2011年11月26日

植物状態の患者に脳波検査をすることで意識を把握することができるかも

「植物状態」でも意識あり、脳波で意思伝達可能に カナダ研究

 脳波を検査すれば、実際には意識があるのに永続的な植物状態にあると誤診するケースを防げるとする論文が、10日の英医学誌「ランセット(Lancet)」に発表された。携帯可能で安価な診断手法や、意識のある患者と意思疎通を可能にする技術の開発に期待がかかる。

「昏睡状態」が意識がなく覚醒してもいない状態を指すのに対し、「持続的あるいは永続的な植物状態」は「自己や環境についての意識はないが覚醒した状態」と定義されている。この「持続的な植物状態」は、脳死と異なり法律上は人の死と認められていない。

 カナダ・ウエスタンオンタリオ大学の研究チームは、脳を損傷して植物状態になった患者16人と、健康な対照群12人の頭皮に脳波を測定するセンサーを装着し、脳活動に起因する電気信号を記録した。

 自分の右手と左右のつま先を動かす場面を想像してみてくださいと告げたところ、患者16人のうち3人に、正確かつ持続的にはっきりとした脳波が検出された。実際には動かすことはできなかったものの、体の部位を動かすよう指示された時の頭頂部の電気信号は、制御信号と完全に一致していた。

 論文は、この実験だけでこれら3人の患者の「内面世界」に関する結論を導き出すことはできないとしながらも、指示を理解し脳内で処理する作業は持続的な注意力を要し、正しい答えを選択し言語を理解するなど、複雑だと付記した。

 この脳波検査に基づく診断手法は、脳内の血流を監視し植物状態の患者の意識を探る実験にも用いられてきた機能的磁気共鳴画像法(fMRI)ほど高感度ではないと考えられている。だが、fMRIスキャナーは極めて高価なうえ、交通事故で脳を激しく損傷した場合など体内に金属が入った患者には使用できない。

 ウエスタンオンタリオ大の研究者らは脳波診断について、安価で携帯可能なため広く活用でき、客観的な結果が示される手法だと話している。診断の精度を向上させ、全身が麻痺していても意識のある患者と意思疎通を図ることも可能になるかもしれないという。

 心的イメージの差異をリアルタイムで分類できるよう改良が進めば、単にイエスかノーかの回答にとどまらず、表現豊かな双方向のコミュニケーションが可能になるだろうと、論文は締めくくっている。



 記事でも触れられていますが脳死と植物人間は全く違います。

 脳波検査は、熟練した脳神経外科医、神経内科医、精神科医でないとなかなか正確な判断がつかない特殊な検査です。微妙なところを読み取る能力のある医者が行えば、記事にあるように「判断」できるのかもしれませんね
posted by さじ at 21:41 | Comment(0) | TrackBack(0) | 脳神

2011年11月08日

開業医の平均月収は231万、勤務医の平均月収は102万。

開業医の月収231万円=国立病院勤務医の2.3倍に―中医協調査

 中央社会保険医療協議会(厚生労働相の諮問機関)は2日、全国の開業医や病院の経営状況を調べた医療経済実態調査の結果を公表した。今年6月時点の医師の平均月収は開業医(個人経営の診療所)が231万6500円で、国立病院の勤務医102万9500円に対し、約2.3倍の格差があった。

 2010年度の年収ベース(ボーナスを除く)でも、開業医の2753万7300円に対し、国立病院勤務医は1206万5900円にとどまり、大きな開きがあった。 



 全部の科で言えることですけど、何で開業医のほうが働いている時間短くて儲かるんでしょうかね。

 そりゃぁ地域医療やってる人とか、その科の経験をめちゃくちゃ積んで開業している人とか、往診などの総合病院ではやってないことをやっている先生とかは、それだけのお金をもらっていいと思うんですけど、現実違う場合も多いじゃないですか。それなのに「平均月収」が勤務医より倍以上あるって、オカシーですよね。開業医の儲けを減らして勤務医に増やすべきですよね。勤務医が増えたら解決する問題なんてたくさんあると思うんですけどね。現実そうはいかないんですかね。オカシーですよね。
posted by さじ at 22:46 | Comment(4) | TrackBack(0) | 大学

