。

 大学病院での超音波検査で、縦60センチメートル、横50センチメートルにもなる大きな「境界悪性腫瘍」(良性ではないが悪性度の低い腫瘍)が卵巣に癒着しているのが見つかった。子宮、卵巣、甲状腺も肥大して気管を圧迫し、アイクラーさんは呼吸も苦しい状態だったという。

 手術では腫瘍のほか、これらの肥大していた臓器も摘出された。その結果、危険なレベルまで増えていた体重は40キロ減少したという。



 すげーな…。CTかもしくはレントゲンで診断出来たとは思うんですが、難しいですねぇ。日本だったら簡単にCTとるんでこういうことはないんでしょうけれども。
posted by さじ at 06:00 | Comment(0) | がん

脳死臓器移植、201例目。心臓肺肝臓脾臓を移植。

30代男性脳死、201例目移植 済生会宇都宮病院

 日本臓器移植ネットワークは25日、済生会宇都宮病院(宇都宮市)に脳出血で入院していた30代男性が午前11時25分、臓器移植法に基づき脳死と判定されたと発表した。男性は書面で臓器提供の意思を示していなかったが、家族が提供を承諾した。脳死移植は法施行後201例目で、本人の意思不明は93例目。

 心臓は東京大病院で50代男性、両肺は岡山大病院で50代男性、肝臓は広島大病院で40代男性、膵臓は藤田保健衛生大病院(愛知県)で40代男性に移植する。腎臓と小腸は医学的な理由で断念された。



 200例越え。ご家族の決断に感謝の言葉を述べたい。

 ご冥福をお祈り申し上げます。
posted by さじ at 05:00 | Comment(0) | 移植

心房性ナトリウム利尿ペプチドを投与すると手術後の癌転移を予防する

がん転移抑制ホルモン 心臓が分泌…国循と阪大

 心臓から分泌されるホルモンに、がんの転移を抑える働きがあることを、国立循環器病研究センターと大阪大のチームが突き止めた。副作用の心配がない、がん転移を防ぐ治療法の開発につながると期待される。横浜市で開かれる日本癌治療学会で26日に発表する。同センター研究所の寒川賢治所長らが発見した「心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)」というホルモン。心臓や血管を保護する役割があり、心不全の治療薬に使われている。

 チームは、肺がんと心疾患を併発した患者に、がん手術後の不整脈などを予防するためANPを投与すると、がんの再発が少ないことに着目。肺がん患者の再発率は通常、術後2年で20%程度だが、ANPを投与した90人では4人にとどまった。

 がん細胞があるマウスを使った実験では、ANPの投与で転移を通常の15〜30%に抑えた。一方、ANPが働かないよう遺伝子操作したマウスは、肺や肝臓に転移したがん組織が通常の4〜6倍多かった。普通は起こらない心臓への転移もあった。

 がん細胞は血液を通じて移動し、血管内皮に潜り込んで転移する。がん患者は抗がん剤や放射線による治療で血管内皮が傷つき、がん細胞が潜り込みやすい。再発の多くは、手術時に血中にがん細胞が流れ出すことによる転移が原因だ



 理論上は確かにそう考えられなくもないですが、それを実際にやって成果を挙げたのが凄い。手術時の微量の癌細胞が外に出ないようにANPを使っている点が素晴らしいですね。今後これにエビデンスがより多く乗ってくれば標準治療になりうるかもしれない。
posted by さじ at 04:00 | Comment(0) | 循環

アスピリンが特定の大腸癌に効果があるらしい。

アスピリン、一部の大腸がんに効果? 米ハーバード大

 鎮痛剤のアスピリンが、ある特定の遺伝子に変異がある大腸がん患者については死亡率を減らす効果がある、との論文が、25日付の米医学誌ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシンに掲載された。米ハーバード大の荻野周史准教授らが米国の患者を過去にさかのぼって追跡して分析、報告した。今後、実際の効果を確かめる研究を進めることになりそうだ。

 荻野さんらは、医療関係者が参加する健康調査から、2006年時点で大腸がんと診断され、細胞を分析できた964人の経過を追跡した。このうち「PIK3CA」というがんの増殖に関わる遺伝子に着目、その遺伝子に変異があった161人と、遺伝子変異のない803人について、アスピリンを飲むかどうかで予後の違いを比べた。

 遺伝子変異があったグループでは、アスピリンを飲む習慣がなかった95人のうち44人が昨年1月までに死亡、うち大腸がんが死因だったのは26人だった。一方、アスピリンを週に複数回飲んでいたのは66人で、亡くなったのは18人。このうち死因が大腸がんだったのは3人だった。



