2012年12月31日

読者モデルやミスキャンパスなどの美人女性から医学生はモテない。

読モとミスキャンパスから医学生と「業界1位企業」は不人気

 「医学部生と付き合いたい」「商社マンと出会いたい」──。こうした話題は女子会トークでよく出るものだ。「医学部」「商社」という肩書きは、女子垂涎モノのイメージがあるものの、この発想はすでに“古い”という。 読モ(読者モデル)女子とミスキャンパス女子が終結した女子会に潜入取材したところ、彼女たちの口からは意外な言葉が飛び出した。

 お酒が入った彼女たちは、まず「カレシにしたくない業界」トークでヒートアップ。

Aさん(タレント業・23歳):「医学部はホント無理。アイツらと付き合ったら玉の輿乗れると思ってる女は、マジ馬鹿(笑)」
Bさん(ミスキャンパス・22歳):「だよね〜。結局、将来開業する時にお金出してくれる女子と結婚したいわけよ。玉の輿どころか、医学部生は“逆玉”狙ってるからね」
Aさん:「そうそう〜。医学部生ってどんな女とでも付き合うけど、結局女子大のお嬢様狙いだから! 将来、玉の輿乗れるなんて幻想だから」
Cさん(ミスS大学・23歳):「自分が医学部生っていうだけで女がホイホイ付いてくると思ってるあたりも、ウザイくない? 基本調子のってる奴が多い! 俺がちょっと優しくすればすぐヤれる、とかいってる奴いてさ、ホント最低〜」
 
「医学部」生と付き合っても玉の輿は狙えないとは、彼女達はかなりリアリストのようだ。



 確かに医学部生と付き合って、要するに医者になって玉の輿に乗れると思ってる人がいたら「マジ馬鹿(笑)」でしょう。玉の輿に乗れる、いわばCLASSYに載っているような憧れの生活をしたいなら、外資系企業とか、あとはITベンチャーの男性と付き合ったほうが良いでしょう。

 勿論、それらには時折爆弾のようなものもついていますが、そういうのも含めて玉の輿を狙っている女性にはお勧めしたい。

 今日も、ジュンク堂で1万7千円払って、雨の中クソ重たい医学書を抱えて帰宅しましたけれど、食事600円だったし。ホント、前も書きましたけど、医学書の電子化、頼んますわ。ずっと持ってたい本なのにたった4冊で17000円は鬼ですよ。重すぎてどこにも持って行けないわ。

 話が逸れましたが、ここでのポイントは、読者モデルやミスキャンパスなど、要するに容姿に自信のある女性、特にこういう記事になるような、ホントーに自分の容姿にイニシアチブを持っているような女性は、裏を返すと男性から姫のように扱われてきた女性なわけで、そういう女性を満足させたり乗りこなせるような人ってのは、多分医者にはほとんどいないと思う。いたとしても結婚はしないと思う。
posted by さじ at 01:55 | Comment(0) | 大学

2012年12月19日

重たい医学書から解放する電子書籍版医学書がなかなか出てこない理由

「電子教科書」出版社は複雑な思い 重たい医学書から解放!学生は歓迎の声

 電子書籍の普及が進む中、大阪府立大学(本部・堺市中区)で、教科書の電子書籍化に向けた実証実験が進められている。今年6月から一部の学生を対象に、電子化した教科書を収めたタブレット端末を配布。デジタルならではの検索機能に加え、教科書の重さから解放されることが、学生にとって最大のメリットだ。一方で出版社の側には、電子化による教科書の“価格破壊”への懸念も広がる。これに対し、タブレットを提供し二人三脚でプロジェクトを進めるシャープは、府立大での実験成果を踏まえて全国の大学に普及させたい考えだ。

 府立大では6月、総合リハビリテーション学部で臨床実習中の4年生80人に、11月末までシャープ製のタブレットを貸与。10月から来年7月までは、第2陣として看護学部の3年生92人が実験に参加している。

 これらの学生は臨床実習のために、病院などの施設と、大学や自宅との間を往復する機会が多い。しかし、理系の学生ならではの悩みが教科書の重さ。学生によっては、15冊にも及ぶ分厚い医学専門書約10キロ分を、リュックなどに入れて持ち運ばねばならないという。総合リハビリテーション学部では約75%、看護学部の場合だと約95%を、女子学生が占める。重たい教科書の持ち運びは、学生たちにとって悩みの種だった。

 これに対し配布されたタブレットは、大学ノートとほとんど変わらない大きさの10・1インチ画面で、重さはわずか640グラム。この中に必要な教科書すべてに加え、患者との接し方や採血の手順を学ぶ動画など府立大が独自に開発した教材、国家試験の問題集も収録されている。

 紙の教科書にはない、電子化のもう一つの大きなメリットが検索機能だ。タブレットでは、収録されているすべての教材を横断的に、一瞬でキーワード検索することが可能。紙と同様に、重要な部分に付箋をつけたり、マーカー線をひいたりすることもできる。

 また実験第1陣の総合リハビリテーション学部の学生から、「電子教科書に書き込みができるといい」という意見があったことから、看護学部で使用するタブレットにはノートのように書き込める機能も付加。

 学生からはほかに、「画面に1冊分しか表示できないのは不便。机の上で何冊も本を広げるような使い方がしたい」との要望も出ているといい、今後も学生へのアンケート結果やタブレットに記録された使用状況記録を分析し、実用化へ向けた検証を進めていくという。

 一方で、実用化には、クリアすべき課題も多い。その一つが、出版社側の対応の不透明さだ。実証実験には出版社約10社が協力し、タブレットに収録された教科書は無償で貸し出された。だが、実用化に際しては、対応を留保する社が少なくないという。

 その大きな原因が、電子教科書は紙の教科書に比べて価格が安く利益が出ないのでは、という懸念が出版界に根強く残っていることだ。出版社によって事情は異なるが、府立大によると、電子教科書を販売する条件として、紙の教科書と電子教科書の双方を購入することを挙げる社が複数出てくる可能性があるという。

 しかし電子教科書を、これまでの教育界を変えるビジネスチャンスととらえる見方もある。実験に協力している医学系専門の出版社、三輪書店(東京都文京区)は教科書の電子化に前向きだ。

 青山智社長は「電子化によって、教科書に音声や映像を入れることも可能になる。これまでの教科書の概念を変え、大きく発展する可能性がある。出版社にとっても電子化は有益だ」と期待を込める。

 シャープの辰巳剛司・モバイルソリューション事業部長は「府立大での実験で培ったノウハウは、他の大学へも転用することができる。今後、全国の大学で電子教科書が広まるのでは」と予想。

 実証実験チームのリーダー、矢田泰規・同副部長は「電子教科書を導入する大学が増えれば、出版社側も積極的に電子化を推進するはず」と話している。



 三輪出版やるじゃん!