2011年11月07日

医師の「頑張れ」で悪化した自律神経失調症→違法であり賠償へ

医師の「頑張れ」は違法=神経症悪化と賠償命令―大阪地裁

 自律神経失調症だった男性が、不用意な発言で症状が悪化し復職が遅れたとして、 大阪府内の内科医に530万円の損害賠償を求めた訴訟で、 大阪地裁の寺元義人裁判官は25日、「『頑張れ』などの発言は違法」として、60万円の支払いを命じた。

 寺元裁判官は、内科医が「病気やない、甘えなんや」「薬を飲まずに頑張れ」などと力を込めて言ったことについて、

 「安易な激励や、自助努力を促すような言動で病状が悪化する危険性を避ける注意義務に違反した」と述べ、 発言と病状悪化との因果関係を認めた。 



 この話題は医療従事者の間でも話題で、「えぇー」と言われています。

 あえて別のアプローチをさせていただきますが、

 まぁ、これは支払いでも仕方ないかなと。

 要するに「時と場合による」んですよね。

 うつ病に頑張れは禁句と言われていますが、それって使い方にも寄りますし。医師と患者の関係によって、患者の病状によっては「頑張りましょう」ぐらいのこと言いますし。

 医者が患者に「あんたの不摂生が原因、あんたが悪いんだから云々」と糖尿病の患者に責めるように言ったら、それはそれでパワハラになりますよね、それと同じことなんじゃないかと思います。関係が良好なら別に冗談でもっと節制しろと言ってもワッハッハって笑い合うだけでしょうし。

 患者を辛い気持ちにさせてはいけません。
posted by さじ at 04:25 | Comment(0) | TrackBack(0) | 精神

肺がんのレントゲン検診を行っても死亡率は低下しないことが判明

肺がんX線検診で死亡率低下せず 米で15万人調査

 年に1度、X線による肺がん検診を受けても、死亡率低下にはつながらないとする大規模調査の結果を、米国立がん研究所などがまとめた。国際的に肺がん検診を実施している国はほとんどないが、日本では国が年に1度の肺がん検診を自治体に勧めている。科学的根拠がはっきりしない検診を続けるべきかどうか、議論となりそうだ。

 論文は26日付の米医師会雑誌(JAMA)電子版に発表された。

 55〜74歳の約15万人を対象に、半数は4年間連続でX線検診を受けた人、半数は何も受けなかった人に無作為に分けて、肺がんによる死亡との関係を13年間、追跡調査した。



 まぁ・・・うーん

 昔なら、レントゲンの読影は医師の必須スキルだったかもしれませんけれど、今はどうなんでしょうかね。

 そりゃぁ読めるにこしたことはないですけど、肺がんの発見という意味で言ったら、断然CT撮った方がいいですし。放射線科医がガッツリ全員のレントゲンを読むよりもCT撮ったほうが発見率高いなら、肺がん検診でレントゲンでなくCTを撮った方がいいと思いますし。(今の放射線科医が、どこまで単純レントゲンを読影できるのか、分かりませんが)

 逆にレントゲンで肺がんを見つけられるぐらいデカいやつなら、かなり進行していると思いますし、そういうケースの肺がんを発見するためなら、単純レントゲンでも有用なのでしょうけれど。そういう意味で「死亡率は低下していない」のでしょうね。難しいところですねぇ。
posted by さじ at 02:32 | Comment(0) | TrackBack(0) | がん

医師の3割がスマートフォンを所有。医療系アプリで色々と捗るぞ。

医師の約3割がスマートフォンを所有―ケアネット調査

 医師・医療従事者向け情報サービスサイトを運営するケアネットは2011年10月26日、同社医師会員1,000人に対して行った、スマートメディアに関する調査結果を発表した。同調査は、スマートフォンとタブレット型端末の所有状況および利用実態を調査したもので、2010年11月に実施した同様の調査と比較して臨床の場で活用が進んでいる実態を示した。

 発表によると、医師の約3割がスマートフォンを所有しており、2010年の調査結果と比較して6ポイント増となった。iPhone/Android 端末の両方を所有する医師も全体の1%存在。また、医師の間でもiPhoneが48%、Android 端末が47%(その他、両端末所有者が5%)とほぼ二分。タブレット型端末所有者は昨年比8ポイント増の21%。医師の約2割が所有する結果となった。

