大阪府病院薬剤師会は7日、大阪市内で病棟薬剤業務講習会を開いた。今年4月の診療報酬改定で新設された病棟薬剤業務実施加算の算定状況について大阪府下の3病院の薬剤師が現状を報告。病棟での薬剤業務が拡充し、処方オーダやTDMオーダなど医師の権限の一部を薬剤師が譲り受けたことや、薬剤師の人員増に向けて病院と交渉を繰り広げていることなどが示された。
4月から同実施加算の算定を開始したベルランド総合病院薬剤部(薬剤師数26人、477床)の中井由佳氏は、業務標準化の一つとして「適正使用プロトコール」を作成し、今年4月から運用していると報告した。
これは、2010年に発出された厚生労働省医政局長通知「医療スタッフ協働・連携によるチーム医療の推進について」を受けて作成したもの。医師の権限の一部を薬剤師が譲り受け、▽服用時間によって薬効が低下する薬剤の服用時間の変更▽経管投与時の剤形変更▽配合変化防止のための溶解液変更▽抗MRSA薬のTDMオーダ――などを行っている。
この事例に代表されるように同院薬剤部は以前から、業務の標準化に力を入れてきた。業務の質向上を推進するTQM活動は、院内の各組織に浸透している。医療法人全体で年1回開くTQM大会で薬剤部は、薬剤師の介入によって抗血栓薬の術後再開日数が短縮し、血栓発症リスクの回避に貢献できたことなどを発表。薬剤師の活躍を他職種にアピールしているという。
一方、今年8月から同実施加算の算定を開始したりんくう総合医療センター薬剤部(薬剤師数23人、358床)の森朝紀文氏は、薬剤師が病棟で医師の処方オーダ入力を代行していると報告した。
この業務は、医師の依頼を受けて11年5月から1病棟で開始した。主に、継続的に使用している薬剤の処方切れをフォローする形で、薬剤師がオーダの入力を代行する。効果や副作用の状況を把握し、問題があれば医師に問い合わせた上で処方を変更している。最近は、Do処方のオーダ入力はほとんど薬剤師に委ねられるようになった。他病棟の要望を受けて、今年8月からこの取り組みを全病棟に拡大したという。
このほか、星ヶ丘厚生年金病院薬剤部(薬剤師数20人、580床)の辰野真理子氏は、同実施加算の算定に向けて薬剤師の人員増を要望していると現状を語った。
同院薬剤部は01年の院外処方箋全面発行時から、回復期病棟を含めた全ての病棟に担当薬剤師を配置してきた。しかし、マンパワー不足から、担当薬剤師が不在時のフォローを十分に行えず、午前中は調剤に手を取られるため退院時服薬指導も十分に行えていない。
これはイイ!
実際薬を処方するのは医師ですけれど、薬剤師による「待った!」が濃密に関わってくると、患者の受ける恩恵が劇的に違います。や、医師も薬は勉強してるんですけど、知識のレベルが段違いですからね。
特に服用時期の変更はありがたい。モノによっては朝にしたほうがいいとか夕にしたほうがいいとか、色々ありますので。