 三輪出版というとあまり聞いた事ないようですが、研修医なら「研修医当直御法度ーピットフォールとエッセンシャルズ」や「そこが知りたい! 感染症一刀両断!」などが超有名ですね。

 やー、正直、電子化は必須ですよ。他の出版社の方々。逆に三輪出版は先陣きってやれば凄いイニシアチブ取れるぞ。

 日々勉強、日々進歩の医学においては、教科書は必須といえど、あの膨大な量の本を持ってまわらなければならないというのはありえない。家でも病院でも、電車の中でさえみられるようにしないといけない。それをなんだ、価格がどうのとか。層が少ないから買う人も少なくて専門書ほど高いつったって、1冊8000円とか、10000円とか、バカか!っつー話ですよ。

 ハリソン内科学とか上下巻合わせて4000ページぐらいあるんですよ。大体字が細かすぎるし、索引が超使えないし、でかすぎてページを開くのすらおっくうだから、普通に使うのもメンドクサくて漬物石みたいになる。価格も3万円ぐらいするから勉強熱心の医学生も買わないし。東海大学は全員に配ってるんでしたっけ?そんなブルジョワジーなこと他の大学には出来ませんぜ。

 そこで電子化ですよ。価格も1万ちょいにして、電子化して、検索充実させてごらんなさいよ。あとページをタブレットでみれるぐらいに見やすくしてさ。これだけやったらハリソン内科学買う人3倍にはなるよ。絶対。私も買うし。いや、私は書籍で持ってますよ、上記の理由であまり使ってないけど。ハリソン内科学を家から学校、病院にもっていく人がいたらマゾですね、ただの。皆さん、本屋に絶対あるから観て下さい。ハリーポッター上下巻セット4個分ぐらいの重さあるから。

 あと、今やらなきゃ致命的な問題が1つある。

 タブレット流通に伴って、医者たちはより最新の知識を得ようとして海外の本、いわゆる「原著」を電子書籍で買う。爆安だし、タブレットですごく見やすいし、何より検索しやすい。それに、良い専門書は海外のものが多いし英語をやらなきゃなーって思ってる若手医師やベテラン勢はみんなそっち買う。それを、未だにあんなバカでかい本を高値で買うやつがいると思って?学生じゃないんだから英語だって抵抗ないんですわ。

 …まだだめか!じゃあ電子化してもウケる究極のテクニックを教えたい!

 冒頭にも書いたように、医学の世界は日進月歩です。新しい薬が出ればそれだけ薬の項目が増えるし、最新の知見が得られれば、版を更新します。特にガイドライン系などは、数年に1度は更新されるでしょう。

 するとどうなるか。例えば精神科領域でいうと、「DSM」っていう疾患ガイドラインが、来年更新される。世界中で。今現在DSM4っていうのを使ってるけどこれがDSM5になる。来年なるってことは、今からDSM4を買う人が激減するでしょう?

 そこで、電子化によって、アルティメットな革命が起こせるわけですよ!もしDSM4の日本語版を電子書籍で買っていたら、安価でDSM5にアップデートできるようにすればいい!今書籍として売っているDSM4が4000円だから、電子書籍を2000円ぐらいにして、アップデートを500円で行えばいい。そしたら今からDSM買いたい人も買い渋らなくて済むし、安価だからみんな買うでしょう。しかも軽い!ガイドラインなんて別に他の教科書みたいに書き込むところもないんだから、電子書籍にしない手はない。手軽に調べられるのがミソ!

 どうですか。どうですかね。ホント、このアップデートシステムがあれば参考書買う医師絶対増えるよ。しかもずっと使えるんだから。各出版社さん、どうぞお願いします。

 …ちなみに引っ越しのたびに段ボール6箱分ぐらい医学書を移さなきゃいけないので死ぬほど面倒です。お願いします、ホント…。
posted by さじ at 18:00 | Comment(1) | 救急

運動トレーニング時に褒められると運動能力がより向上する。

“褒めて伸ばす”は本当だった

 運動トレーニングを行った際に他人から褒められると、運動技能が高まることを、自然科学研究機構 生理学研究所の定藤規弘教授や名古屋工業大学の田中悟志・テニュアトラック准教授、東京大学先端科学技術研究センターの渡邊克巳准教授などの研究チームが証明した。米国科学誌「プロスワン」に発表した。
 
 研究チームは、右利きの成人の男女48人に、30秒間のうちにできるだけ速く、順番通りにキーボードを打つといった、連続的な指の動かし方を覚えてもらった。そのトレーニングの直後に48人を「自分の技能が褒められたグループ」「他人の技能が褒められるのを見たグループ」「自分の技能の成績グラフだけを見せられたグループ」に分けた。翌日に、覚えた技能を披露するテスト(30秒間のうちにある順番で何回打てるか)を行ったところ、自分が褒められたグループの成績(回数)は20.0%伸びた。他人が褒められたグループの伸びは14.4%、自分の成績を見たグループの伸びは13.1%にとどまった。

 定藤教授は「褒められることは、脳にとっては金銭的報酬にも匹敵する社会的報酬だ。この社会的報酬を得ることで、運動技能の取得がより上手に促されることを証明した。“褒めて伸ばす”ことの科学的な妥当性を示すものであり、教育やリハビリテーションにおいて、より効果的な“褒め”の方略につながる可能性がある」と話している。



 運動機能にもこういうのってあるんですね。指導者的立場の人は、厳しく指導するときはして、うまくいったときにはしっかりと褒める、ということが求められそうです。鬼教官であればいいというわけではないのですねぇ。
posted by さじ at 05:45 | Comment(0) | 脳神

やる気スイッチは、腹側淡蒼球にあった。

“やる気スイッチ”は大脳の一部位にあった

 行動や運動における“やる気”は、予測される報酬の量に影響されるという。その予測に、大脳基底核の「腹側淡蒼球」という部位の神経細胞が関わっていることが、自然科学研究機構・生理学研究所の橘吉寿助教と米国NIH(国立衛生研究所)の彦坂興秀博士らのサルを使った研究で分かった。

 哺乳類の大脳基底核は運動調節や認知機能、感情、学習、動機づけといった、さまざまな機能に関わっているといわれる。研究チームは、情動と運動を結びつける神経回路を持つとされる腹側淡蒼球に注目した。研究論文が、米国神経科学誌「NEURON」に掲載された。

 アカゲザルに、特定の合図のあと、モニター画面の図形が動く方向に目を動かすように覚えさせ、うまくできたらジュース(報酬)をもらえるようにトレーニングした。そのときの腹側淡蒼球の神経活動を記録し分析したところ、腹側淡蒼球における神経細胞の多くが、合図を受けてジュースをもらえるまで、神経活動が持続することを発見した。

 図形の位置によって、もらえるジュースの量を変えると、ジュースの量が多いほど、目を動かすスピード(運動)は速く、腹側淡蒼球の神経活動も大きくなった。薬物によって一時的に腹側淡蒼球の働きを抑えてやると、目のスピードはジュースの量に影響を受けなくなったという。