 一方、スマートフォン/タブレット型端末共に「購入するつもりはない」とした医師も増加。「院内で通信が確保されていない」「老眼のため小さい文字が見えにくい」などのほか、「PC で事足りているため必要性を感じない」といった声が上げられた。

 スマートフォン所有者の約4割が、医療関連の情報収集に利用。その他、「医療に役立つアプリの利用」40%、「医師・医療従事者とのコミュニケーション」も昨年比3倍の15%と高い伸びを示した。また、具体的な利用シーンを尋ねた自由回答では、情報収集・予定管理など一般的な用途のほか、「小児の気を引いたり、泣き止ませたりに使っている」「往診先、診療中に薬剤を調べる」「患部の写真撮影」など医師ならではの活用法が多く見られた。



 まぁ世間と同じというか…。

 医療に便利なアプリが多いのも事実ですね。腎機能系の面倒な計算アプリとか、入れている人結構多いのでは?今日の治療薬などの参考書系統も導入されてて面白いですからね。




 全然関係ない話ですけど、最近医学生で、ベッドサイドにiPadをもってきて、ドヤ顔している人が時折いますけど、さすがに回診中にiPadは無いだろうと・・・。
posted by さじ at 02:22 | Comment(0) | TrackBack(0) | 大学

タッチの岩崎良美、53歳大学病院内科系医師と結婚。

タッチの岩崎良美、医師と結婚

 「タッチ」などのヒット曲で知られる歌手の岩崎良美(50)が1日、 先月10月に一般人の男性と結婚していたことを公式HP、ブログなどで発表した。 お相手は都内の病院に勤める医師で、芸能活動はこれまで通り続けていく。会見の予定はない。

 「私ごとでございますが、10月吉日、私、岩崎良美は、都内の大学病院に勤務する医師と入籍をし、 新たな人生の第一歩を踏み出しましたことを、ここにご報告いたします。 歌や演技のお仕事に関しましては、いつも応援してくださる沢山のファンの方々と、 新たに心強い支えを得て、今後ますます頑張って参りますので、これからも何とぞよろしくお願いいたします。岩崎良美」



岩崎良美結婚

 都内の大学病院に勤務する医師と10月に結婚していたことを発表した歌手で女優の岩崎良美(50) が1日、詳細を所属レコード会社を通じて明らかにした。お相手の男性は53歳の内科系医師といい、 今年5月ごろ、医者と患者の関係ではなく知人の紹介で知り合ったという

 10月中旬の大安に都内の区役所に婚姻届を提出し、現在のところ挙式は予定していない。 岩崎は同日、自身のブログで「新たな人生の第一歩を踏み出しました」と結婚を発表。

「歌や演技のお仕事に関しましては、いつも応援してくださる沢山のファンの方々と、新たに 心強い支えを得て、今後ますます頑張って参ります」と報告していた。5日には東京・六本木STB139スイートベイジルでニューアルバム発売ライブを開催、そこで改めてファンに報告する。



 岩崎良美って50歳だったんですね。にしては若さと美貌がありますよねー。

 なんか記事に「医師と患者の関係ではなく・・・」って、当たり前なんですけどね。むしろその関係で付き合ったら医者としてプロ失格というか…。

 53歳の大学病院勤務ということはかなりの実力をもったベテランですからねぇ。ホイホイ20代の子と結婚するより好感持てます。おめでとうございます。
posted by さじ at 02:16 | Comment(0) | TrackBack(0) | 大学

20歳未満の夜勤で多発性硬化症のリスクが増大する。

10代の夜勤で多発性硬化症リスク増大、スウェーデン研究

 ティーンエージャーにとって夜勤は疲れるだけでなく、のちに多発性硬化症(MS)を発症する危険性も増大するとした研究結果が、19日の医学誌「Annals of Neurology(神経学紀要)」に発表された。

 スウェーデンのカロリンスカ研究所のチームは、同国で行われた2つの研究のデータを細かく分析した。1つ目は2004年以降にMSと診断された患者1343人とMSではない対象群2900人を比較したもの、2つ目はMSの既往症がある5129人と対象群4509人を比較したものだ。対象者の年齢は16〜70歳で、仕事生活と夜勤の有無に関するアンケートに全員が回答した。