 昔からあるものが実は新たな効果があるって、面白いですね。薬ってのは身体中に行き渡る訳で、その中には知らないようなこともおこっているのでしょう。そういったことの積み重ねで医学が進歩していったわけですしね。
posted by さじ at 03:00 | Comment(1) | がん

骨髄移植を開発したノーベル賞受賞者ドナル・トーマス氏が死去。

骨髄移植を開発した米国の医師 死去

米国の内科医で、白血病の治療法として骨髄移植を開発、ノーベル賞を受賞したドナル・トーマス氏が、米シアトルで死去した。92歳だった。フレッド・ハッチンソンがん研究センターが伝えたところによると、ドナル・トーマス氏は、心臓病のため亡くなった。

白血病の死亡率は、ドナル・トーマス氏の開発により、約100パーセントから10パーセントにまで低下し、同士の開発は、医療に飛躍的な進歩をもたらした。現在、骨髄移植によって毎年、数万人の白血病患者の命が救われている。

ドナル・トーマス氏は1990年、ノーベル生理学賞・医学賞を受賞した。



 骨髄移植を開発しノーベル賞を受賞した天才が。全く治療不可能だった疾患群に対し光を与えた成果は大きいですね。実行にあたっては色々なリスクもあったでしょうが、この画期的技術を開発した功績は永遠に語り継がれることでしょう。
posted by さじ at 02:00 | Comment(0) | 小児

自閉症に関与するたんぱく質制御酵素を東大が特定する。

東大、自閉症関与たんぱく質の制御酵素2種を特定

 東京大学大学院薬学系研究科の富田泰輔准教授らのグループは、自閉症の発症に関与するたんぱく質「ニューロリジン」の分量を制御する2種類の酵素を特定した。ニューロリジンは脳内の神経細胞同士をつなぐシナプス形成に関与している。過剰に増えたニューロリジンを2酵素が抑制し、シナプスを適切にコントロールするという神経回路形成のメカニズムが分かった。自閉症の新たな治療法に応用できる可能性があるという。

 ニューロリジンは神経細胞の先端部分に発現するたんぱく質。発現量が過剰になったり減少しすぎたりすると自閉症が発症することがマウスでの実験で分かっていた。

 グループはマウスやラットの脳の切断断片を培養する実験を通じ、ニューロリジンを制御する要因を調べた。その結果、「γセクレターゼ」と「ADAM10」と呼ぶ2種類の酵素が関与していることを突き止めた。



 自閉症は明確に脳の神経学的な異常によって生じるというのは分かってきていますが、それが具体的にどこの異常なのか、どういうメカニズムなのか、徐々に解明されつつあるようです。こういうのは東大が強いですねぇ。今まで対症療法というか、脳の特性を理解してもらうほかなかったんですが、より重度の自閉症に対する治療法に繋がるといいですね。
posted by さじ at 01:00 | Comment(0) | 精神

ストレスで精神疾患を引き起こす「カルデスモン」を岩手医大が解明

ストレスに伴う分子メカニズム解明 岩手医大研究班

 岩手医大副学長で同大医歯薬総合研究所所長の祖父江憲治医師(神経科学)ら研究グループは17日、盛岡市の同大で記者会見し、ストレスによって精神疾患を引き起こす分子メカニズムを解明したと発表した。祖父江医師らが発見したタンパク質「カルデスモン」が、脳の情報伝達を担う「シナプス」の形成促進に深く関わっていることを世界で初めて突き止めた。うつ病や心的外傷後ストレス障害(PTSD)などの精神疾患の発症メカニズムの解明につながり、将来的な治療法や新薬の開発も期待される。

 祖父江医師は「記憶や学習などの高次脳機能の解明にもつながる成果。カルデスモンの働きに注目した治療法を開発できる可能性はある」と実用も見据えた研究展開を目指す。

 今回の研究は、米国の学術雑誌「ザ・ジャーナル・オブ・ニューロサイエンス」の最新号で紹介される。



 ストレスって言葉はものすごく浸透している割に、何をもってストレスとするのか、それがどう影響してくるかは漠然としておりました。カルデスモンが影響を与えるのであればこれをうまく測定することができれば、ストレスによる心因性うつなどの診断などに至るかもしれません。今後の研究が楽しみです。
posted by さじ at 00:23 | Comment(0) | 精神