 これらの結果から、腹側淡蒼球が、“報酬”を予測し“やる気”を制御する脳部位の一つであることが分かった。教育やリハビリテーションなどでは、“やる気”が学習意欲やその習熟度を高めるといわれる。橘助教は「今回の研究により、“報酬”に基づく学習プロセスの理解が進むことが期待される」と話している。



 ナルホド…。何か報酬を決めてそれを目指して勉強するというのは、あまりやりたくない勉強を行う上での常套手段ですが、それを脳の領域から解明した形。

 だからといって親がゲームを買い与えるから勉強しろとかいうと、失敗例が非常に多いのでまだまだ難しいところではありますねぇ。子供のうちは、楽しく勉強できるようにするべきで、大人というか高校生とか大学生ぐらいになったときに、「自分で」報酬系を活性化させる工夫があると、うまく成長できるのかもしれません。

腹側淡蒼球関連:
医学処:ヒトが高収入を求めるのは、本能によるもの。
医学処:ハンチントン病の進行に関与する因子を発見する。
posted by さじ at 05:25 | Comment(0) | 脳神

将棋などの直感能力は訓練する事で能力向上が見込める。

直観能力はやはり訓練で向上

 将棋や囲碁の棋士の強さの秘密と考えられている優れた直観能力は、脳の尾状核の活動の強さにあり、かつ訓練によって強まることが、理化学研究所などの研究チームにとって確かめられた。

 同研究所脳科学総合研究所の田中啓治・認知機能表現研究チームリーダーらは、伊藤毅志・電気通信大学大学院情報理工学研究科助教、富士通、富士通研究所、日本将棋連盟と共同で、将棋棋士の脳の神経回路の情報処理メカニズムを調べ、人間に特有の直感思考の仕組みを解明する研究プロジェクトを5年前から進めている。

 研究は、機能的磁気共鳴画像法(fMRI)で棋士の脳の活動を観察する手法を用いた。これまでに、プロ棋士が持つ優れた直観的思考能力の基礎は尾状核を含む神経回路の利用にあることを突き止めている。

 今回は、将棋の経験がない男性20人(22〜24歳)に、将棋を簡略化した「5五将棋」を4カ月間にわたってコンピュータープログラムを相手に毎日、指してもらった。さらに次の一手を考え出す直観的思考に関わる脳活動を調べるために、5五将棋の詰め将棋問題も与えた。

 この結果、訓練初期、直観的思考課題に取り組んでいる時には、前頭前野背外側部を含む大脳皮質のいくつかの場所が活動することが分かった。これらの活動の分布と強さはその後もほとんど変わらない。しかし、訓練を積むにつれて尾状核の活動が現れ、その神経活動の強さは、直観的思考課題に対する正答率の上昇に応じて高まることが分かった



 1年ほど前にこれに関連した講演会を聞いて、ブログに載せようとしたんですけどなんか忘れてしまいました。笑

関連:
医学処:プロ棋士の脳がどのようになっているのかを解明するプロジェクト

 あれからもう5年か。

 これはいわゆる速読に使う領域とも似通っているような気がしますね。鍛えれば伸びるというのが証明された形か。
posted by さじ at 05:17 | Comment(0) | 脳神

カルピス社の乳酸菌飲料で記憶力や集中力が改善する。

乳酸菌飲料で記憶・集中力が改善!?

 カルピス株式会社の発酵応用研究所は、自社保有の乳酸菌「ラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)」で発酵させて作った乳酸菌飲料(殺菌済み)の飲用で、ヒトの記憶力や集中力などが改善されることを、中部大学応用生物学部の横越英彦教授との共同研究で確認したと発表した。これまでマウスの実験でこれらの効果を確かめていたが、今回はヒトでの効果を確かめた。研究結果は今月2-6日に米国・ハワイ州で開かれた国際機能性食品学会(ISNFF 2012)で発表した。

 同研究所は、もの忘れを自覚する45歳から70歳までの男女20人(平均年齢50.9歳)に、ラクトバチルス・ヘルベティカスで作った乳酸菌飲料200ミリリットルを1日1回朝食前に飲んでもらい、8週間後に「アーバンス神経心理テスト」を用いて、「即時記憶」「空間認知」「言語」「集中力」「短期記憶」について評価した。

 その結果、飲用前と比べて総合点と言語、集中力、短期記憶で改善効果がみられた。とくに言語では「意味流ちょう性」(野菜や動物の名前をできるだけ挙げさせる)の項目、集中力では「数唱」(読み上げた数字〈1・5・3・4・8など〉を覚えて答えさせる)と「符号」(図形の下の空欄に90秒間内で、対応する数字を記載させる)の各項目、短期記憶では「図形再生」(約20分前に模写してもらった図形を思い出して描かせる)の項目が有意に改善されることが分かったという。



 殺菌してるということは乳酸菌そのものの作用というより発酵してつくられた何らかの物質が良かったということ?より細かいデータがみたいですね。同じことを牛乳でやった時との違いとか。カルピスって文字を見るだけでプレミアムカルピスが飲みたくなるのは私だけではないはず。牛乳割りカルピスとか発売してくれないかしら。
posted by さじ at 05:07 | Comment(1) | 介護

孔脳症や裂脳症とCOL4A1遺伝子の変異が関与している可能性

横浜市大、孔脳症と裂脳症の患者の約2割に遺伝子「COL4A1」の変異を発見

 横浜市立大学は12月10日、脳性麻痺やてんかん、精神遅滞などを引き起こす脳奇形「孔脳症」および「裂脳症」の患者の約2割に、「IV型コラーゲンα1鎖」をコードする遺伝子「COL4A1」の「ヘテロ接合性変異」があることを同定したと発表した。

 成果は、横浜市大大学院 医学研究科の米田祐梨子氏、同・学術院医学群の才津浩智准教授(遺伝学教室)を中心とした、宮城県拓桃医療療育センターの萩野谷和裕副院長、山形大学小児科の加藤光広講師、神奈川県立こども医療センターの小坂仁部長らの共同研究グループによるもの。研究の詳細な内容は、日本時間12月8日付けで米国小児神経学会雑誌「Annals of Neurology」オンライン版に掲載された。

 孔脳症は大脳半球内に「脳室」との交通を有する「嚢胞」または空洞が見られる脳奇形で、胎生期における梗塞や出血といった脳循環障害により発生すると推測されている。海外での発症率は10万人に0.5〜3.5人程度とされているが、日本での正確な頻度は不明だ。

 また、裂脳症は脳室から大脳半球表面まで達する裂溝が存在し、その表面が異常灰白質で覆われる脳奇形である。神経細胞の遊走異常を伴う点が孔脳症と大きく異なるが、孔脳症と同様に脳循環障害により発生する可能性も示唆されていた。どちらも臨床的には、脳性麻痺(多くは半身麻痺)、てんかんおよび精神遅滞を引き起こす重篤な疾患だ