 研究チームが夜勤(午後9時から午前7時までのいずれかの時間帯)の経験がある人とない人でMSの発症率を比較してみたところ、どちらの研究でも、20歳未満での夜勤経験が長い人のMS発症リスクは夜勤を一度もしたことがない人の2倍だった

 研究チームは、夜勤により概日リズムが狂い、睡眠時間も減ったことがMSの発症に起因している可能性を指摘する。実際、体内時計の乱れと睡眠の質低下が免疫系に悪影響を及ぼすことは示されているという

 研究チームが驚いているのは、MSの発症と何らかの関連性があると見られるのが「20歳未満での夜勤」だけだったことだ。研究を率いたAnna Hedstroem氏によると、「若い時の肥満のみがMSリスクを増大させ、大人になってからの肥満は影響しない」ことを示した研究もあるという。

 MSは、免疫系が神経繊維の保護膜である脂肪質のミエリンを攻撃することで発症する。この結果、神経信号は迷子になったり遅れたり途切れたりし、筋肉の協調、体の平衡、発話、視覚に障害が生じる。障害は病気の進行とともに重くなる。



 っつーことは、ですよ

 要するに女子高生時代とかに、夜更かしして遊びほうけているようなことはリスクが高いってことですかね。

 まぁ10代の女性にとって睡眠ってホント大事だと思いますし、みんなちゃんと寝ましょうね。

 日本では20歳未満の夜勤ってそんなないかなーと思ったけど、コンビニとかマックのバイトとかで結構あるか。難しいところですなぁ。もちろんリスクがあるってだけで何とも言えないですけど、多発性硬化症はなってしまうと本当につらい病気だと思うんで、リスクは最小限にしてほしいところですかね。
posted by さじ at 02:10 | Comment(1) | TrackBack(0) | 脳神

携帯電話の長期使用で脳腫瘍のリスクは増加しないという欧州研究

携帯電話の長期使用と脳腫瘍リスク増加に関連なし、欧州研究

 携帯電話の使用に関する史上最大規模の研究で、携帯電話の長期使用と脳腫瘍リスクの増加の間に関連性は見られなかったとする論文が、21日の英医学誌「ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル」に掲載された。

 携帯電話の使用と脳腫瘍に関するこれまでの研究は、長期的データが欠如していたこともあり、不確実性が高かった。

 世界保健機関の国際がん研究機関は今年6月、携帯電話で生じる高周波電磁場が「がんを誘発する可能性がある」と発表している。

 デンマークがん学会(Danish Cancer Society)のパトリツィア・フライ(Patrizia Frei)研究員らのチームは、同国で携帯電話に加入している成人35万8403人と加入していない成人で脳腫瘍リスクを比較した以前の研究の追跡調査を行った。

 1990〜2007年の18年間の健康記録を調べたところ、中枢神経系に腫瘍が見つかったのは全部で1万729人だったが、携帯電話の使用歴が13年以上のグループと非加入者の脳腫瘍の発症率はほぼ同じだった。

 論文は「追跡期間の延長により、携帯電話を10年以上使用している人への影響を探ることができた。携帯電話の長期使用はがんリスクの増加には結びつかないことが分かった」と結論付けている。

 ただし研究は、使用歴15年以上のユーザー、もしくは「極端なヘビーユーザー」では、脳腫瘍リスクが小〜中程度増加する可能性については排除することができなかった。



 まぁいくら距離が近くても、そんな影響はないものなのだろうけれども…

 今の世の中で携帯の電波から遠のくのは不可能な気がしますし。この研究が最終的に結果として出るのはもう何十年かかかるんじゃないですかね。
posted by さじ at 01:45 | Comment(0) | TrackBack(0) | がん

バーチャルな友人関係が多いと脳の両側扁桃体が変化する?

