妊婦血液の出生前診断、はじまる 妊婦の血液を調べるだけで胎児にダウン症などの染色体の異常がないかどうか99%の確率で分かるとされる
新たな出生前検査が、来月、国内の2つの病院で始まることが分かりました。検査を希望する人は大幅に増えることが予想され、異常が見つかれば人工妊娠中絶にもつながることから、検査前後のカウンセリングなどの態勢を整えていくことが課題です。
新たな出生前検査を始めるのは、いずれも東京にある
昭和大学病院と国立成育医療研究センターです。検査は、アメリカの検査会社が去年10月から行っているもので
、妊娠10週目以降の妊婦の血液を調べるだけで、ダウン症など3種類の染色体の異常がないかどうか99%の確率で分かるとされています。
現在、出生前検査として行われている
「羊水検査」は、妊婦のおなかに針を刺すため、0.3%の割合で流産の危険性がありましたが、新たな検査は採血だけで済むため、流産の危険性がなく、同様の検査はアメリカやヨーロッパなどで広がりつつあります。
この中では、検査の対象は、胎児の染色体異常のリスクが高まる35歳以上の高齢出産の妊婦などとしたうえで、検査の前に専門の医師らが30分以上カウンセリングを行うことや、検査後も小児科医らが妊婦のサポートを続けていくことなどを検討しています。
費用は保険が適用されないため21万円かかりますが、高齢出産の妊婦が増えていることなどから、検査を希望する人は大幅に増えることが予想されます。
専門家によりますと、こうした検査を受ける妊婦は、年間の出産数およそ100万件のうち3%前後に当たる3万人と推計されています。このうち、羊水や絨毛といわれる組織を採取して調べる「羊水検査」と「絨毛検査」は、胎児にダウン症などの染色体の異常がないかどうか確定診断ができます。しかし、
母親のおなかに針を刺すため、羊水検査は0.3%、絨毛検査は1%ほど流産の危険性があるほか、破水や出血のおそれもあり、母体への負担もあります。
「母体血清マーカー検査」は、今回の新たな検査と同じように妊婦の血液を調べるもので、流産などのリスクはありませんが、ダウン症などの確率が分かるだけで確定診断はできません。
新たな検査が始まることについて、日本ダウン症協会の玉井邦夫理事長は「海外の動向からいずれ日本でも検査が必ず始まると思っていた。新しい技術ができ、それによって分かることを知りたいと思うのは個人の権利なので、検査の導入は否定できないが、ダウン症の子どもたちや家族を否定するような世の中につながることは絶対にあってはならない。検査が簡単になっても結果の重みは変わらないので、安易な気持ちで検査を受ける妊婦が増え、混乱が広がることが懸念される」と話しています。
そのうえで、「今回、検査を始める病院が共通のルールを作ることは評価できるが、今後、導入するすべての病院がルールを守るようチェックしていくべきだ。妊婦やその家族が正しい情報に基づいて考えられるよう、元気に暮らしているダウン症の子どもをよく知る小児科の医師らが、十分な情報を提供できる態勢を整えてほしい」と話しています。
ルールさえ守れば、いいんじゃないですかね、どっちでも。この検査して産むかどうかはその夫婦の問題なので。「命の選別」って、その言葉がすごく悪い言い方だよなぁと思いますけどね。
この技術が広がって、安心して高齢でも出産できるようになる世の中が一番だよなぁと思います。ダウン症を差別することになる云々は別問題ですので。
関連:
医学処:後頚部浮腫像検査はあくまで参考程度に。