 研究グループは、IV型コラーゲンα1鎖をコードするCOL4A1変異が孔脳症を起こすことが報告されていたことから、日本人孔脳症患者61例および裂脳症患者10例の計71例でCOL4A1の変異解析を行い、孔脳症の10例と裂脳症の5例においてCOL4A1遺伝子のヘテロ接合性変異を同定した。

 その内の5変異については両親に認められない新生突然変異であり、2変異については明らかな臨床所見を認めない両親由来の変異だった。また、変異の見つかった1例は家族例であり、脳性麻痺を有する3名の患者と明らかな臨床所見を認めない血縁者にも変異が発見されている。

 今回の成果は、世界で初めてCOL4A1遺伝子変異が裂脳症を引き起こすことを明らかにした形だ。孔脳症・裂脳症は同じく血管障害によって引き起こされることも究明した。また、従来周産期障害が原因と考えられていた孔脳症の背景に、遺伝的要因が大きく関与していることも明らかにした形だ。



 突然変異なんですね。症状からしたら、そりゃそうか、、、。こういう遺伝子異常があっても、症状の緩和とか、治療法の確立とかうまく繋がるといいんですけれども。遺伝子異常があってもどのたんぱく質が異常となるのか解明できれば臨床応用できそう。
posted by さじ at 05:01 | Comment(0) | 小児

自閉症と化学物質との因果関係を東大が特定する。

自閉症などの発達障害は母体の化学物質摂取による可能性がある - 東大

 東京大学(東大)は12月13日、微量のダイオキシンを投与した母マウスから生まれたマウスを用い、独自開発の行動試験を行った結果、仔マウスが成長後に、脳の柔軟性の低下と集団行動の異常が生じること、そしてその背景に脳活動のアンバランスがあることを解明したと発表した。

 同成果は同大大学院医学系研究科の遠藤俊裕 博士課程3年、同大学院医学系研究科 疾患生命工学センター 健康環境医工学部門の掛山正心 助教、同大学大学院医学系研究科 疾患生命工学センター 健康環境医工学部門の遠山千春 教授らによるもの。詳細はオープンアクセスの査読つきの科学雑誌「PLoS ONE」に掲載された。

 近年、自閉症患者の増加、学校生活や社会への不適応行動の増加など、子どもの「こころの健康」の問題が教育・医療現場などにおける問題となっているが、その原因の1つとして、発達期に環境化学物質を体内に取り込んだことに伴う影響が示唆されるようになってきた。

 ダイオキシンは、環境・食品中に広く存在しており、国際的に環境対策が合意されている残留性有機汚染物質(POPs)の一種。ダイオキシンの母胎への取り込みが、生まれてきた子どもの学習・記憶に影響を及ぼすことが疫学研究により示唆されているが、そのメカニズムは十分に解明されているとは言えない状況であった。

 そこで研究チームは、ヒトの高次脳機能に相当する認知機能と社会性機能を調べることができる独自の行動試験技術を開発し、同大の研究科神経生化学専攻分野および生物統計学専攻分野の研究室との共同研究により、ごく微量のダイオキシンを投与した母マウスから生まれたマウス(ダイオキシン曝露マウス)について、体内にダイオキシンがほとんど無い状態のときに、この行動試験技術を用いて高次脳機能の調査を行った。

 その結果、ダイオキシン曝露マウスは、行動習慣の習得はできるものの「逆転課題」の状況変化に対する適応性が低いこと、いわゆる状況の変化に対して、目的に即した適切な行動を素早く再構成する能力である「行動柔軟性」が低下していることが明らかとなった。また、これらのマウスは、報酬(飲水)獲得のための反応を繰り返す、不必要な「反復行動」も見られ、特に報酬(飲水)が得られた正解の場所において多く観察されたことから、欲求の抑制ができない時に生じるような行動パターンの異常だと考えられるという結論を得たという。
 
 こうした行動柔軟性の低下、不要な反復行動は、高次脳機能の中でも「実行機能」という、目的達成のための適切な手段を選び自己をコントロールして適切な行動をとる脳機能システムが破綻していることに起因すると考えられるという。ちなみに、この実行機能の異常は、さまざまな精神疾患においても観察されるとのことである。

 さらに、マウス社会性行動の指標も新たに開発。今回の行動試験では、試験装置1台あたり12匹のマウスを集団生活させ、行動パターン解析を実施した。1日のうち数分間だけ大勢で水飲み場を奪い合う社会的競争状況を作ったところ、ダイオキシン曝露マウスは、この社会的競争状況においてのみ活動レベルが低下することが確認された。このような症状は、報酬に対する欲求よりも、他者との接触に伴うストレスを避けているためと考えることができ、自閉症スペクトラム障害や不安障害を有する人における他者との接触を避ける傾向と似ている可能性があると研究チームでは指摘する。

 化学物質と子どもの「こころの健康」の問題との関連性について、実験的証拠が提示されたことは、学術的意義が高いと同時に、地道な研究活動の積み重ねが社会貢献に向かって大きく一歩を踏み出したという点で、大きな成果だと言えるとしており、今後、化学物質と自閉症症状など発達障害の発症などの関連性に関する科学的議論が活性化することが期待されるとしている。



 自閉症という脳の障害を化学物質の見地から解明したのは凄いことです。ダイオキシンとか、化学物質とか、環境ホルモンとか、言葉が一人歩きしていて何だかイメージつきにくいものですが、これがより具体的な根拠として提示できれば、妊娠前からの予防にも繋がるでしょう。
posted by さじ at 04:52 | Comment(0) | 精神

炎症性腸疾患のために経口DDS製剤化技術を開発する。

炎症性腸疾患の根治に期待 -仁丹など、核酸医薬の経口DDS製剤化技術を開発

 炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎・クローン病)は、10代後半から30代前半の男女によく発生し、消化器系粘膜のびらん・潰瘍によって下血、下痢、腹痛を多発させる病気だ。治療としては、自己免疫異常を抑えたり、炎症を抑えたりすることはできるが、発症-治療を繰り返した後、大腸摘出手術が必要となるケースもある。

 そのため、対策として、近年では抗体医薬が開発され、世界約100カ国で125万人以上(国内約10.5万人)の患者が治療を受けているが、病院での点滴が必要で、治療費が高く、根治も難しい場合があることから、患者負担を軽減し、かつ安全で安価な根治療法の確立が求められていた。

 こうした背景から、研究グループは、互いの独自技術を持ち寄り、先端的治療薬である「核酸医薬」と「ナノDDS技術」そして森下仁丹の「腸溶性シームレスカプセル化技術」を組み合わ、患者に大きな負担を掛けず、安全で安価な根治医薬の実用化を目指した開発を進めてきた。