バーチャルな友人関係で脳の構造が変化?英研究

 「フェイスブックは脳を変えるのか?」――世界で8億人のユーザーがいるソーシャル・ネットワーキング・サービス、フェイスブック(Facebook)に関する珍しい論文から、このような問いが浮かび上がった。

 ロンドン大学ユニバーシティー・カレッジ(University College London、UCL)の神経学者ゲレイント・リース(Geraint Rees)教授が率いる研究チームは、19日の学術専門誌「英国王立協会紀要(Proceedings of the Royal Society B)」に掲載された論文で、フェイスブックを使っている人の脳を3次元(3D)スキャン装置で検査したところ、フェイスブック上の「友人」が多い人ほど、脳の領域のうち社会適応能力に関する3つの領域が大きく、密度も高かったことを明らかにした

 UCLの研究員、金井氏によれば、この3領域のうち「上側頭溝」と「中側頭回」は、他人の視線に気づいたり、顔の表情から気持ちを読み取ったりするといった社会的認知能力に関連があり、「嗅内皮質」は顔と名前の記憶に関連しているらしいという。

 2年前、英オックスフォード大の神経学者、スーザン・グリーンフィールド(Susan Greenfield)氏がオンラインでの友人作りは若者に大きな悪影響を与えると主張して論争を巻き起こした。同氏は英上院で「21世紀半ばの人間は、集中できる時間が短く、興奮しやすく、共感性が乏しく、アイデンティティが脆弱という、ほとんど幼児のような精神的特徴を持つようになるだろう」と警告したのだ。

 UCLのリース教授は、今回の研究はこの論争の核心に触れる問題を提起したと語る。社会適応能力に関連する脳の領域の大きさは人が友人を作る能力に関係するのか?ソーシャル・ネットワーキング・サービスを利用することによってその領域は変化するのか、それとも変化しないのか?この問題を解き明かすにはさらなる研究が必要だとリース教授は言う。

 リース教授らのチームは、フェイスブックを利用している学生有志125人(うち46人が男子)を対象に調査を行った。対象者の平均年齢は23歳だった。フェイスブックでの「友人」の数は、数人から1000人近くまでさまざまで、平均は300人だった。

 その後、学生有志の中から65人を選び、オンラインあるいは現実世界における交遊関係と脳の構造の間に何らかの関係がないか詳しく調べた。このグループの学生に対しては脳スキャンのほかに現実世界の友人に関するアンケート調査も行った。

 こうして現実世界の友人とオンラインの友人の数を比べたところ、脳の「両側扁桃体」と呼ばれる領域が関係していることが分かった。この領域は感情的なできごとの処理と記憶に関連すると考えられている。

 しかし、最初の実験で注目された「上側頭溝」、「中側頭回」、「嗅内皮質」にはそうした関係はみられなかった。リース教授は興味深い結果だととらえている。人間同士の社会的な付き合いにはいろいろな形があるが、そのそれぞれについて脳の異なる領域が使用されている可能性が示されているからだ。

 これまでの研究で、脳は柔軟性の高い器官であることは実証されている。例えば、お手玉をするなど特定の運動技能を学ぶ時には、筋肉をコントロールする「運動皮質」という領域の灰白質が厚みを増す。

 しかしリース教授は「灰白質が増えるほど、特定の作業に集中しようとする時の注意力が散漫になったという例もある」と語り、脳の特定の部分が大きいことが必ずしも良いことだとは限らないと言う。



 でも若者の当然のツールとして使われているソーシャルネットワークなので、どうなんでしょうかね。

 ネット上の友人数と現実の友人数に差がある人の脳を調べてみたいですわぁ。

 あといわゆる「ネット弁慶」の人格とか。面白そう。
posted by さじ at 01:36 | Comment(0) | TrackBack(0) | 精神

スダチの皮が体重減少に効果があると、ご当地徳島大学が発表

スダチの皮に減量効果 徳島大、活用に期待

 徳島県名産として知られるスダチの皮が、メタボリック症候群の患者の体重減少に効果があるとの研究結果を、徳島大の赤池雅史教授(循環器内科)のグループがまとめた。

 スダチ生産農家の大仲保さんは「果汁を搾ればいや応なく皮が残る。有効活用して、みんなに喜んでもらえたらうれしい」と期待している。

 グループは、メタボリック症候群などと判定された男女計39人のうち、19人にスダチの皮の粉末が入った錠剤、残りに皮の入っていない錠剤を、それぞれ毎日5錠、約3カ月間与えた。



 またスダチの皮か

医学処:徳島名物スダチ、血糖値を抑制する働き。
医学処:スダチの果皮に長寿物質のレスベラトロール作用がある。

「先生、徳島ということでスダチの皮、何とかなりませんかね」

「えぇー、皮?皮ですか?」

「スダチの果汁は、使うじゃないですか。青魚と抜群の相性じゃないですか」

「まぁ」

「ですので私たちも、心配してないんですわ。スダチの売れゆきには」

「ならいいじゃん」

「でもほら、健康に良いっていったほうが、もっと売れるじゃないですか」

「え、でも、料理に皮は使わないんじゃ」

「そうですよ」

「えっ」

「えっ」

「どういうことですかね」

「いやだから、先生に、スダチの皮が健康に良いって証明してもらったら」

「え、でも、スダチ買った人は、スダチ搾るだけで、皮は食べませんよね」

「そうですよ」

「えっ」

「えっ」

 みたいな会話繰り広げてるんでしょうかね。でもスダチの皮は年間2000トン近く出る産業廃棄物みたいなんで、そこから成分抽出してサプリにすれば結構売れるんじゃないですかね。効果は分かりませんが、教授はきっと何とかしてくれる。
posted by さじ at 01:24 | Comment(0) | TrackBack(0) | 循環

家族性アミロイドポリニューロパチーの新薬タファミディスの臨床試験開始

大病院が難病FAPの新薬、臨床試験へ 来月から

 松本市の信大病院は、特殊なタンパク質のアミロイドが内臓などに沈着して起きる難病「家族性アミロイド・ポリニューロパシー(FAP)」を治療する新薬「タファミディス」の臨床試験を、11月から始める。既に臨床試験が終了している欧米では年内にも認可される見込み。今回の臨床結果で問題がなく国内でも認可されれば、肝臓移植以外に有効な治療法がないFAP患者にとって朗報になりそうだ。

 担当するのは、信大病院遺伝子診療部の関島良樹准教授(45)と脳神経内科、リウマチ・膠原病内科の森田洋准教授(49)。新薬は製薬会社ファイザー社のもので、1年半にわたり同社と共同で試験する。患者5人に服用してもらい、有効性や安全性を調べる。信大と並んでFAP患者が多い熊本大病院(熊本市)でも同じ試験をする。

 アミロイドの元になるのは主に肝臓で作られるタンパク質トランスサイレチン(TTR)。通常はこれが四つ結合した状態で存在しているが、バラバラになってタンパク質の構造が少し変わると、繊維状に結合してアミロイドになる。関島准教授らはこの仕組みを解明するとともに、従来、炎症や痛みを抑える鎮痛剤として使われてきた薬「ジフルニサル」が、TTRの構造を安定化させ、アミロイド形成を防ぐことを発見した。ただ、ジフルニサルは腎臓の悪い人に負担が大きいため、そうした点を改良し、患者への負担を軽減した薬がタファミディスだ

 関島准教授によると、スウェーデン、ポルトガルなど欧米7カ国で2007〜09年、FAP患者約30人で臨床試験が行われ、手足の筋力低下や感覚障害といった症状の進行を抑えることを確認。こうした海外の結果を受けて今回、信大などで試験。日本でも副作用がなければ13年にも認可される見込みという。

 アミロイドが沈着して起きる病気は、手足の震えや筋肉のこわばりなどの症状が出るパーキンソン病、全身の臓器や組織に沈着して心臓や腎臓に機能障害が出る全身性アミロイドーシスなど多い。タファミディスは、これらの治療にも使える可能性がある。

 一方でジフルニサルの臨床試験も信大病院を含む日本、米国、イタリアなど5カ国で06年から進行中。FAP患者への投薬の選択肢を用意しておくためで、関島准教授は「FAPのように治療法がない難治性の疾患で苦しんでいる患者は多い。今回の試験をそうした疾患の治療の突破口にしたい」と話している。



 他の国で既に確認されている新薬ならば、比較的使いやすいですね(本来なら日本も同時並行で臨床試験を行うべきなんでしょうけれども)

 FAPは完全な治療がみつかっておらず、要するにアミロイドが全身に沈着してしまう病気ですが、症状が治まれば患者さんも楽でしょうし、予後も飛躍的に良くなると思われます。こういう新薬は早く承認されるといいんですけどねぇ。ただ薬で有害事象が出ると、それだけで命に関わる事があるので、慎重にいかねばならないというのが、医療者としてはつらいところです。
posted by さじ at 01:11 | Comment(1) | TrackBack(0) | 消化