 なお、研究グループでは今回の成果は、核酸医薬品の経口製剤化の実現に向けて、各機関が協力して進めてきた研究成果の1つであり、「難治性炎症性腸疾患」の根治治療に道を拓く可能性を示すものであり、今後も産学一体で早期の実用化を目指した取り組みを進めていくとしている。



 今回大勝した自民党の安倍首相も潰瘍性大腸炎ですので同じ炎症性腸疾患になります。若者の中にもかなり多くおり、食事などで難渋する場合がありますので、今後国民の理解が広まればと思います。個人的には、安倍首相が潰瘍性大腸炎を抱えながらも国政をうまく長く維持できれば、同じ炎症性腸疾患の人への励みになると思うので、頑張っていただきたい。
posted by さじ at 04:46 | Comment(0) | 消化

ダウン症出生前検査、何故か35歳以上に限定される。

「体制整った施設に限定を」ダウン症検査で指針案

 胎児がダウン症かどうか高い精度で分かる新たな出生前検査について、日本産科婦人科学会は、「カウンセリングの体制が整った限られた施設にとどめるべき」とする指針案をまとめました。

 新たな検査は、妊婦の血液から胎児のダウン症など染色体の異常が高い精度で分かるもので、アメリカではすでに実施されています。日本産科婦人科学会は15日、この検査に関する指針案を取りまとめました。

 日本産科婦人科学会・小西郁生理事長:「本検査はいまだ国内で承認されておらず、また、我が国独自のデータは存在しないため、その実施は一般臨床のなかで行われるべきではなく、本指針確定後から認定、登録された施設において、臨床研究として慎重に開始されるべき」

 指針案では「検査で染色体異常が分かっても治療にはつながらず、胎児の出生の排除につながりかねない」と懸念を示しています。そのうえで、検査の対象を出産時に満35歳以上の妊婦などに絞り、実施施設についても「カウンセリング体制が整った限られた施設にとどめるべき」とし、第三者機関による認定登録制度の創設を求めました。



 んー。どうなのかなぁ。

 35歳以上に、っていうのは、ダウン症のリスクが高いから?それだと本末転倒のような気がするけど。ダウン症のリスクが少なくてかつ今後の出産能力の見込める35歳未満にこそ適応すべきなのでは?少子化とは逆の方向に進んでる気がする。

 新しい技術なので、ちゃんと認定された機関に絞りましょうってのならよくわかるんだけど、その年齢制限が、障害者団体の圧力によるもんなのかなぁと思ったりします。自分で「分かっても治療に繋がらない」というのなら、何故年齢制限を?
posted by さじ at 04:35 | Comment(0) | 小児

幹細胞移植治療、厚生労働省が法規制をかける方針。

幹細胞投与の‘治療’法規制へ 厚労省

 がんの治療などをうたって、「幹細胞」と呼ばれる特殊な細胞を患者に投与するケースが民間の医療機関を中心に増えていることから、厚生労働省は、効果や安全性が不明なこうした治療法を法律で規制することになりました。

 骨髄などに含まれる「幹細胞」は、体のいろいろな細胞の基になることから、がんや糖尿病などの治療や美容をうたって、健康保険が適用されない自由診療で患者に投与するケースが民間の医療機関を中心に増えています。

 大学病院などが効果や安全性を調べる臨床研究として実施する場合は、専門的な審査を受けることが国の指針で定められていますが、医師がそれぞれの患者の治療に必要と判断して投与する場合は規制がありません。

 厚生労働省は、病気やけがで失った体の機能を幹細胞を使って補う再生医療の実用化を着実に進めるには、安全性を十分確保する必要があるとして、こうした幹細胞の投与を法律で規制することを決めました。

 今後、医師などで作る専門の委員会で、がん患者に免疫の細胞を移植する治療法なども対象に含めるかどうか検討することにしています。そして、細胞の培養設備に一定の基準を設けたり、実施に際して国への申請を求めたりする法案を、来年の国会に提出することにしています。



 まーねぇ。実際使いたい気はやまやまなんでしょうけれど、それで癌化したりとか弊害が起こったら、厚生労働省の責任にもなりますからね、歯止めをかけたいところというのは分かります。

 だが、それでもあきらめずに頑張っていただきたい。他国に負けないように。
posted by さじ at 04:31 | Comment(0) | 再生

細胞を折り紙のように折り畳むことに東京大学が成功する

細胞で折り紙、立体に 再生医療へ応用期待

 平面で培養した細胞をまるで折り紙のように折り畳み、立方体や十二面体などの立体を作ったと東京大生産技術研究所のチームが13日、発表した。立体構造を持つ臓器や組織を作る再生医療につながる成果だという。

 チームは医療器具にも利用される高分子膜を使い、一辺0・05〜0・1ミリの正方形や正五角形の板を作製。立体の展開図のように配置し、その上でマウスや人の細胞を置いて1〜2日培養した。

 細胞が増殖してすべての板の上にまたがるように広がった段階で、外から刺激を与えると、1分ほどで平面状の細胞の塊が自発的に折れ曲がり、立体を形成した。



 ミクロの決死圏みたいな世界ですな。治療上の応用というと思いつきませんが…神経領域でしょうか。神経に巻くとか?そういうので。
posted by さじ at 04:29 | Comment(0) | 生理

放射線適応応答を起こす鍵は一酸化炭素にあった。

一酸化窒素で放射線に“免疫” 福井大准教授が学会賞

 放射線を浴びたヒトなどの細胞は、ある条件下で放射線に対する“免疫”を持つようになる―。あまり知られていない現象だが、福井大高エネルギー医学研究センターの松本英樹准教授(56)=放射線生物学=は、この現象の鍵が一酸化窒素であることを突き止め、大量被ばく時の救急処置薬への応用を研究している。一連の成果で、本年度の日本放射線影響学会(会員約1千人)学会賞を受賞した。

 細胞が放射線に対して抵抗性を持つ反応は「放射線適応応答」と呼ばれる。ワクチンで人体に病気への免疫ができるように、低線量の放射線を浴びた細胞が、次に高線量の放射線を浴びた際に死ににくくなる現象だ。1980年代に報告されていたが、詳しい仕組みはは分かっていなかった。

 松本准教授は、細胞が被ばくすると、その周囲の無事な細胞にも被ばくしたのと同様の反応が広がる「バイスタンダー(傍観者)応答」を研究する中で、一酸化窒素に注目した。人が細菌やウイルスに感染すると細胞で作られ、異物を攻撃する物質だ。

 ヒトの培養細胞を用いた実験を通して、放射線でも細胞で一酸化窒素が作られ、それが周囲に伝わることで、バイスタンダー応答が起こることを2001年に確認。しかも、活性酸素など別の物質で起こる同応答が、突然変異や染色体異常など不利益なものが多いのに対し、一酸化窒素では放射線への抵抗性という有益な反応だった。「放射線適応応答」の仕組みの一部である可能性が高いという。