多発性硬化症と視神経脊髄炎を脳脊髄液で鑑別する

多発性硬化症と視神経脊髄炎を脳脊髄液で鑑別する

 症状が似ていて誤診率も高い神経難病の「多発性硬化症(MS)」と「視神経脊髄炎(NMO)」を、脳脊髄液の分析によって正確に区別する方法を、京都大の近藤誉之臨床教授と京都府立医大の池川雅哉准教授らが開発した。

 二つの病気の確定診断に使える成果で、米医学誌に発表した。

 MSとNMOは、脊髄などの神経に炎症が起きて手足が動きにくくなったり、目が見えにくくなったりする病気で、MSは国内で1万人、NMOは3000人の患者がいるとされる。MSは症状で病名を確定。NMOは血液中の特定のたんぱく質による診断も可能だが、患者の3割はこのたんぱく質を持っておらず、確定診断が難しい。国内外の統計では、二つの病気の誤診率は30%前後と高く、NMOの患者にMSの治療薬であるインターフェロンβを投与すると、症状が悪化する場合もあるという。



 神経内科領域の疾患は、記事にもありますように、症状がまず重要な鑑別ポイントになります。で、これっぽいなーと疑ってから、各種検査(脊髄液を調べる、MRIをとるなど)を行います。

 多発性硬化症はメジャーな疾患ですし非常に特徴的なのでこれで分かるんですけれども、視神経脊髄症はレアなのでなかなか。そこで新しい鑑別法をということですね。期待したいところ。

 神経内科領域だけでなくても、疾患の診断がついていないことなんてザラです。これっぽいなーと疑っても、特徴的な所見が得られなかったりすると、「確定」することはできませんからね。手探りです、未だに。
posted by さじ at 01:06 | Comment(0) | TrackBack(0) | 脳神

2011年11月05日

膵臓細胞シートで糖尿病を治そう。

細胞シートで糖尿病根治 東京女子医大など治療法

 東京女子医科大学の大橋一夫特任准教授と福島県立医科大学の後藤満一主任教授らは、膵臓の細胞(膵島細胞)をシート状に培養して移植する新しい糖尿病の治療法を開発した。

 マウスの実験で長期間、血糖値を正常に保つことを確認した。膵島細胞をじかに移植する治療法よりも効果が高いという。将来、iPS細胞(新型万能細胞)と組み合わせれば、糖尿病を完全に克服する根治療法の実現につながるとみている。



 糖尿病の、インスリンを導入してもうまく行かない人やハイリスクの人に良さそうですね。

 しかし女子医はこの細胞シートを見事に使いますね。今後膵臓をうまく復活させることができるようになる、のかも。
posted by さじ at 01:29 | Comment(0) | TrackBack(0) | 内分

2011年11月03日

ヘビメタ好きな子供はうつになりやすい?

オーストラリアの研究者がうつ病にかかりやすい若者はヘヴィ・メタルを習慣的に聴く傾向があると発表NME

 若者でうつ病にかかりやすい気質の人はヘヴィ・メタルを習慣的に聴きたがる傾向にあると、新しい研究が指摘している。

 研究を発表したのはオーストラリアのメルボルン大学のカトリーナ・マックフェラン博士で、博士は13歳から18歳までの若者の被験者50名に詳細にわたる面談を行い、さらにオーストラリア全土から選んだ1000名の若者に調査に応えてもらい、ヘヴィ・メタルを聴く若者は一般的に「ネガティヴな音楽の聴き方をしている」と結論付けている

 「大半の若者はいろんな音楽を前向きな方法で聴きます。そうしたものには雑踏の喧騒を遮断するため、あるいは気分を高揚させたり、運動する時の景気づけなどの理由があります。しかし、うつ病にかかりやすい気質の若者は音楽を、特にヘヴィ・メタルをネガティヴな方法で聴いている傾向が強いといえます

 「ある人がヘヴィ・メタルのある曲やあるアルバムを何度も何度も聴き直す時、それは自分を自己疎外したり、現実から逃避するためにそうしているんですね。もしこの行為がある一定時期を超えて続けて行われる場合、それはその人が鬱や不安に苦しんでいることの兆候になっているとも考えられ、最悪の場合、自殺願望をほのめかしているのかもしれないのです」