 10シーベルトの放射線を照射する実験では、0・2%の細胞しか生存できなかったのに対し、抵抗性を持った細胞は1%と、5倍多く生き残った。この抵抗性は100ミリシーベルト以下の低線量で生じるという。

 詳しい仕組みはまだ分かっていないが、「一酸化窒素が引き金となり、細胞に放射線に対する抵抗性が生じる」と松本准教授。関係する一部のタンパク質を突き止めているという。

 使用しているのは、体内で一酸化窒素を発生させる狭心症の治療薬。「マウスにX線を照射し30日後、狭心症薬を投与しなかった場合の生存率は4割未満だったのに対し、投与したマウスは8割が生き残った」。薬剤の投与により、被ばくで損なわれた免疫機能、造血機能が回復しているという。

 松本准教授は今年9月の学会で表彰された。死者2人を出した茨城県東海村臨界事故(1999年)や、福島第1原発事故を念頭に「多くの放射線防護剤と違い、事後の投与でも効果が期待できることが利点。X線だけでなく中性子線でも同様の効果が得られるか確認するなどし、製品化を目指したい」と話している。



 東日本大震災以降、放射線に関する正しい知識を世間に伝えているという点では放射線科医の尽力は目覚ましいものがあります。今回の研究も、放射線に対する予防という意味で結構大きいものになるんじゃないでしょうか。
posted by さじ at 04:26 | Comment(0) | 生理

細胞の自食作用はシンタキシン17が関与していることを発見する

東京医科歯科大、細胞の自食作用に必要な分子「シンタキン17」を発見

 東京医科歯科大学は、細胞内の一部を取り囲んだ袋状膜構造「オートファゴソーム」に細胞内の分解専門小器官「リソソーム」が融合することで行われる細胞分解システムである「オートファジー(自食作用)」は、オートファゴソーム表面に「SNARE(スネア)」と総称される分子群の1種である「シンタキシン17」が呼び寄せられることで働くことを発見したと発表した。

 成果は、東京医科歯科大大学院 細胞生理学分野の水島昇客員教授らの研究グループによるもの。研究の詳細な内容は、12月6日付けで国際科学誌「Cell」オンライン版に発表され、翌7日に印刷版に掲載された。

 細胞が健全であるためには、細胞内のタンパク質や小器官が適切に分解され、常に新しい状態に保たれることが重要だ。オートファジーは、そのために必要な細胞内の大規模分解系の1つで、さらに細胞の新陳代謝、胚発生、神経変性抑制、腫瘍抑制、栄養飢餓適応反応、細胞内病原体分解などにも重要な細胞機能であり、現在注目されている生命現象の1つである。

 その仕組みは、細胞内の一部を取り囲んだ袋状膜構造であり、直径約1μmのオートファゴソームが形成されるところから始まる。次に、分解専門の小器官であるリソソームがオートファゴソームに融合すると、オートファゴソームの内容物が分解されるという仕組みだ。しかし、これまで細胞質を取り囲んだオートファゴソームが、どのようにリソソームと融合するのか、その部分がわかっていなかったのである。

 今回の研究では、オートファゴソームが完成すると、シンタキシン17がオートファゴソーム表面に呼び寄せられることが発見された。シンタキシン17は、細胞内の小器官や小胞同士を融合させるのに必要な、SNARE分子群の1つだ。シンタキシン17はリソソームの表面に存在する「VAMP8」という別のSNARE分子と結合し、それがオートファゴソームとリソソームの融合を引き起こすのである。



 ミクロレベルの出来事。誰の手も借りずにこういう生物としての進化を遂げた結果を、ようやく解明しているというのが、なんか凄いですよね。ホント、生命が生まれたのは奇跡だったんだなぁと思わざるをえない。

 逆にそろそろ、生命を分子的に作り出す事も可能になりつつあるんじゃないかという期待も感じさせます。自食作用そのものは有名ですが、その機序をより細かい点で解明できたのは素晴らしい業績です。
posted by さじ at 04:22 | Comment(0) | 循環

免疫異常による慢性疲労症候群、アセチルコリンが関与していた

慢性疲労症候群、免疫異常で発症 神戸の理研解明

 原因不明の強い疲労感が半年以上続く「慢性疲労症候群」が免疫系の異常で発症する仕組みを、理化学研究所分子イメージング科学研究センター(神戸市中央区)などのグループが解明し、12日の米オンライン科学誌プロスワンに発表した。血液中にできた抗体が脳の神経伝達機能を低下させるといい、同症候群の客観的な診断や治療につながることが期待される。

 慢性疲労症候群は、感染症やストレスなどが引き金となり、「疲れが取れない」と脳が認知するために起こるとされる。患者のほぼ半数では、細胞などと結合する自己抗体が血液中にでき、自分の細胞を誤って攻撃する免疫異常が起きるが、詳しい発症の仕組みは未解明だった。

 グループは自己抗体がある患者5人と、自己抗体がなく健康な11人の脳を陽電子放射断層撮影装置(PET)で検査。認知に関わる神経伝達物質「アセチルコリン」を脳細胞で受け取るタンパク質(受容体)の量が、患者は健康な人に比べて最大約25%少ないことを突き止めた。抗体がタンパク質に結合し、神経の伝達機能を低下させて、認知機能や集中力が弱まると考えられるという。

 同センターの水野敬研究員は「抗体を減らしたり、アセチルコリンの働きを高めたりすることが治療につながるかもしれない」と話している。



 原因不明の疾患ですが、診断や治療などの領域で少しずつ解明されてきているようです。

 今までは、本人が疲労を感じるということで診断されていることが多かったでしょうけれども、これで原因の特定と、そしてアセチルコリン系の調整で何とかなるのかも。
posted by さじ at 04:17 | Comment(8) | 内分

レビー小体型認知症でも脳にアミロイドの蓄積が起こる。

放医研など、アミロイドの蓄積と認知症を伴うレヴィ小体病の関連を確認

 放射線医学総合研究所(放医研)は12月6日、PETとMRIを用いた研究により、認知症を伴うレヴィ小体病の脳萎縮にアルツハイマー病(AD)と同じく異常タンパク質「アミロイド」の蓄積が密接に関連することを明らかにしたと発表した。

 同成果は、放医研 分子イメージング研究センターの島田斉 研究員らと千葉大学大学院医学研究院の桑原聡 教授らによるもので、「Movement Disorders」オンライン版に掲載された。

 認知症は高齢者に多く、65歳以上ではおおよそ13人に1人が発症するとされており、特に高齢になる程発病率が高くなるため、日本でも高齢化に伴い、患者数は増加している。認知症を伴うレヴィ小体病は、三大認知症の1つで、高齢者にも多く、典型的には、近時記憶障害(物忘れ)、幻視(実際には無い物や人が見える症状)の他、振戦(手足の震え)、筋強剛(関節の抵抗が大きくなる症状)、寡動・無動(動作が緩慢になったり、動けなくなったりする症状)、姿勢反射障害(バランスが悪くなる症状)などの様々な症状が認められるが、原因については不明な点が多く、いまだに解明されていない。

 アルツハイマー病ではアミロイドと呼ばれるタンパク質の塊が蓄積し、これにより神経細胞が死ぬことで脳が萎縮し、物忘れなどの症状が出ると考えられており、認知症を伴うレヴィ小体病においても、アミロイドの蓄積が生じる例があることや、脳が萎縮する例があることなどがこれまでの研究から知られていた。

 また、病初期に認知症を伴わないレヴィ小体病患者でも、脳が萎縮している症例では、将来認知症が出てくる可能性が高いということも報告されていたが、認知症を伴うレヴィ小体病における脳内のアミロイドの蓄積と脳の萎縮との関連は、明らかになっていなかった。

 そこで今回の研究では、アミロイドの蓄積を確認する目的で行われるPET検査で用いられる、検査用の薬剤の一種「[11C]PIB」を用いて検査を行い、認知症を伴うレヴィ小体病患者、アルツハイマー病患者および健常者(対照)の脳内アミロイド蓄積を測定し、各群を比較したほか、認知症を伴うレヴィ小体病において、アミロイド蓄積を伴う群と伴わない群にわけ、これら二群とアルツハイマー病患者群、健常対照群において、MRI画像から推定した脳萎縮の程度を比較し、認知症を伴うレヴィ小体病におけるアミロイド蓄積と脳萎縮の関係の調査が行われた。

 認知症を伴うレヴィ小体病患者15名、アルツハイマー病患者13名、および健常対照者17名を対象にPET画像診断を行い、脳内アミロイド蓄積の分布を測定したところ、認知症を伴うレヴィ小体病患者の40%(15例中6例)と、すべてのアルツハイマー病患者で、脳内にアミロイド蓄積が認められた。認知症を伴うレヴィ小体病を、脳内にアミロイドが蓄積している群とアミロイドが蓄積していない群に分けた場合、アミロイドが蓄積している群における脳内アミロイドの分布は、アルツハイマー病における分布と類似していることが確認されたという。



 レビー小体型認知症というのも近年非常にピックアップされてきた疾患の1つです。

 なんといっても、ありありとした幻視が特徴的で、それに加えて認知機能の低下が起こることでオヤッと思います。アルツハイマー病と異なって、アリセプトなどを大量にいってしまうと逆に症状が重くなるので少量処方からがポイントとなりうることでも有名です。
posted by さじ at 04:13 | Comment(0) | 介護

ビールの苦み成分フムロンにRSウイルス抑制効果がある。

ビールの苦味成分に感染症予防効果、ただし大量摂取が必要

 サッポロビールは5日、札幌医科大学との共同研究で、ビールの主原料ホップに含まれる苦味成分「フムロン」に急性呼吸器感染症を引き起こすRSウイルスの増加を抑制する働きがあることを発見したと発表した。感染後の炎症の緩和効果もあるという。

 RSウイルスに感染すると肺炎や気管支炎を発症する。主に冬に感染が増え、大人では風邪のような症状となるが、乳幼児の場合は重症化することもある。

 研究に加わったサッポロビールの渕本潤氏によると、RSウイルスは乳幼児が感染すると重い肺炎や呼吸困難を引き起こすことがあるが、現時点では有効なワクチンはない。だが、少量の「フムロン」でRSウイルス感染を予防できるという。

 ただし、感染予防に必要な量の「フムロン」をビールから摂取するには、350ミリリットル入りの缶ビールを30本飲まなければならない。

 このため渕本氏らは、「フムロン」を食品やノンアルコール飲料から摂取できるよう研究を進めている。特に苦味成分である「フムロン」を子どもにも食べやすい味にすることが大きな課題だという。



 ビールの成分って結構いいもんあるよなー。でもビール飲んでも役立たないというか…ホップの錠剤みたいなのありませんでしたっけ?ああいうのでいいなら飲むといいかもしれませんね。くれぐれもアルコールのとりすぎには注意!
posted by さじ at 04:08 | Comment(0) | 生殖

妊娠中の喫煙で、子だけでなく孫にも喘息のリスクが生じる

妊娠中の喫煙が孫にまで悪影響、米動物実験

 妊娠中の喫煙は胎児にさまざまな影響を与えると報告されており、ぜんそくなどの呼吸器の病気もその一つとされている。ところがこの影響は、胎児だけでなくさらに次の世代まで引き継がれる可能性があることが分かった。米ロサンゼルス生物医学研究所のVirender K. Rehan氏らが英医学誌「BMC Medicine」に発表した論文によると、母ラットが摂取したニコチンによるぜんそくへの影響は胎児ばかりでなく、胎児の将来の子、つまり母ラットの孫にまで同様の影響を与えるという。もちろん、子ラットが親になるまでに一切ニコチンを摂取していなくても。

 近年、著しい増加傾向にある小児ぜんそくの原因の一つとして、妊娠中の母親の喫煙が挙げられる。米国人女性の12%は妊娠中も喫煙を続け、その結果、少なくとも年間40万人の新生児が母体内でニコチンにさらされていると考えられている

 さらに、2005年に南カリフォルニアで行われた疫学研究では、母体内でニコチンにさらされた新生児は、出生後から親になるまで一切喫煙歴がなくても、その子供が小児喘息になりやすい傾向があると報告された(「Chest」 2005; 127: 1232-1241)。つまり、妊娠中に喫煙した母親の影響は、その子供ばかりではなく、孫にまで影響を及ぼす可能性が示唆されたのだ

 今回の報告では、子ラットにはニコチンを投与していないにもかかわらず、孫ラットにも同様の症状が有意に生じること、孫ラットの症状も孫ラットを妊娠中の子ラット(孫ラットの母ラット)へのロシグリタゾン投与で抑制できることが示された。

 さらにRehan氏らは、ニコチンがぜんそく症状を引き起こすメカニズムを探る目的で、母ラットに投与したニコチンが、子ラットに後天的な遺伝子変異であるエピジェネティック変異を起こすかどうかを調べた。その結果、肺でのDNAメチル化には変化がなかったものの、DNAに結合するタンパク質「ヒストン」を見てみると、ヒストンH3のアセチル化は上昇、ヒストンH4のアセチル化は減少していた。

 ニコチンと同時にロシグリタゾンを投与することで、肺におけるヒストンH3のアセチル化上昇のみが抑えられたことから、ニコチンの作用はヒストンH3のアセチル化を介したものであることが示唆された。もちろん、ロシグリタゾンだけの投与では、どのエピジェネティック変異も起きることはなかった。