 博士は子供の音楽趣向が気になるのなら、親は詳しく子供たちに聴いている音楽について話を聞いてみるべきだと指摘している。

 「もし親が自分の子供の聴いている音楽について心配なら、そういう音楽を聴いているとどういう気分になるのかなどと訊いてみるべきです。もし、子供が自分の感じていることを反映しているなどと答えたなら、その音楽がどういうことを言っているのか訊いてみましょう。もし音楽を聴くことが、自分のことをネガティヴに思うことと繋がっているのなら、これは危険な状態だと考えてください」



 以前ヘビメタ好きは勉強が出来るとか取り上げたような気がしますが

 音楽でそこまで分かるはずはないと思うんですけどね。どの音楽が好きかなんてのは身近にその音楽があったから、じゃないでしょうか。分かりませんけども、その程度のものだとは思うんですがねぇ。

 まぁこれはただ「そういう傾向の人が多かった」だけですので、まぁ…ね。
posted by さじ at 15:45 | Comment(0) | TrackBack(0) | 精神

トランス脂肪酸の多いジャンクフードを食べる男性の精子は弱い

ジャンクフードは精子を損傷する、米研究

 ジャンクフードを食べ過ぎると、健康な若い男性の生殖能力が危険にさらされるとの研究を、米ハーバード大(Harvard University)が発表した。特に、揚げ物や加工食品などのトランス脂肪の多い食品を食べる人が最も危険にさらされているという。

 研究は、ハーバード大とスペインのムルシア大学(University of Murcia)の研究員が実施。18〜22歳の男性数百人に、食べたものを数か月間記録するよう求めた。

 英大衆紙サン(The Sun)によると、研究チームが食事日記と精子の関係を調べたところ、クッキーやケーキ、チョコレート、ポテトチップ、フライ料理、それに加工食品を多く食べている男性は、健康な食生活の男性と比較して、精子の品質が低いことがわかった。

 医師によると、彼らの精子は、卵子に到達して受精する可能性がより低いという。たとえ男性が日常的に運動していて健康的な体重でも、食事は精子に影響を与えていた。

 卵子に到達する能力が最も低かったのは、硬化油のようなトランス脂肪の多い食品を食べていた男性の精子だった。逆に能力が最も高かったのは、全粒粉や野菜、魚を食べている男性の精子だった。

 男性の生殖能力を高めることが示されている食品には、タマゴやサケ、天然ヨーグルト、ナッツ、種子、ベリー、サツマイモ、ブロッコリー、アスパラガスなどが含まれる。



 卵食べましょうかね。

 オッサンになってきたせいか、ジャンクフードは食べなくなってきましたな…。
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膵臓癌の穴を通り抜ける抗がん剤入り微小カプセルで病巣狙い撃ち

膵臓がん:微小カプセルで狙い撃ち 増殖抑制に成功

 高分子製の微小カプセルに抗がん剤を入れ、ヒトの膵臓がんを移植したマウスに注射、狙い通りがん細胞に届き、がん増殖を抑えることに、東京大などのチームが成功した。昨年から臨床試験を始めた。膵臓がんは非常に治療が難しく、副作用の少ない薬になる可能性がある。23日付の英科学誌ネイチャー・ナノテクノロジーに発表した。

 がん細胞の血管は物質が通り抜ける穴が正常細胞より大きいため、適度な大きさのカプセルを使えば、がん細胞にだけ届く。しかし、膵臓がんの穴は他のがん細胞より小さいことなどから、従来のカプセルでは通り抜けられなかった。

 チームは、直径30〜100ナノメートル(ナノは10億分の1)の抗がん剤を包むカプセルを作製。ヒトの膵臓がんを皮下に移植したマウスに注射すると、50ナノメートルより小さなカプセルはがんの内部に入り込み、がん増殖を抑えた。

 片岡一則・東大教授(高分子化学)は「スキルス胃がんなど他の難治性のがんへの応用も検討したい」と話す。



 凄すぎる。抗がん剤を局所にピンポイントで入れることができれば全身への負担も少ないですし、いい事づくめですね。
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