 しかしアメリカ人女性の、妊娠中に12%もの人が喫煙続けているって、凄いよね。凄くない?日本人でそんな人まわりでみたことないけれども。

 子供のことを考えたらすえませんよねー。喘息はホントつらいんでね、親になる人だったらやめて当然でしょうし、やめられないなら親になるの、よしましょうや。
posted by さじ at 03:59 | Comment(0) | 呼吸

脂肪代謝遺伝子GPAT1遺伝子が成人の代謝疾患に関与する

妊娠・授乳期間の母親の栄養環境と子供のメタボには関係がある!? -森永乳業

 森永乳業は、東京医科歯科大学小川佳宏 教授との共同研究として進めている、胎児期から乳児期の栄養環境に応じた代謝遺伝子の調節機構と、栄養素・食品成分の果たす役割の解明の一環として、マウスを用いた研究において、肝臓の脂肪合成に重要な遺伝子「GPAT1遺伝子」が、栄養環境に応じ、エピジェネティクス調節されることを見出したと発表した。

 幼年期に体内に取り込まれる栄養素の多くは、栄養源であると同時に遺伝子のはたらきを調節し、正常な発育に欠かせない役割を担っている。乳幼児期における栄養環境の変化の1つである離乳は、脂肪豊富な乳から炭水化物主体の食事へとエネルギー源が変化することとなる。これに対し、肝臓の脂肪合成は乳からの脂肪供給の減少を補うために離乳後に増加。そうして肝臓で合成された脂肪は全身の大切なエネルギー源となる一方、その異常が成人期のメタボリックシンドロームなどの代謝疾患に繋がると考えられている。

 これまで乳児期〜離乳後の脂肪合成制御の詳細は不明であったが、今回、研究グループは栄養環境に応じた代謝遺伝子のエピジェネティクス調節が関与することを想定、その解明に取り組んだ。

 具体的にはマウスを用いた解析により、脂肪合成に重要な代謝遺伝子「GPAT1 遺伝子」が、乳仔(ヒトの乳児に相当)の肝臓では、エピジェネティクス調節の一種であるDNAメチル化される割合が高い一方、離乳後はDNAメチル化が低下していることが確認されたほか、対照的に、GPAT1遺伝子のはたらきは乳仔では非常に低い一方、離乳後にはたらきが急増していることが確認された。



 小さい頃から大人のメタボに関係する遺伝子が分かるっちゅーことですかね。これをうまく制御する薬があればメタボも防げる?…そういえば最近メタボって言葉みないですね。
posted by さじ at 03:52 | Comment(0) | 消化

巨大色素性母斑を本人の培養表皮の移植で治療しよう。

培養表皮で巨大あざ治療

 黒褐色のあざが生まれつき体の広範囲にみられる「巨大色素性母斑」。外見上の問題に加え、悪性化して皮膚がんになりやすい危険性が潜んでいる。従来、患部を切除して縫い合わせたり、体のほかの部分の皮膚を移植したりする治療が行われてきたが、母斑が大きすぎる患者には適さないなどの難点があった。そこで、患者本人の皮膚片から作った培養表皮を移植に用いる再生医療を新たな治療の選択肢にしようと、国内4施設が医師主導治験を開始し、患者に参加を呼び掛けている。

 実施するのは国立成育医療研究センター (東京都)、大阪市立総合医療センター 、独協医大病院 (栃木県)、聖マリアンナ医大病院 (川崎市)。

 医師主導治験は、採算性などを理由にメーカーが実施を見送っている薬や医療機器の治験を医師が主体になって進め、臨床現場への早期導入を目指すもの。今回の計画では約1年間で10症例を目標に治療を施し、有効性や安全性を評価する。

 調整役を担う国立成育医療研究センターの金子剛部長によると、巨大色素性母斑は先天性のあざで、 大人になった段階で直径20センチ以上のものを指す。発生頻度は2万人に1人。メラニン色素を作る母斑細胞が皮膚の表面近くに集中して生じ、体のどこにでも現れる。

 見た目も問題だが、特に注意を要するのが悪性化。「日本人では患者の3〜4%が悪性黒色腫などになる。その大半は思春期までに発症する」と金子さんは解説する。

 このため治療では、幼少期に母斑細胞を極力除去し、悪性化を予防することが求められる。母斑がある程度の大きさまでなら手術で切除し、周囲の皮膚を縫い寄せる。やや大きめなら、あらかじめ周囲の皮下にシリコーン製の袋を埋め込み、数カ月かけて徐々に生理食塩水を注入して皮膚を拡張、のびた皮膚を切除部分の縫い合わせに使う

 母斑がさらに大きい場合は、体のほかの部分から採取した正常な皮膚を母斑の切除部分に移植する方法がとられるが、健康な皮膚にまで傷痕が残ってしまうのが欠点だ。

 「ほかにもレーザーを照射して母斑細胞を破壊する方法や、器具を使って患部の皮膚を剥ぎ取る方法があるが、それぞれ長所、短所があり、治療に難渋している」と金子さんは話す。

 そこで注目したのが重症のやけどの治療で実用化している培養表皮。米国で開発された技術を利用し、日本でも再生医療ベンチャーが製品化している。まず、患者本人から切手大の正常な皮膚を採取し表皮細胞を分離。これをマウスの特殊な細胞と一緒に3〜4週間培養すると、患者の細胞のみでできた80平方センチのシート状の表皮が20〜30枚も作れる。治験では、母斑を除去した箇所に培養表皮を移植し、生着するかどうか観察する。

 11月上旬、実施施設の一つ、大阪市立総合医療センターを母親に連れられた幼い女の子が受診した。背中から脇腹にかけて大きな母斑。別の病院でレーザー治療を受けたが、結果は思わしくない様子だった。母親は「早く培養表皮の移植を受けさせたい」と、治験参加を強く望んだという。



 本人の皮膚を培養しての移植となると、聖マリアンナ医科大学の形成外科が有名ですが、今回の治験は4施設。(調べたところ、聖マリアンナ医科大学では既に似たようなことをやっているようですね。)

 赤ちゃんの頃からあるため、整容の面からもやっぱりうまく治療してあげたいものです。

 形成外科というと、美容形成ばかりとりあげられていますが、こういう皮膚疾患とか、小さい頃からある見た目上の問題を治療したりとか、そういう大学病院や大きな病院でやっているような治療であることを、もっとアピールすべきだと思うんですよね。

 正直美容形成は個人的にもあまり良いイメージはもってません。広告など大々的に行うし、アフターケアもしっかりしていないようなところも多いですから。でも、このブログで何度も書いてますけれど、大学病院や総合病院で形成外科をやっている医師は尊敬しています。形成外科医の技術はまぎれもなく一流ですし、その細かい治療は他の外科医も一目置いているところです。

 よく大きな手術で、細すぎる血管を縫う時などは、そこだけ形成外科医が手術に入ります。知ってました?実は凄いんですよ。
posted by さじ at 03:16 | Comment(0) | 皮膚